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うつ病発症による、急な退職や生産性の低下、ミスの増加はどう防ぐべき?

目まぐるしく移り変わる現代社会において、あなたも強いストレスやメンタルの不調を感じたことがあるのではないでしょうか?

最近は、「現代型うつ病」や「新型うつ病」という言葉も生まれるほど、若年層でも増えているそうです。筆者である私の周りでも、人間関係で“病んで”しまったり、仕事の影響でうつ病になった人の話を聞くことも珍しくありません。

現に、いまの日本には、300万人以上ものうつ病患者がいると言われています。うつ病は、自身の苦しみや不調に加え、医療・社会保障費の増加や生産性の低下など企業経営にもダメージを与えます。


うつ病とは?

うつ病とは、精神疾患の一つで、エネルギーの欠乏により脳の機能に障害が生じている状態のこと

人の脳内では、神経細胞から神経細胞へさまざまな情報が伝達されます。そのうち、感情に関する情報を伝達する「セロト ニン」や「ノルアドレナリン」などの神経伝達物質の機能が低下し、情報の伝達がうまくいかなく なる状態をうつ病といいます。

具体的な症状として、興味や関心の欠如や抑うつ気分、精神活動の低下、不安・焦燥感、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが挙げられます。


では、このうつ病という病気を発症すると、本人以外にもどんな影響が起こるのでしょうか?

うつ病が会社経営に与えるダメージ

厚生労働省の「うつ病等に関する保険医療と福祉に関する調査研究(2020年発表)」で推計されたうつ病患者数は約300万人。 実際には、症状を抱えていても診療や治療を受けていない人も多くいると予想されるため、 患者数はさらに多い可能性もあります。

現代の日本社会において、深刻な問題であるうつ病ですが、じつは個人的な苦しみや不調だけでなく、企業経営にも様々なダメージを与えることがあります。

その一つに、「生産性の低下」が挙げられます。
社員がうつ病を発症すると、勤務時間や勤務日数の減少、業務上のミスやその修正に要する工数増加などが生じることがあります。治療に要する医療費や社会保障費の増加も考えられます。
さらに、離職や退職を補うための次の人材がすぐには採用できないといったケースもあります。
このように、本人以外にも、職場の人々にとっても心理的・経済的な負担が生じます。そのため、経営者として従業員の心身の不調に気を配り、適切な対応を行うことが望まれます。


うつ病かどうかの基準とは?

うつ病はケガと違い目に見えるものではないため、本人からの問診に基づいて医師が判断します。その際の質問や判断基準によって、診断が変わることがあり得ます。
なので今では、診察方法を統一し、マニ ュアルに従って診断を行う操作的診断が行われるようになりました。診断基準として、WHO(世界保健機関)が作成した「ICD10」や米国精神医学会が作成した「DSM-V」というものが使用されています。

例えば、「うつ病性障害」に準拠してWHOによって開発された「ICD10」の場合は、チェックリストの計◯項目のうち◯つ以上があてはまり、さらにその症状が2週間以上続くとうつ病を疑う、というように診断されます。



何が原因でうつ病になる?

うつ病は多くの場合、生物学的・心理社会的・環境的な要因が複合的に作用して引き起こされます。

生物学的要因には、脳内物質のバランスの異常、ホルモンの変化など
心理社会的要因には、家族問題や職場の人間関係の問題、失業や離婚などのライフイベント
環境的要因には、貧困、健康問題、トラウマ体験、社会的孤立などがあります。

さらに言うと、こういった誘因が本人にとってどのような意味を持つかが重要です。
例えば、一般に好ましいライフイベントである昇進でも、本人にとっては自分の能力以上に過剰適応しようとプレッシャーを感じすぎて、うつ病を発症する原因になり得ます。そして一度発症してしまうと、誘因自体が解消されてもすぐに治らないこともあります。


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