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散文詩:きりん

きりん

東京では、キリンが働いている。
ビルの上で。紅白のキリンが。
ひとビルに、大抵、一頭。時々、二頭。
高い、高いビルの上に。たった一人。

雪の日。紅白の体に雪が積もる。
寒く、ないのかな。
風が強い日。ぐらぐらゆれる。
怖く、ないのかな。
地震の日。皆、逃げた。
泣きたくならなかったかな。

あんな高いところで、東京の街を見下ろして。
なぜだろう、キリンはいつも淋しそうに見える。

私たちの街は、キリンの犠牲の上に、成り立っているように思える。

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