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経営学
こんにちは。いつの間にか子供の服が濡れていて、おしっこがおむつをワープしてるとしか思えません。
2週間育休を頂いており、読書も捗ったので今日はブックレビューを書きます。
サマリー
書名:経営学(1999)
著者:小倉昌男
要約:ヤマト運輸の元会長小倉昌男氏による自叙伝。
経営危機にあった中、どのようにして宅急便の開発に踏み切り、全国展開したのかなど、著者がヤマト運輸で実現したことや経営に対する考えが書かれています。
1976年に宅急便が開発される前、ヤマト運輸は百貨店の宅配などをメインの事業としていました。当時全国に宅配できるサービスは郵便局のみで、宅配に4、5日掛かるものだったため、著者はここに大きなビジネスチャンスがあると見ました。しかし全国宅配には大きな投資が必要で、普及にはかなりの時間がかかります。
そこで「サービスが先、利益は後」と通達し、数年間利益を度外視で普及に努めます。結果はご存知の通り宅急便は日本全国に普及し、日本全土に受け入れられるサービスとなりました。
個人的評価:★★★★★
著者紹介
著者の小倉昌男さんはヤマト運輸創業者の小倉康臣さんのご子息で、2代目社長です。東京大学経営学部卒業後、大和運輸に入社。入社間もなく肺結核を患うものの運よく完治し、静岡の子会社を再建後に社長に就任。
本書は著者の第一作で、その後数冊出版されています。
所感(感想)
本書の魅力は著者の揺ぎ無き倫理観だと思います。
冒頭で取引先であった三越百貨店から、業績悪化を理由に自社の取り扱う製品を押し売りされたり、配送料金を値下げさせられたり、三越流通センターで駐車料金を徴収されたりという不義理を理由に取引を停止するという告白が書かれています。
これは今から40年以上前のことだったため、取引先に対して誠意のない企業は三越だけではなかったと想像できます。
著者はこれに対し、経営者としてこれ以上パートナーでいることは難しいと判断し、取引停止の判断をしました。
このほかにも、自分よりも大きな組織と戦ったことが書いてあります。
ヤマト運輸が宅急便を開発した際、全国ネットワークの構築が不可欠でした。当時はトラックで全国運送するという事業が無かったことから、各地で運送を行うには路線ごとに免許が必要であり、しかも申請してから運輸省の許可が下りるまで5,6年かかるという状況で、かつその地域の運送業者の賛同が得られなければ許可を与えないという状況でした。
著者はそもそも路線ごとに免許が必要な理由は観光バス等にはあっても、運送にはないと考えたこと、地域の運送業者の賛同が得らえないと許可がもらえないという状況が自由競争を阻害していること、申請してから許可が下りるまで5,6年かかることなどが、正統な理由なく国の発展を妨害しているとして、行政訴訟に踏み込みました。
上記のような強い倫理観が無ければ全国宅配サービス「宅急便」は実現できなかったのではないかと思います。
1976年に宅急便が開発される前、当時全国に宅配できるサービスは郵便局のみで、宅配に4、5日掛かるものだったため、著者はここに大きなビジネスチャンスがあると見ました。ただ、それは同業他社もおそらく認識していました。なぜ誰もやらなかったかというと、投資が大きく採算が取れないと思われていたからです。
しかし著者は「サービスが先、利益は後」と通達し、利益度外視で宅急便の普及に尽力しました。これについて書籍内で以下のように書かれています。
「サービスが先、利益は後」という言葉は、利益はいらないと言っているのではない。先に利益のことを考えることをやめ、まず良いサービスを提供することに懸命の努力をすれば、結果として利益は必ずついてくる。
著者は経営において短期的にどう戦うかの戦術よりも長期的な戦略が大切であると書かれており、まさしくこの考えが無ければ宅急便の開発はなかったと思います。
本書は初版が20年以上前とかなり前でありながら、学ぶことが多くありました。経営学というものは時代が変わっても不朽なのかもしれません。
だとすると、最新のビジネス書を読むのもいいですがロングセラー、ベストセラーと言われる書籍から学ぶこともまだまだ多くあるのかもしれません。
読んでいただきありがとうございました。また書きますので興味ある方は「フォロー」よろしくお願いします。ではまた。