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こみんか こわい

静かすぎる。
シーンって
空気に書いてあるみたい。

サイレンも猫の鳴き声も。
風の音さえきこえない。

古民家にひとり暮らし。
築70年だというが、正確にはわからないそう。

襖の暗がりから何かが見てるような....
天井の木目も奇妙なシミに見える

ひたひたと
ぬるぬると
暗がりが、夜の暗さがこちらを覗いている。

こどもの頃の怖い記憶や妄想が、
あたかもリアルにそこにあるようだ。

ひとり暮らしは初めてではない。
でも、いつも人の気配くらいはあった。

なんと貴重な経験だろう。
よるの黒さは死に近づく暗さだ。

おばあちゃんのことを思い出す。
夜がこわいわたしは、よくおばあちゃんと一緒に寝てた。
そんなとき、おばあちゃんは
 番長皿屋敷 牡丹灯籠 おいてけ堀
そして、小豆研ぎ、ろくろっ首の話をわざとした。
映画でみたのを、語ってたんだと後で気づいた。
セリフも覚えてる。
雰囲気満点で、忘れられない怖さ。

でも、となりにおばあちゃんがいるっていう
安心感があったなぁ。

冷たい怖さじゃなかった。
あたたかみのある怖さ。

そうだ、古民家の闇は
あったかい怖さだ。

おばあちゃんに会いたいな。
久しぶりに番長皿屋敷、読んでみたいな。


かけはし岸子 2024/01/01



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