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小説・詩

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魔法のIランド、小説家になろうには既に書いた小説がありますが、こちらにも投稿済みの短編をあげています。これらの短編は長編作品の番外編です。ハッシュタグで作品タイトルを選んでいただ…
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#かみさまの手かみさまの味

短編小説:運命の人_2022.03

この話は かみさまの手かみさまの味②   の番外編です 小林悟  僕は生まれてすぐに運命の人と出会った。  同じ日ではなかったけど数日違いで生まれた僕たちは、母親同士が同室に入院していた。家も近く年齢も近かったので仲良くなった。  百江ちゃん  僕の運命の人です。  百江ちゃんは近所のパン屋さんの一人娘でした。  ……  あ、間違えた。お兄さんがいました。三つ年上のお兄さん。忘れてた。  家でパン屋さんをしていて、そして、百江ちゃんのお母さんは、パン屋の他にも

短編小説:帰ってきなさい_2022.03.07

このお話は、 長編:かみさまの手かみさまの味②   が終わってから、暎万ちゃんとひろ君が結婚する前のお話です。 とある冬の夜、中條家と上条家のリビング こたつに座ったまま暎万ちゃんが突っ伏して眠っています。 風の強い夜でした。 清一さんがお風呂から出てきました。 「暎万ちゃん、暎万ちゃん」  眠っている暎万ちゃんの肩を掴んで軽くゆする清一さん。 「あ、おじいちゃん」  目を開いた暎万ちゃん、壁の時計を確認します。 「おばあちゃん……」  立ち上がって部屋を出て

短編小説:僕たちの田舎_2022.03.06

この短編は かみさまの手かみさまの味②  の番外編です。  リビングと一体になった広いキッチンの調理台に女の人と小さな女の子が並んでいる。 「ほら、百江、食べてみ」 「あーん」  ボールの中から泡立てたばかりの生クリームを指で掬って娘の口に入れる。 「おいしい」 「この前のと味の違いわかる?」 「え?」 「どっちが好み?」 「どっちも好きー」 「子供の好みって大人とちょっと違うじゃない」 「どっちも好きー」  少し離れたところに座っている男の子。女の子のお兄ちゃんの

短編小説:出会い 落武者⇄食の冒険家編_2022.01.01

この短編は 長編:かみさまの手かみさまの味①と②の間に起こった出来事  とある月曜日。月曜日はひろ君の職場であるエルミタージュの定休日。暎万ちゃんは時々休みの日に仕事を入れて月曜日に代休を取ります。クタクタに疲れてて朝寝してるひろ君の横で洗濯機を回した。部屋を片付けて、掃除機をかけてるとその爆音で流石にひろ君も起きました。 「うるさい」 「ありがとうって言って」 「部屋なんか汚くても死なない」  暎万ちゃんは掃除機の電源を切りました。 「そんなに眠いの?」 「なんか今

短編小説:美食家_2021.03.04

それは、上条暎万、高校三年生になったばかりの春 彼女の通っていた高校は、中学から大学までがエスカレート式になっている女子校、お嬢様学校でした。 担任の先生はベテランのおじさん。たぬきかキツネで言ったら、たぬきでしょう。お腹も出てるし、髪は若干寂しいです。でも、人生を真面目にこつこつ生きてきた人です。お腹と髪くらいなんですか!大目に見ようではありませんか。 「上条」  帰りのホームルームが終わって、友達のすみちゃんと話しながら帰ろうとしていた暎万ちゃん。担任に呼び止められ

短編小説:とある日のひろ君_2021.01.14

アナザーストーリーから ウサギのしろを迎えてお届けする ファンタジイテイスト(?)の短編でございます。 頭の中で考える話は誰にも教えなければ自分だけの秘密。 とある夜、1人でベッドに横たわり、ぼんやりと他愛もないことを考えていたひろ君。 考えていたのは実は夏美さんのことでした。 最近、夏美さんと2人でいるとホッとするひろ君。 もし、夏美さんが若くてご主人とか彼氏いなかったら好きになってたかもとふと思った。 男はね、傷ついているときに慰められると弱い動物です。 夏美さん

短編小説:酒盛り_2021.01.11

この短編は、死水、パジャマパーティー に続くお話です。 「ごめんねぇ。ひろ君、本当に」 「いいですよ。このくらい。ちょうど休みでしたから」 「ほんとは旦那に付き添ってもらう予定だったんだけど、急に亡くなった方が出て……」 「あ、夏美さん、今呼ばれましたよ」 ひろ君と夏美さん、病院のお会計の前のベンチに座ってます。 「はいはい」 「あ、座ってていいですよ。保険証とかください。僕やって来ますから」 夏美さん、一番前列に座って受付の女の人に会釈をする。松葉杖の様子を見て、女

短編小説:パジャマパーティー_2021.01.06

この短編は 死水 に続く作品で、体重計、毒を食わらばとも関連のある作品です。 中條、上条家二世帯住宅、2階、暎万の部屋 コンコン 夜半にドアをノックする人がいる。 もう寝ようとしてたんだけど…… ガチャ 「暎万ちゃ〜ん」 ドアを開けるとそこに2、3週間ぶりに帰ってきた母がパジャマ姿で、何故か枕抱えて立っている。 ガチャ 何も見なかったことにしてドアを閉めた。 「え?ちょっと、なに?開けなよ。暎万」 ドンドン あー、もう、うるさい。 「なに?お母さん」

短編小説:結婚詐欺_2020.11.06

本作品は 長編:いつも空を見ている の2人が結婚して その子供たちが大きくなってからの話です。 かみさまの手かみさまの味①②のその後を描いた短編です。 また、既に投稿済みの短編と連作になっています。 片瀬大生 「ただいま〜」 返事がない。玄関あがって中進んで、リビングのドア開けると、青白い顔した暎万がいる。 「大丈夫?」 「だめ」 「なんか食べた?」 「いや。水だけ飲んでる」 しゃがみこんで奥さんの頬に手をあてる。 「グレープフルーツ買ってきたけど」 「ああ……」

短編小説:毒をくらわば_2020.11.05

本編に入る前に写真の説明を。アメリカについて思ふとAI生成画像?で添付した超子猫(すごく小さい猫)。ちゃんとすくすく成長しております。カフェバーに飼われてる猫なんだけど、このにゃん達の餌代になるように、今度ここで一杯呑んで帰るかなぁ。2024.08.23  汪海妹 本編は長編いつも空を見ているの2人 樹君と千夏ちゃんの子供たちが大人になってからの話で、長編かみさまの手かみさまの味の①と②の間の話になります。長編はいずれnoteにも投稿する予定ですが、魔法のIランド、小説家に