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母の葛藤と初めてのおつかい

毎日毎日おんなじことで怒って「子育て失敗」の文字が浮かぶ。隣の芝生は青い、と言い聞かせるが「いやいや、ここまでひどいのうちだけだよ」と危機感も抱く。

昨日なんて、下の子は保育園でおやつ食べて帰宅してるのにおやつを食べたがりご飯は微妙にしか食べず、上の子も唐揚げ食べ過ぎてご飯を残したのにちゃっかりデザートだけは食べて…

私は「子どもたちの食べる甘いもの」に敏感になっていた。

つい先日だって2人を連れてかかりつけの歯科に定期検診とフッ素塗布に行ったのはこの私だし、歯医者でしか買えない歯磨き粉の在庫チェックと購入するのも私だし、もちろん2人分の歯磨きを朝晩させて仕上げするのも私だし…歯が心配だよ!それに、食事の方が甘いものより大事だよ!

ちょうど小学生が冬休みに入り、冬期講習で送迎だの保育園でインフルエンザの子が出たので自宅で休ませたり、私も仕事納めしたりとバタバタな中でのご飯作りだって大変なので怒りが湧きやすくなっている。

この、自分に余裕のない状態というのはよろしくない。

でも、休めない。
(夫は何してる?うち、シングルマザー家庭だったかな?😇)

長期休みでも生活リズム整えて3食の食事を基本として過ごしてほしいのに、子どもたちは好き放題!(実際はそこまででないが、そのように感じてしまう)

まぁ、普段はみっちり遊べない兄弟が家の中でキャッキャしたり、悪巧みする姿は可愛いんだけどね…(そうやって、温情をかけるから隙を突かれるのかもしれない)

葛藤でこんがらがって息が詰まる。

上の子が午前中に終わらせ切らなかった塾の宿題をやっとやる気になり少し手伝った。そういえば、自分でスックと勉強を始めたり、ピアノの前に座るようになったのここ最近、というか「今日」が初めてかもしれない。

上の子をほめて、私は昼寝から覚めて元気溢れる下の子を連れて近くの公園に出た。その帰り道、下の子が近くのコンビニで何かをねだろうと騒ぐので「今日は午前中に買い物して、好きなお菓子も買ったでしょ」となだめる。なんなら、アンパンマンラムネの食べかけがテーブルの上にまだある。

コンビニに寄りたくて入口の前で騒ぐ我が子。いつもなら寄って、駄菓子とか、つい何か買ってしまう。

でも今日は違う。さっきおやつを食べたばかりだし、家にはおやつの在庫がたっぷりあるし、欲しくて買ったお菓子を残されたり、ご飯が食べきれなくなるのはいやだ!(虫歯や糖尿病リスクも心配だ)

泣く下の子をひっぱって家に帰る。

だんだんと泣き声がエスカレートして、涙と鼻水を垂らして怒り泣きしている。
玄関から靴も脱がずに泣き散らかすどころか、玄関の扉を開けてまだコンビニに戻ろうとしている。

とんだど根性野郎である。

上の子が下の子を心配して駆け寄ってきた。
「◯ちゃん、どうしたの?」

私がコンビニには行かない、在庫もあるし、残すし、もうご飯だからダメ!とキッパリ。

しかし、なかなか下の子は泣き止まない。

何かの本で読んだ。
泣いてゴネれば買ってもらえると思われると買ってほしい時ゴネるようになると。
鉄の意志で断固要求には応じない。
私は玄関で泣く下の子と宥める上の子をそのままにして部屋の片付けを始めた。

上の子が動き出した。
「ぼくが◯ちゃんをコンビニに連れてってあげる」
貯金箱をあけて100円玉を5枚取り出す。
「ぼく300円でアイス買う。◯ちゃんは200円ね。」
玄関で合流するふたり。
下の子は泣き止んでいる。
「行こう!」

