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子どもの成長記録。成長は一足飛びではなくニョキニョキ伸びる朝顔のツルのようだと知っていたなら。

仕事の時間以外は子どものことばかり考えている。

何を隠そう、仕事の時間も、ふとした瞬間に子どものことを考えている。

子どももまた、ふとした瞬間にパパママのことを考えているのだろうか。

朝、息子を小学校まで送り届ける。
行き帰りにたくさんの小学生とすれ違う。

あるマンションのベランダから家を出た娘さんに手を振るお母さんが見える。
娘さんは、お母さんに手を振りながら歩き始める。
お母さんは、ベランダからお部屋に入ってしまったが、娘さんは振り返ってお母さんを探していた。
やがて、前を向いて歩き始めた。

その光景を見て、胸が締め付けられるような、それでいてぽかぽかと温まるような思いがした。

きっとあの子は母さんが手を振ってくれる姿が見たくて何度も後ろを振り返っていたのだろう。

息子は、一年生の4月に転入するというトンデモ案件に見舞われながらも、転入してからは毎日学校に通っている。ただ、私が校内まで手を繋いで付き添っている。

別に、本当に学校に行きたくないのではなく、少し不安があるようだ。

でも、毎日様子が違っている。
最初は席まで一緒に行った。
そこで涙目でこちらを見つめる息子の手を振り解いて立ち去っていた。

そして、教室の入り口でバイバイするようになった。そのときも、友達や先生においでと手を引かれる息子の手を振り解いて私から立ち去っていた。

息子は私の背中を見ながら何を考えていたのだろうか。

それでも毎日帰ってくる時は笑顔だった。
先生も、学校では楽しそうにがんばってると言ってくれた。
一歩踏み出すのは、やはり怖いのだろう。

水の中に入って仕舞えば案外心地良くても、水に顔をつけるのがいやだと言う子がいるのと同じように。

今は、教室の手前の手洗い場でバイバイしている。息子曰く、少しずつ、バイバイの場所を遠くしていってほしいそうだ。いきなり階段下とか、いきなり昇降口はいやだと。

それならとことん、付き合おう。
自分で決めた目標を達成する経験を積んでもらおう、そう思ったら私も気が軽くなった。

しかしこのところ何かが違う。
一昨日あたりから、手洗い場で手を洗いハンカチをポケットにしまった息子は、自分から私に背を向けて教室へ向かうようになったのだ。
振り返りもせず。

自分が背を向けて立ち去るのと、息子に立ち去られるのではだいぶ気持ちが違う。

もう、息子は大丈夫なんだろうな。
そう思った。
バイバイの場所がどんどん遠くなっていき、いずれは家で手を振るだけになるのだろう。
ゆっくりでもいいじゃないか。

あれ、なんだかさみしいな。

毎日毎日、子どもは少しずつ変わっていく。
朝顔のつるのように。

気づくと、あれ?こんなところに!
というところに行ってしまっているのだろう。

でも、ベランダからお部屋に入ったお母さんの娘さんのように、もう家の中にいる親を探して振り返る日もあるのかもしれない。

隣の朝顔と伸びる速度が違ってもいい。
同じ色の花が咲かなくてもいい。

(とは言え、集団をまとめる先生は大変ですが…。ご迷惑お掛けしないよう、がんばります)

自分のペースで成長している様をしっかり見届けてあげられるようになりたいと思う。
となれば、毎日その時にしか会えない息子が愛おしく感じる。


ニョキニョキニョキニョキ。

今日もがんばれ!

いずれは、立ち去られることしかできなくなってしまう私も。
さみしさに負けずにがんばれ!

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