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名もなき家事と出世には関係がある!?

noteのワーママワーパパ界隈の皆さんにぜひお届けしたい、とんでもなく面白い話題がある。

それは、「仕事における何でも屋や隙間産業は女性が担うことが多い。女性は気配りができ、困った人の助けになりたいと思う。それは、名もなき家事にも通じている。そうしているうちに、目立つ仕事だけをする男性が先に出世していく」というものだ。

これは本当なのか?!考えてみた。

職場の何でも屋と隙間産業、私の場合

昔、地味で堅実な会社で働いた。そこには「生き字引」と言われる人がたくさんいた。

この人に聞いたらわかる、そんなエキスパートがウヨウヨ。そうした、生き字引達は「お偉いさん」ではなかった。

お偉いさんたちは、タバコ部屋に集い(もう20年前の話)飲み会で人事を決めるのである。ただ、技術系のお偉いさんは元生き字引である。

会社で派手なポリシーを発表するのはお偉いさんたちだが、日常的に困ったことを解決するのは生き字引集団である。生き字引達は、互いにその分野に精通しており手に手をとってあらゆる諸問題を解決する。

このように「連携できる生き字引達」は、「何でも屋」にグレードアップする。そして、連携できない生き字引の皆さんは職人さんと呼ばれる。

さて、そんな会社でも、「誰も手をつけない分野」というのがあることに気がついた私はそこを深掘りしていった。

生き字引達を捕まえては未着手領域を埋めていった。そうして私は何でも屋と協働する「隙間産業」となった。

さて、隙間産業に飽き転職したら起こったのが「何でも屋」の開業である。

最初日系企業にいた時はさまざまな仕事を回していた。今思えばメンバーシップ型だ。次に転職した同業界外資系企業ではジョブ型で、一人当たりの領域が狭い。

メンバーシップ型では職人や生き字引がウヨウヨしたいたが、ジョブ型では若い層はカジュアルなオシャレな人が多くいてハイレベルな仕事は業界の歴が長い人が担っていた。

さて、そのジョブ型職場で持っている幅広く薄い経験から深くて狭い領域に担当が変わった私は自然に何でも屋になった。

そこから10年ほど時が経ったが、あいも変わらず何でも屋と隙間産業を両刀使いするスタイルである。

そして私はお偉いさんになっていない。

何でも屋隙間産業のお友達の話

彼女は、そのジョブ型企業で長い年月尽くしてきていくつかの仕事を担当して現在に至るわけだが、現在「何でも屋と隙間産業」を担っているとのことだった。

容易にわかる。

担当する仕事でエキスパートになり社内で顔がきいて他の部の人と連携できるので何でも屋になった。

そして、何でも屋ゆえに、誰もやらないがやって欲しいと暗に願われている仕事「これ誰がするの」と思われる仕事を善意でやって隙間産業の担い手になったのだ。

そんな彼女は、「何でも屋と隙間産業に偉い人はなるなというけど、結局誰がやるとなるとやらざるを得ない。」と言っていた。

さらに話は続く。

「何でも屋と隙間産業って、名もなき家事と一緒だよね」

「そう言うこと女性は気付きやすくて出世しないと人事の研修で聞いた」

そうなのか!?そうであればとんでも案件である。

名もなき家事は何でも屋と隙間産業の賜物か

家庭内を見てみると、確かに、名もなき家事とは何でも屋と隙間産業のことである。

料理を作るとはキッチンで切ったり揚げたりする作業であると多くの人が思い描く。

しかし、それを実現するには無数の仕事がある。

献立を考えたり食材を調達したり、ガスコンロの電池を交換したり、包丁を研いだり、焦げたフライパンをきれいにしたり、調味料の補充をしたり、シンクの滑りを掃除したり、あげればキリがない。それらの大部分は名もなき家事である。

献立を考えるのは子どもの健康管理や家族の好き嫌い、つまり家族情報管理業務とリンクし、冷蔵庫の在庫管理とリンクする。買い物は家計管理とリンクする。台所道具の管理やメンテナンスは、在庫管理や掃除領域とまたがっている。

キッチンにたち「料理をする」こと自体、工程も多く難しいことなのに、それにまつわるあらゆる名もなき家事は、炊事以外の領域との越境を余儀なくされる「何でも屋」仕事である。

さらに、子どもがいると更にことは複雑になる。

保育園の連絡帳が紙からアプリに変わったからアプリをダウンロードするだの、おむつがサイズアップするからいつから新サイズにするか考えるだの、進級進学で今までやったことのないことのオンパレード。既存業務の置き換えとも取れるが実は新領域、隙間産業の勃興である。隙間をルーチンの定位置に収めると、また何でも屋の出番。

家庭内労働の多くは名もなき家事で支えられているがそれらを紐解くと「何でも屋」と「隙間産業」である。

お偉いさんの仕事にあたるものは、「子どもは元気だね?」「お金の蓄えは問題ないね?保険は十分だね?」「住み心地はどうか?住み替えが必要か?」といった確認業務や、全てがお膳立てされた状態で遂行される「公開授業」や「花形家事のメインパート」いったところか。

例えば、休日家族のお出かけで運転手を務めるパパが朝起きてきて身支度して「さあ、いくぞ!」と声かけるだけ、みたいな名誉業務である。

お出かけにまつわる何でも屋は、水筒の補充、食事が取れる場所の確認とないと困るものの準備(食材ハサミやエプロンなど)、時間がズレた場合の非常食などの荷造り、などがある。帰ってきたら、現地で買ったよくわからないお土産の仕分けや保管場所の決定などがあるかもしれない。疲れて帰宅した直後の晩御飯作りなど、手当が必要な特別業務級である。

何でも屋と隙間産業は出世できない?

