マガジンのカバー画像

記憶のカケラ

210
書き溜めていた文章を少しづつUPしていきます
運営しているクリエイター

2020年4月の記事一覧

小説:遊撃サバイバル7_孤軍奮闘

楠田は、北口改札の柱にもたれながら、チケットはフクちゃんからもらったと言おうとか色々いい…

小説:遊撃サバイバル6_紆余曲折

「結論。ほっとく」 その晩、楠田は福田に電話をかけた。 22時30分。かろうじて常識の範囲内…

小説:遊撃サバイバル5_悪戦苦闘

夏休みの宿題は7月中に済ませたいタイプだった楠田は休み明けにとっとと対応することにした。…

小説:遊撃サバイバル4_無理難題

「ところで、マルちゃんのことなんだけど」 福田は突然マジメな顔になって話を変えた。マルち…

小説:遊撃サバイバル3_油断大敵

なんだって、男同士で、こんなところに・・・と楠田は再び思った。渋谷に少し前に出来たらしい…

小説:遊撃サバイバル2_招集命令

基本、朝5時半起床。楠田の1日は30分ランニングから始まる。宿直でない限りは、どんなに眠くて…

小説:遊撃サバイバル1_敵前逃亡

樫の元の藪にひざまづくと、帽子から汗が滴り落ちた。 荒くなる息を必死でこらえる。息遣いで、敵に居場所を知られてしまうこともある。 息を整えながらも耳を澄ましてあたりの気配を探った。寝不足がたたって、足がつりそうだ。畜生、なんだってこんな時に。頭の中で敵の数を確認する。いったい、あと何人だろう。おそらく5人前後のはずだ。腰を下ろしたいが、下ろしたら最後、立ち上がる自信がない。 楠田元はG3を抱えなおした。普段はそれほど重く感じにない自動小銃がやたら重く感じる。徹夜の上に、

散文詩:きりん

きりん 東京では、キリンが働いている。 ビルの上で。紅白のキリンが。 ひとビルに、大抵、一…

小説:その夜は妙に暖かった2

「こら、寝るな」 右腕でゆするが、あ~とかう~とかむにゃむにゃと言うばかりで、さっきまで…

小説:ぼく、たぬき。

ぼく、たぬき。 先の白いふかふかのしっぽが自慢。 ときどき寝ぐせが直らなくて、濡らすとペ…

小説:その夜は妙に暖かった

「ずっとすきだったんです」 12月26日、その日は大沼巧にとって、ある意味記念すべき日だった…