【書評】 引き算思考 「減らす」「削る」「やめる」がブレイクスルーを起こす
「足すより引け!思考の盲点を突く"引き算思考"が人生を変える」
現代社会において、私たちは常に「足すこと」「増やすこと」を第一に考えています。
新しい機能を追加する、サービスを拡充する、知識を増やす—こうした「足し算思考」は、私たちの DNA に深く刻み込まれているかのようです。
しかし、本書は、そんな私たちの思考の偏りに警鐘を鳴らし、「引き算思考」という新しい視点を提示しています。
本書の特筆すべき点は、人間が「引き算」を考えつきにくい理由を、生物学的、文化的、経済的な3つの視点から深く掘り下げていることです。
私たちの祖先は、常に「より多く」を求めて進化してきました。食料を蓄える、道具を作る、知識を蓄積する—これらはすべて「足し算」の歴史でした。
そして、この「足し算バイアス」は現代社会にも色濃く残っています。
特に興味深いのは、資本主義経済システムが、いかに「足し算思考」を助長しているかという指摘です。
生産、消費、蓄積—これらはすべて「増やす」ことを前提としています。
「引く」「減らす」という発想は、経済的な価値を生みにくいため、自然と避けられがちになるのです。
しかし、本書は単に「引き算」の重要性を説くだけでなく、具体的な「引き算思考」の方法論も提示しています。
特に注目すべきは、「引き算の4つのステップ」です。これは、「改善前の引き算」「先行する引き算」「気づかれる引き算」「再利用可能な引き算」という段階的なアプローチを示しており、実践的な指針となっています。
本書が強調するのは、「引き算」は単なる削減や省略ではないということです。
それは、システムの本質を見極め、より効果的な改善を実現するための戦略的なアプローチなのです。
例えば、不要な要素を取り除くことで、システムの核心が見えてくる。そして、その理解に基づいて、より効果的な改善が可能になるのです。
また、本書は「引き算思考」が持つパラドックスも指摘しています。
つまり、「引き算」は「足し算」よりも高度な思考を要するということです。
なぜなら、「引く」べき要素を特定するためには、システム全体を理解し、各要素の関係性を把握する必要があるからです。
これは、むやみに「足す」よりもはるかに洗練された思考プロセスを必要とします。
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本書を読んだ感想として
本書を読んで最も印象的だったのは、私たちの思考がいかに「足し算」に偏っているかという気づきです。
例えば、仕事の効率を上げようとする時、多くの人は新しいツールの導入や、新しい手順の追加を考えます。
しかし、既存の無駄な手順を省くことで、より大きな効率化が実現できる可能性があるのです。
個人的に共感したのは、「引き算」の難しさについての指摘です。
「足し算」は結果が目に見えやすく、努力が認められやすい。一方、「引き算」は、その効果が見えにくく、評価されにくい。
しかし、だからこそ、「引き算思考」を意識的に取り入れることが重要なのだと感じました。
本書を特におススメしたい人
・仕事や生活の中で、常に「何かを足せば良くなる」と考えている方
・複雑化する問題に直面している経営者やマネージャー
・シンプルな生活を目指している方
・効率的な問題解決方法を探している方
本書とあわせて読みたいおススメの書籍
・手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択 ミニマリストしぶ (著)
・経験バイアス:ときに経験は思考決定の敵となる エムレ・ソイヤー (著), ロビン・M・ホガース (著)
・演繹革命(えんえきかくめい) -日本企業を根底から変えるシリコンバレー式思考法 校條浩 (著)
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本書のまとめ
本書は、私たちの思考の盲点である「引き算思考」の重要性を説き、その実践方法を提示しています。
人間には生物学的、文化的、経済的な理由で「足し算」を好む傾向がありますが、問題解決には「引き算」という選択肢も重要です。
特に、システムの本質を理解し、効果的な改善を行うためには、「引き算思考」が不可欠です。
本書で提示される4つのステップを実践することで、より効果的な問題解決が可能になるでしょう。
「引き算」は単なる削減ではなく、本質を見極めるための重要な思考法なのです。
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