(78)フランケンシュタイン(1931年)
本日の懐かしのホラー映画は、「フランケンシュタイン」(1931年)。
メアリー・シェリー原作で、後のフランケンシュタインの怪物のイメージを作り上げた重要な作品です。
ヘンリー・フランケンシュタイン博士は、死者から人間を甦らせる禁断の研究を行っていました。
埋葬したばかりの遺体を助手と一緒に掘り出して盗み出し、犯罪者の脳を移植。落雷の力を借りて「怪物」を誕生させます。
フランケンシュタイン博士が留守の間、助手が「怪物」の世話をしている隙に、怪物は助手を殺して研究所を脱走してしまいます。
自由の身になった怪物は、湖で一緒に遊んでいた少女を湖に放り投げて殺害。その事が町に知れ渡り、大騒動に発展してしまいます。
自ら造り出してしまった怪物と決着をつける為に、フランケンシュタイン博士は怪物に立ち向かいます。少女を殺された怒りで町の人々も暴徒と化し、怪物は追い詰められて行くのでした。
初めて製作されたフランケンシュタインの映画は、1910年になります。
その時の怪物の姿は、長髪で現在のものとは全く異なる容姿をしていました。
ユニバーサル映画が製作した本作のデザインが後のフランケンシュタインの怪物の姿のベースとなっているので、とても重要な作品と言えます。
当初、「魔人ドラキュラ」のベラ・ルゴシに怪物役を打診するも、台詞のない怪物役に難色を示し、断られてしまいます。
そして、白羽の矢が立ったのが、まだ無名だったボリス・カーロフ。彼の人生を大きく変える作品となりました。
フランケンシュタインのシリーズは、下記8作品がある様です。(後に、ハマー・フィルムでもフランケンものは製作されています。)
(1)フランケンシュタイン(1931年)
(2)フランケンシュタインの花嫁(1935年)
(3)フランケンシュタインの復活(1939年)
(4)フランケンシュタインの幽霊 (1942年)
(5)フランケンシュタインと狼男 (1943年)
(6)フランケンシュタインの館 (1944年)
(7)ドラキュラとせむし女 (1945年)
(8)凸凹フランケンシュタインの巻(1948年)
メアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン」は、学生時代に通学時間を利用して小説で読みました。
正直、本作とは全くかけ離れた内容で、1994年にケネス・ブラナー監督、ロバート・デ・ニーロ主演で製作された「フランケンシュタイン」が個人的に最も原作に近い映画だと思っています。
神の領域とも言える、人間を蘇生させる禁断の実験に手を染めてしまう科学者。自分の手に負えないと判ると廃除しようとする人間の身勝手さ、望まない誕生により苦悩する怪物が原作小説では描かれており、どちらが「悪」なのだろうか?と、とても考えさせられました。
本作のフランケンシュタインの怪物は、どちらかと言うと、生まれたばかりの子供と同じ純粋無垢な存在として描かれています。
少女も殺そうと思ったのではなく、遊びの積りで湖に投げてしまったのだと思います。(子供だから、加減が判らないんですね。)
このシーンは削除した方が良いのではないか?と当時協議された様ですが、物語の終盤を際立たせる為には重要な場面であると、子役の少女にも無理をさせて撮影した事が特典のインタビューで判りました。
原作小説の方が深い内容だと思いますが、エンターテインメントとして製作するなら、当時はあの形の方がインパクトがあったのかも知れませんね。
2作目「フランケンシュタインの花嫁」もホラービデオカタログ掲載タイトルの為、追って掲載したいと考えています。