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喫茶野ざらし_往復書簡

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記事一覧

往復書簡_佐藤研吾:06_「喫茶野ざらしへの仕込み」

連休に入っていよいよ大玉村の田んぼでは稲の作付けが始まった。水が張られた田んぼが、安達太良山と青空を逆さに映し出したその風景の中で、あちらこちらで稲苗を背負ったトラクターたちがバラバラと、グングン働いている。そんな田んぼの中を車ですり抜けていくのがとても良い感じ。たぶん情報として耳や目に入ってくる昨今の騒がしさがあるからこそ、そんな景色をよりいっそうとても美しいなと思ってしまうのかもしれない。あーいいなと思って、米作りもしたいなーなんて考えることもあるんだけど、なかなかそこに

往復書簡_青木彬:04_「複数の場所から耕す」

二人の書簡を読んでから少し時間が空いてしまいました。 その間にもラジオを収録したり、今後の野ざらしの活動についてあれこれ話をしましたね。 とにかく今は「集まれない」という状況がいつまで続くのか、先が見えず、どうすべきか決めることが難しい。でも、だからこそ野ざらしがどんな理念を持っていて、それをどのように実現させていくか、改めて自問自答する時間となっていることは、前向きに考えています。 自宅にいる時間が多くなったことで、いつもよりも少し自分のことをする時間が増えたことと、運良

往復書簡_中島晴矢:03_「野ざらし的なものから野ざらしへ」

 コロナ禍の状態について取り留めもなく、俺からも書いておこうと思う。俺は今、「喫茶野ざらし」のカウンターでこれを書いている。先週から来客はめっきり減って、かなり暇で。それでもテイクアウトをはじめたから、1日に数人はテイクアウトをしてくれたり、密にならないような形で店でコーヒーを飲んでいってくれる人もいるけれど。密って言っても、そもそも野ざらしは滅多に混まないからね。すごくディスタンスなカフェだと思うよ。カフェ・ド・ディスタンス。純喫茶・距離。なんでもいいんだけど、そう思ってる

往復書簡_佐藤研吾:02_「集まることの検討」

3月の新型コロナウイルスが東京を中心に拡大して行き始めた頃、ちょうどすれ違うように僕は東京から福島の大玉村へ引っ越し(拠点の重心移動)をしたところでした。それから福島でしばらく自宅の内装工事をしているうちに、緊急事態宣言が発令され、東京をはじめ首都圏へ向かうことが困難な状況になってしまっています。 そもそも拠点の重心を東京から福島に移したのは、都市と非都市の間に身を置き続けるための一つの実験、方策でした。普段は非都市に居ながら、時折、都市へと顔を出すくらいの生活と生業のあり方

往復書簡_青木彬:01_「不確実な場所から」

最近なかなか3人で集まることができていませんね。 直接会って話が出来ないと僕はどうもやりにくい性分なので、もどかしく、また不安も募ります。 喫茶野ざらしが開店してから3ヵ月が経とうとしていますが、新型コロナウィルスによってこのような状況になるとは全く考えていませんでした。ましてやそれが、野ざらしの活動を促進するための二階の改装費を募るクラウドファンディングと重なるとは、本当に予期せぬタイミングとなってしまいました。 さて、この往復書簡の書き出しは僕からスタートすると、先日野