子どもに教えられたこと。ごめんね、ママがきみの耳の産毛に目を奪われていた間に話を聞いてほしかったんだね。
やぎさんの毛があるね、首のところに。
小さい頃母に言われた。
やぎさんの毛は、透明っぽい白さ。
そして長い。
本来毛が生えてこないところに生える。
母により、私の首に、白く長く伸びてくる毛が発見されたのだ。
一度抜いたけど、また生えてきて、そこから注目していない。
なくなったかもしれないし、
まだ生えてるかもしれない。
自分には見えないところにあるから仕方ない。
実は夫にもやぎさんの毛がある。
ほっぺにある。やぎ仲間だ。
2度ほど指摘したが最近は指摘していない。
夫が自分で抜いたりしてるのか、
生えてこなくなったのか、
はたまた私が夫を見てないのか…。
ホラーになってしまったが、
今日の記事は息子の話だった。
長男の耳の縁に生える産毛の毛流れがなんともおもしろい。
1番でっぱったカーブのところの産毛が長く、そこから下は上に向かって、上は下に向かって綺麗に並んでいる。上半分は産毛が薄い。
もう片方の耳も同じように規則正しく整列している。
産毛さん。
こんなに細くて狭いところにわざわざ密集して、ちゃんと長さ順に並んで、毛流れも揃えて。大変お疲れ様でございます。
そんな言葉を産毛にかけつつ、まじまじと見つめている。最長部分は何ミリだろう?触ってみようと手を伸ばす。
「ママ!ママ!ママママママママ!!!」
私を呼ぶ声。
「ママ!さっきから、話を聞いてもらおうとしてるのに!」
なんと、長男は私に話しかけようとタイミングを見計らってくれたらしい。
私が耳の産毛に集中し過ぎて、目も合わないし、ちっとも話しかけられなくて痺れを切らせて怒ってきた。
しかも泣くのをこらえている。
ごめんなさい。
ママの耳は暇だったんだけど。
きみの産毛に目を奪われていたんだ。
話しかけてもろくに目が合わなかった息子が、私との会話を目を合わせて始めようとしてくれたことに少し戸惑った。
成長したなあ。
それに、子どもにとって、
話を聞いてもらえないことがそんなにも悲しいことだなんて。泣きそうになるほどに。
気づかなくてごめんね。
話を聞いてもらえなくて
怒ったり泣いたりする息子にまた教えられた。
聞いてほしい気持ちを受け止めよう。
もう「聞いて!」と真っ直ぐに気持ちをぶつけてくれる日は2度と来ないかもしれないのだ。
耳の産毛さん。
また今度、あの子が寝たあとにね。
その昔、私の母も、やぎさんの毛を私の知らぬ間にしげしげ見つめて観察していたのかもしれない。
🌙
なぜ産毛が擬人化されているか気になる方がいらしたら、こんな記事があります。気が向いたら冷やかしに来てくださいませ。自分の産毛は憎かったけど子どもの産毛はいとしい不思議。