読書感想文。「窓際のトットちゃん」に出てくるトモエ学園が最先端過ぎる。
窓際のトットちゃんと言えば、黒柳徹子さん。
黒柳徹子さんと言えば、窓際のトットちゃん。
これほどいつのときも有名な本はありません。
なんと、発行されたのは私が生まれた年でもう今年106版だとのこと。
これほど版を重ねるのは児童書くらいだと勝手に思ってました。
幼い頃から黒柳徹子さんと言えば玉ねぎのヘアスタイルや独特なトークでそれはそれはお茶の間で有名でしたから、いつでもこの本を手にする機会はあったのですがようやく手に取りました。
小学校にあがった息子は、どうも学校生活がおぼつかないところがあります。
授業中先生の指示を聞かずに違うことをしている時間があります。友達との間でうまくやるということや、集団の中で周りと同じことを同じようにするというのが苦手なようです。連絡帳も書いてこないし、音読に使う教科書は2日に一度は置いてくるし、漢字ドリルも終わっているはずの場所が真っ白なところがあります。
かと言って別にふざけているとか、怠けているというわけでもなく、本人によるとどうにもできないのです。
今はどうしているかというと、支援員の先生のお世話になっています。夏休み前に勧められて、発達検査を受けたところでその結果により支援級への通級が認められるかもしれませんし、認められないかもしれません。
こうした、担任の先生だけではカバーしきれない生徒達というのは、最近増えていると聞きます。
同時に聞かれるのは「発達障害」や「学習障害」そうした名前に当てはまらないけど近しい「グレーゾーン」という子どもたちが過去ないほどに増えているということ。
ここまでの流れからして、息子もそうしたカテゴリーの中にいる可能性があるということになります。
かつては、というのも曖昧なんですが、私が子どもの頃はそのような子どもたちと、いわゆる支援員も支援級も縁がない子どもたちは延長線上の同じスペースにいた気がするのです。みんなで助け合いながらやっていた気がします。
もちろん、当時も支援学校やら支援級はあったでしょうし、先生は子どもごとに個別の配慮をしていたかもしれませんが。しかし、今は、支援の必要な子を早期に、それこそ就学前から特定して通常級からあぶり出してどんどん支援の手を入れていく流れのように感じます。だから、診断書やら検査やらの機会が拡大して診断を受ける子の数も増えているのかと想像してしまいます。
(実際のところはわかりませんが、見聞きして感じることです)
そんなことがあって、発達障害とか発達凸凹なんかの本を調べてたら窓際のトットちゃんがオススメに上がってきました。著名な本ですし、昔から気になっていたので買って読み始めたら、夢中になって読んでしまいました。
トットちゃんの目を通して繰り広げられる日常がキラキラして、おもしろくて、人間味溢れて、時に泣けて、没頭してしまうのです。
トットちゃんが小学校一年生で学校を退学させられ、自由な校風のトモエ学園に転入し、そこで学び、心と体をめいっぱい成長させる姿が書かれています。どれも実話だそうです。
トモエ学園の教育は、かなりユニークですが子どもたちが生き生きと主体的に学び、心も優しくそしてたくましく、好奇心豊かに育つ様子が手に取るようにわかります。
私は教育の専門家ではありませんが、本質的に教育を突き詰めるとこのような学校になるのではないか?と思うほど理にかなっているように思います。今トモエ学園がないことが残念でならないほど、今の子どもたちに求められる学校のように思いました。個人の力を認め、自然の中に生き、人と助け合いながら、自らの力を伸ばすことに集中しています。何より、小林先生のお人柄と熱意が素晴らしいです。生徒達はみな「ここは自分の居場所だ」と強く信じ、毎日学校に来るのが楽しみで待ちきれないほどなのです。
今、「学校は行かなくても勉強に困ることはない」なんて言われることもあります。
それくらい、学校で学ぶことの意味が薄まって、子どもやその親に理解されているのだと思います。あるいは学校が子どもに学ばせるべき内容が時代を経て無理のあるものになってしまったのかもしれません。
学ぶことは楽しいこと。
トモエ学園は、さまざまな形で自ら学ぶ機会が散りばめられています。
それは教科書の学びだけではありません。
だから子どもたちは目を輝かせて夢中で学ぶのです。
トモエ学園は確かに特別な存在かも知れませんが、そこで小林先生が学ばせようとしたことを、親が学び子どもに同じように考えさせることは可能なように思います。(庭に電車の教室を置くなんてのはとても無理ですが)
学校でうまく行かなくても、自ら学ぶ力があれば子どもは大丈夫、そんなふうに思えます。
息子にまつわる問題の何かが解決したわけではありませんが、窓際のトットちゃんを読んで、小林先生のように、トットちゃんのお父様お母様のように、あたたかく子どもを愛をもって接したいと心から思いました。
この本は、自ら学ぶ子どもたちを全力で後押しする、大人たちの姿から、そして、そんな大人たちを大いに刺激する個性豊かな子どもたちから、学びと元気をもらえる本です。
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