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アメリカ人部下5人を解雇したらご飯が食べられなくなった話


アメリカに本社があるグローバル企業で約10年ほど管理職をしています。

前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいましたが、それはとても悩んでいたからです。

何があったかというと、約2ヶ月前に会社都合で部下5人をレイオフしました。

理由としては事業部長が、あるチームを丸ごと外注することに決めたため、直属の上司である私がチーム全員に解雇を告げなければなりませんでした。

会社都合とはいうものの、そのチームのメンバー数人は会社が求める新しい方向性に納得してなくて、社員の1人が不満を事業部長に話してしまったことがきっかけでした。

私は何とかして事業部長の決断が変えられないか試みました。あと1カ月だけみんなのマインドを変えるチャンスが欲しい、と。

そうお願いしたのは、自分がもっと早く気づいて早く解決に動いていれば…と、自分の無力さや後悔の念に悩まされたからです。



リーダーは決断が早い


ただアメリカのエグゼクティブと言われる人たちの決断はとても早い。人を大事にする分、組織に悪影響を及ぼす要素は早く排除しようとします。

上司を飛び抜けてその上のポジションの人と直接話すというのは一種の賭けで、それによって評価が爆上がりすることもあれば、命取りになる場合もあります。

今回は最悪のケースになり、1人が愚痴を言った事でチーム全員が巻き込まれる事態になってしまいました。きっかけを作った本人はこのことは知りませんが、事情を知っている私はもっと前にできることがあったのではと落ち込みました。

実際のところ、やる気がない人の気持ちを入れ変えるのは大変で、新しい人に替えた方が早いというのも理解はできます。ただ感情的に理解するのはとても難しいです。


最終的に上司は空いた5人分の社員枠を他の必要な部署に充てたいという強い思いもあり、決断が変わる事はありませんでした。





自分の価値観に合わないこと


私は以前ブログで、"寄り添う力を大切にして人を導いていくこと"が使命だと書きました。

変わるチャンスも与えずに解雇するのは、"人を大事にしたい"と言っていた自分の価値観とかけ離れすぎていて、解雇するという行動を自分の中で正当化できないまま時が過ぎていきました。

管理職を長くやっていますが社員を解雇するのは初めての経験だったので、人事と何回も話し合いました。最終的には台本を作って、それ以外は言わないように指示されました。

1ヶ月が過ぎ、気持ちの上では管理職をしている以上通らなければ行けない道だと覚悟を決めました。会社都合とはいえ上司である私がやるべき仕事で、部下が感じる痛みのほんの一部でも私も一緒に感じるべきだと。





身体が先に代弁してくれた


前日になっても緊張することなく、ただ刻々と時間が過ぎました。寝る前にいつも通りにサプリメントを飲んで布団に入ると、体の異常な変化に気づきました。

だんだんと喉が締め付けられていったのです。一瞬さっき飲んだサプリメントが喉に引っかかっていて苦しいのかな?と思ったほどで、息はできるけれどとても苦しいのです。

こんな感覚は初めてなのでなかなか寝つけませんでしたが、朝を迎えいざミーティングに臨みました。

直属の部下(チームリーダー)には私と人事担当の2人で伝え、残りの4名にはまとめて解雇を伝えました。自宅からのオンラインミーティングだったのであっという間でした。


私は淡々と台本を読み、そのあと人事がパッケージ(給料、保険のサポート)などの説明をしました。誰も感情的になることはなかったですが、それはショックで言葉を失ったからとも言えます。

その後、私ができるせめてもの事として直属の部下には個人的にメッセージを送り、他の事業部のマネージャーには彼らに合いそうなポジションがあればぜひ積極的に雇って欲しいとお願いを入れました。

その後朝から何も食べていなかったのでご飯を食べようと口に入れた瞬間、喉が完全に閉まっていて食べ物がつっかえ、窒息しそうになりました。

このまま喉が腫れて本当に窒息してしまうのだろうか?1人で家で倒れて死ぬのだろうか?これは天罰なのだろうか?…と、一瞬強い恐怖心が芽生えました。

苦しい状態のまま必死に水を取りに行き、何とか喉の奥へと流しました。"水は飲める"、"息はできる"と確認したものの、その後も固形物は喉につかえてしまい、まったく食べられませんでした。

こんな経験は初めてでした。原因をサーチしたところ咽喉頭異常感症なのかなと…(ストレスが原因となってのどに異物感などが生じる状態)。

すぐアージェントケア(事前の予約なしで行ける病院)に行ったところ、逆流性食道炎の可能性が高いと。出してもらった薬でかなり落ち着いてきたので、そうだったのかもしれません。



人生の帰路に立たされる


この経験は、私が今後どういう風にキャリアを築いていきたいのか、どう生きていきたいのかを深く考えさせられる出来事になりました。


クビを言わなければいけない前日から喉が締め付けられるだなんて、私自身(精神と身体)が全力で言いたくない!とSOSを出していたんだと思います。

私は残りの人生そしてキャリアを考えた時に、これからも自分の価値に反して会社の命令に従い管理職という仕事をしていくのだろうか?


いや、違う。

やっぱり自分が目標として掲げてきた"自分が繊細で内向的だからこそできる寄り添う力を大切にして、人を導いていくこと"に忠実でありたい!と強く思いました。


だから、はっきりと決めました。

もう絶対にクビにしない。少なくとも改善や成長のチャンスを与えずに諦めることはしたくない!


この先もし会社組織の中で自分の価値観に反したことをしなければいけない時は、自分が立ち去る(いつでも辞められる)準備をするんだ!





ワクワクすることに突き進む


そう覚悟が決まるまで時間はかかりましたが、はっきりと自分のあるべき姿、進みたい道が見えてくると力がみなぎってきました。人生の主導権を握っている感覚が久々に戻ってきたのだと思います。

そして人のポテンシャルを信じて人を勇気づけるために、私に何が出来るかなって探していたところ、コーチングに強く惹かれました。

調べれば調べるほど興味が湧いて、専門的に学んで資格を取ろう!と決意しました。独立してコーチになると決めたわけではないですが、学んだスキルをすぐ部下とのコミュニケーションで生かしながら経験が積める点にも惹かれました。

いつから始めるか、どこで勉強するか、色々な選択肢も多かったですが、次から次へと導かれるように進み、来月コロンビア大学でコーチングの資格を取るためのトレーニングに参加することになりました。



人生は常に学び



私が今回の経験から学んだことは、苦しい体験を通じて考えることで、自分自身を深く理解し、次に進む道を見つけることができるのではないかということです。苦難の中で自分を見つめ直すことは、人生の転機となるかもしれないと思いました。

そして自分の価値観やライフパーパスに共鳴するような道に一歩踏み出すと、物事が驚くようにスムーズに進むことも実感しました。


自分がワクワクすることや情熱を感じられる道を選び、選んだ道に自信を持ち前向きに努力することで、自分が納得できる人生に繋がるのかな(希望をこめて)と思います。


コーチへの道はまだ始まったばかりですが、来月のトレーニングに向けて課題を読んだり、宿題をしているこの学びの過程がとても充実しています。

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