…?!結託してる!
「ジャンバー着て」
いつも上の子に注意する親を真似して下の子が言う。

おとなしく上の子はジャンバーを着て「◯ちゃんも着ようね」と着せてやっている。

悪いヤツらめ。どうせアイスなど買ったらすぐあけるだろう。もう夕方なのにご飯はどうするのか?!止めなければ。

「ダメだよ。お小遣いは別のことに使ったらいいし、もうすぐご飯だよ!」私は止めに入るが2人はもうドアを開けようとしている。

よく考えたら、上の子が貯金箱からお小遣いを取り出すのもこれが初めてのことではないか?!!2023年の秋、彼の誕生日からお手伝いに応じたお小遣いを支給していた。1年以上の時を経て初めて、しかも、弟の窮地を救うために使うのか?!

私は許してしまった。

2人が「初めてのおつかい」をするのを。

と言っても、3歳児を連れた頼りにならぬ8歳児のふたり組。私は後を追ってついて行くことにした。

エレベーターを降りてマンションの玄関を出る。

下の子は私が止めに来ているとまだ思っているので、私の顔色を伺って先を行く兄を止めようとした。

私は黙って促すそぶりをするとみるみるうちに笑顔になった下の子。子犬のように兄弟が戯れ合ってコンビニに入った。いつもの駄菓子コーナーで物色する下の子。上の子はアイスコーナーへ。手に取ったのはハーゲンダッツ351円。(ありゃ、300円越えてるよ🤣)下の子は飴43円を手に持って2人は合流した。目の前にあるグミ150円が気になる下の子。上の子は「それは買えないから飴をもう一つ買おう」と決めて、ハーゲンダッツと飴2個をレジに置いた。

上の子の計算力が案外あることに驚く。計算ドリルをさせるより、お買い物に誘うほうが勉強になったりして。

レジに自分で現金を入れること、入れ終わったら「おつり」ボタンを押すことなどは分かっていなかったのでササっとサポートして、また駆け足で戯れあって帰宅する2人を追った。

手を洗い仲良くアイスを半分こするふたり(飴はおやつ箱ヘ)。

思えば、上の子は幼い頃もものをねだらなかったし買い物はそこまで好きじゃない。何かを選ぶことが不得意のようだった。気に入ったものをリピートする。その点では子育てでだいぶ楽させてもらったかもしれない(好みを聞いてもはっきりしないし、選ぶのが苦手で保育園で困ることはあったけど)。もう、自分で選んで買えるようにまでなったしまったんだなあ、と思うと感慨深い。

下の子はわかりやすい欲しがり屋さんだ。きっと下の子は、何かが食べたいとかより「好きな人とお店に入ること」とか「ものを選ぶこと」とか「店員さんに挨拶すること」とか、お買い物というイベント自体が好きなんだろうな、と思った。選択させるとすぐ答えてくれるのでこちらもラクだ。ただ、今後、「今日は買わないよ」と何度もバトルが予想される。😱

ただ兄弟ふたりで「初めてのおつかい」?を決行したってだけなのに、考えることが多すぎてパンクしそうだった。

晩御飯は、ご飯に味噌汁、昨日のおかずの残りに餃子を焼いて、冷凍マグロを解凍してマグロ漬けを作った。子どもたち、まあまあ食べてくれたのでほっとした。

上の子に「初めてお小遣い使ったね」と指摘すると「53円返ってきちゃった」と不思議なコメント。キッチリ使い切りたかったのだろうか?やはり、この子の計算練習にはお買い物がよさそうだ。

子どもは、なかなか親の思い通りに動いてはくれない。

けれど、子どもから見たら親の方が自分の思うように動いてくれないものだ。

今日私は子どもたちのやりたいようにさせてしまって、それでよかったのかは分からない。ただ、上の子の潔い決断と行動、下の子が私の顔色を読もうとしたこと、買い物の後の軽やかな足取りなんかを見て「自分で決めたことを、自分でする」って経験もさせてあげたいなと思うのだった。

失敗しても、怒られても、自分でやってみたいときだってあるはずだ。

ちょうど私が上の子くらいの歳のとき、缶コーヒーが飲んでみたくて貯金箱から200円を取って家を飛び出したことを思い出した。

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