見出し画像

生まれてから ずうっと揺れている心臓


気持ちが すぐ 揺れてしまう

自惚れも自己嫌悪も
表裏一体


以前に椎名林檎さんの言葉を紹介した記事を書いたこともあったが
(知的な鳴き声 自己愛とその崩壊)


自己愛も自己嫌悪も人間の本能だとすると
そんなに 深刻に捉えるものでは無いのかも知れない


それでも、日々
いろんな事に気持ちは 揺れ動いてしまうもの

自分の場合は 恋愛において
その現象が顕著であった

最近は 落ち着いたと思う
もしかしたら 相手と自分の相性にもよるのかも知れない


昔は 壊れたカセットテープのように

別れたい を 繰り返しては 相手を困らせ 怒らせ
結果、双方が 神経を摩耗するという 底なし沼に棲息する厄病神の
思うツボで 

ただでさえ 酷い目の下のクマが
致命的に悪化してしまった


笑い事では無い

引っ越し先を探す為に 訪れた不動産屋の営業マンに


「目の下のクマを見ると けっこう いってますよね」

と、
サービス業とは思えないような台詞を
吐かせてしまったくらいに 深刻なクマなのである


ちょっと待った
ボクがしたかったのは クマ の話ではなく


「揺れる気持ち」についてであった

失礼


その揺れる気持ちについて

片山令子さんは『ブリキの音符』という詩集で
こんな風に書いている


***

揺れる気持ち

さっきまでは 何でも出来そうな気がしていたのに
すぐまた ゆらゆら 揺れてくる気持ち

好きになったかとおもうと嫌いになって
行こうと決めたのに 行きたくなくなって
でも やっぱり好きで
やっぱり 行きたくなって
ゆらゆら揺れる気持ちから 手を離す

手紙を書き 出さない方がいいかもしれないと捨て
何も言わないのでは、と書きなおし
こうではないと また 書きなおし
おしまいにやっと ゆらゆら揺れて
止まらない気持ちも いっしょに封をして
ポストの口で 手を離す

わたしはいつも こうだった
そんなことで どうしようと迷いながら 揺れながら
「その時」をえらんだ

でも 、手を離したら もう迷わない

どこから離れて あたらしい場所へ
カーブをつくって飛んで いくのを楽しもう

そして あたらしい場所につくと
止まらない地球の風を受けて
また ゆらゆら揺れ始める
これが わたしのやり方らしい

小さい時から 揺れるものが好きだった

揺れるものは 不思議な力をもっていると 知っていた

たとえば つるつる重なって さわぐ太陽のレンズ
こもれ陽を たくさん 抱いて 揺れている木

ときどきつけるイヤリング
ロックンロール

生まれてから ずうっと揺れている心臓


***


生まれてから ずうっと揺れている心臓

成る程、
ボクが 揺れてしまうのは 心臓に気持ちが リンクしているからなのか


どっくん どっくん


いま、この瞬間

心臓は ずうっと揺れている

どっきゅん どっきゅん

の、ときもあるし

ばっくん ばっくん

の、ときだってある


生きている心臓は 目まぐるしく 揺れ動いているのだ


ボクも小さい時から 揺れるものが好きだった


たとえば、公園のブランコ
夕涼みの風鈴

エアコンの風にそよぐモンステラのハート型の葉っぱ
キラキラと反射する サンキャッチャーの虹

ベランダの洗濯物  
つめたいアイスティーに沈む氷

蝶々の羽根
ヘッドフォンから聴こえてくるメロディー



それに それに
すぐに  揺れ動いてしまう 自分の可愛い 恋心(笑)


くるくる くるくる
風車


ふわふわ ふわふわ
綿帽子


揺れたっていい

だって 生きているんだもん



***


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集