なるほど、友人の話に出てくる人事の情報は興味深い。

職場でも、家庭でも何でも屋と隙間産業の女性たち。

職場で何でも屋の男性たちも、家に帰れば、名もなき家事については疎いのかもしれない。

家庭内でも職場でも何でも屋と隙間産業をしている女性は職場で出世できないのか。

男性が多くいた企業においても、確かに、お偉いさん達はあまり何でも屋と隙間産業の印象はなかった。

しかし、私から見えている仕事においては、というのがポイントである。

ここからは私の想像だけど、お偉いさんたちは、そのレイヤーにおける主たる業務と何でも屋と隙間産業を全てこなしていたのではないだろうか?

例えば、会社の経営上、人をクビにするとか、事業を売却するとか、シークレットな話があるとする。それは一部のレイヤーにしか回ってこない仕事である。

それにまつわるあれこれをお偉いさん達の間でやり遂げる場合、そこには主たる業務もそうでないものも入っている。下のレイヤーに渡せる状態になってやっと、そのレイヤーにおける何でも屋と隙間産業の出番である。

つまり、お偉いさんたちだって、何でも屋と隙間産業はやっていそうである。ただ一般の人のレイヤーにおけるそれにはタッチしないだけで。

では、お偉いさんのレイヤーに、女性たちが入る機会が少なくなりがちなのはなぜなのか?

そこにきてようやく、点と点が繋がる気がする。

女性が担いがちな名もなき家事的な何でも屋と隙間産業は実務レベルに無数に散らばっている。毎日毎日量産され続ける。そこに時間を取られすぎる、と言うことではないだろうか。

そうしているうちに、忙殺されレイヤーが上がっていかない。

あるいは、そのレイヤーに留まることでよりやりがいを感じる人も女性に多いかもしれない。それは本人の自由だ。

反面、実務レベルよりも上のレイヤーに興味を持ちがちなのが男性だと仮定したら…

実務に埋没する女性から見えていないレイヤー(組織の形をどう変えていく、予算をどう使うか削るか、どの人を次の部長にするか、どうやってあの部署を取り込むか、などなど)を男性の方がより注視しているとしたら…

そうしたら。

男性の方が出世するかもしれない。

女性の得意な何でも屋や隙間産業的スキルがあって無駄になることも不利になることもない。どんなレイヤーにもそれは必要になると思う。

(実際、ディレクターやVPの方々は、気がきくし、細かいことも覚えていて人と人同士を繋げるのも上手い。どこにいても成果が出せるという何でも屋の最終形態のような人もいる。)

その代わり、上のレイヤーでそれを発揮する機会やそのためのステップがないといけないし、何でも屋や隙間産業以外のスキルもいろいろと必要になってくる。

女性が何でも屋隙間産業だからダメなのでなく、次のレイヤーに触れる機会やそれが何なのか知る機会、そうした世界を見せてくれる人やステップを提示してくれる人が必要なのかもしれない。

簡単に言うと、ボーイズネットワークは男性出世のインフラでそれが女性に広がったり、女性のリーダーが出てくる環境が必要、ということになるだろうか。

もっとも、それらは与えられるのでなく、本人が求めることも必要だ。

まとめ

名もなき家事と仕事における何でも屋や隙間産業の親和性は高いことは確かにそのように感じる。

しかし、職場における出世に関しては、必ずしも直接的にそのことが女性の出世を阻む要因とは言えないのではないか、と思えた。

女性が出世して、実務から管理レイヤーにあがったときだって、その何でも屋隙間産業精神はきっと役に立つ。だから、その力を誇ってよいと思う。

もしかしたら、レイヤーが上がる、と言う経験を女性がより拒むのもあるかもしれない。あるいは、「女性をこの世界に引き摺り込むのはちょっと」と男性が女性を保護するため遠ざけてきたという企業もあるかもしれない。

なぜならレイヤーが上がると、社内政治やドロドロに巻き込まれたり、誰もが迷う決断を批判前提で採決したり、誰かに不利益を飲んでもらうなど辛い決定もしないといけないからだ。残業休出当たり前の企業はなおさら。

そう言えば、私が最初に経験した日系企業で、生き字引集団は多くが男性だった。レイヤーが上がることに抵抗があるか、上層レイヤー文化に馴染まなさそうな人達だった。

言いたいことはただひとつ。

上層レイヤーの不都合な点も受け入れて、かつ、管理レイヤーで仕事をよりよくすることを望む女性に対して、男性に比べて女性には道が開かれないなんてことがないようにしていただきたいものである。

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