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人と話すのは苦しい。それでも話したい。

私とあなたが見ている世界は別物で。
あなたと話すことで、私はその世界を覗くことができる。

だけど会話って、楽しいけれどいつも決まってどこか苦しい。
無邪気な笑い声の裏で少しだけ息を詰まらせている。
それはきっと、あなたと話すことで知らない世界に出会うと同時に、私自身が生きている世界の輪郭も見えてくるから。
一人でいるときはその世界の中にいて、それがどんな形をしているのかなんて分からない。
だけどあなたと言葉を交わしているとき、テレビで宇宙に浮かぶ青くて丸い地球の姿を見るように、自分の世界の形を見る。
そして、その小ささや歪さ、角張っているところに気づく。その角が、知らず知らずの内にあなたの世界にぶつかって傷をつけてしまっていることにも気づく。

それでも。
あなたを、あなたが生きている世界を知りたくて、きっと明日も声をかけるのだろう。
あなたが日々生きているその世界に目を輝かせつつ、ひとりになった後にちょっとだけほっとする。自分の世界の内に入って息をつく。

次の日になるとまた、新しい世界を覗きにちょっかいをかけに行く。
それを繰り返しながら、覗いた世界とぶつかって私の世界の形は絶えず変化する。
吸収して大きくなったり、嫌いだったあの角がなくなった代わりに別のところに新しい角が生まれたり。
それで良いし、それが良い。
たくさんの世界を見ること、影響を受けて変化し続けること、自分に一番親しい観察者として変化していく自分自身のことを観察すること。
それが私にとって生きることの一つの面白みであり、明日も生きていたい理由である。

だから、これからも少しの苦しさを携えながら、あなたと数え切れないほどの言葉を交わしていきたい。

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