「【好きな事】を仕事に。」で良いのか? 【得意な事】【やりたい事】【できる事】との違いとは
毎年大学で数コマ、編集や生業についての講義をさせていただいておるのですが、学生さんから質問・相談を受けることが多いのは、もっぱら就職のことです。
学生時代は就職という手段で悩むのではなく、自身の本音を見つけるために本音を解放して全力で遊びまくる(=外的影響からではなく、自分の内側からの楽しい!をとことん追う)をするのが良いと思うのですが。それはさておき。
相談やレポートの中で非常に多いのが、
「好きな事を仕事にしたいけれど」「やりたい事がわからなくて」
といったものです。
ちょっとまてよと。チョまてよ、と。
「好きな事を仕事にするのが良い」「やりたい事が見つかるのが幸せ」
なのでしょうか。
先が見えない昨今のご時世。
よく見かける「好きを仕事に」という情報に対する、個々の思考停止した解釈をしばしば感じております。時に発信者の意図からの一人歩き(しないこともありますが)している様子も。
我々の父親、祖父の時代。日本は目まぐるしい復興と躍進を遂げたのですが。
(それで今の消費的に「豊か」で選択肢も多い日本が、ありがたくもできた)
(一方で、さまざまな伝統や自然との関係性・死生観を失った)
当時は、「やりたいこと」「好きなこと」を仕事に、なんて思う余裕はなかなかなく、今のように選択肢も膨大ではなかったはずです。
でも、彼ら彼女らは、不幸だったのか?
そんなことはありません。
今の若い人の方が、よほど手前で目の前の狭い事で悩んでいます。豊かなのに。
「好きを仕事に」「やりたいことが仕事にできたら」ハッピー。
という先入観は、それぞれを明確に整理して、一度は解いていく必要があると考えております。
ここで、以下の4つの違いを、自分の言葉で表現できますでしょうか?
①好きな事
②やりたい事
③得意な事
④できる事
なんとなく「(世の中や先輩を見ていて苦しくつまらなそうな)”働く事”」を少しでも楽しいものだと描きたいピーターパンな一心で、
とにかく”ポジティブなこと”と”働くこと”を繋げようとしていないか?
というところに立ち返ってほしいと思っています。
個人的には、「働くこと」は、楽しい、とか、つまらない、とかというより、
それ以前にまず、「ありがたいこと」だと考えています。
どこかで誰かの役に立っているから、お金が発生します。
誰かの役に立てて、お金がもらえる。ありがたい。
そして、自分の意図する方向で、本当に役に立てていたら。なおさらありがたい。
話を戻します。
上記①〜④の違いを、考えてみていただけましたでしょうか?
私は、以下のように考えています。
これにより、一人一人の「働く」に適したものが、少しずつ炙り出されてきます。
私は、車に例えて整理しています。
①好きなこと [ガソリン]
→いくらでも続けてできて、際限なく没頭できること。
②やりたいこと[フロントガラスからの美しい景色・目的地]
→これから、どんな風に在りたいか。未だやったことはないけれど。
③得意なこと[運転]
→労力の割に、周囲が喜んでくれること。
(こんな経験、生まれてから今までの間、ありませんでしたか?)
④できること[車の機能]
→経験、スキルの幅と深さのことです。辛かろうが、苦しかろうが、つまらなかろうが、ありたい姿になる為に、これを得る事が必要な時期もあるかもしれません。
この上で、仕事・生業にすることを、各自の視点で、各々が整理していきます。
例えば・・・
仕事にする場合、
●「①好き」なだけでは、「③得意」かどうかはわからない、「④できること」かどうかはわからない。無尽蔵は「好きのガソリン」があれば、時間をかければ乗り越えられる可能性がある。
●「④できること」は、スキルという手段。これだけでは、自分の本音が入っていない。けれど、多い方が良いのは確かだし、深く習熟している方が良いのは確か。
●「②やりたいこと」は、概ねこの表現になる場合は、未経験か、マスターしていないこと。描く未来のありたい姿なので、鮮明に描くことで「モチベーション」にはなるけれど、それだけでは、他人=周囲や社会は、誰もとりあってくれない。
●「③得意なこと」は、効率が良く、成長も早い。「才能」とも言える。全てのベースになっていると非常に有意義。
のように。ひとそれぞれの意志があるかと思います。
息が詰まるような時代かもしれませんが、
日々流れてくる情報や、それらしき美しい言葉や、救われるような言葉に流されず、
「自分の内側から自分を整理すること」
そのために、
「自分で小さくとも実際やってみること」
を大切にしていくと、
自身の未来の景色がどんどん、晴れていくのです。
またまた私自身の話をさせていただくと、私は一生「やりたい事」はわからず、それを探し、追いかけ、チャレンジし、結果から自問自答を続ける事(=手段・過程)自体が楽しく幸せで、それが自分らしいと考えています。常に、死ぬまで、目の前にキラキラした追うべきものがあるので。幸せだと思っています。
これをここまで読んでくださった方に、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
ぜひ、画用紙などに、自由にご自身を整えてみてくださいませ。
おいしいコーヒーや紅茶でも飲みながら☕️
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