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メニューのネーミングについて

商品のネーミングには頭を悩ますところであると思います。 というよりぜひ存分に悩んでください。

 ただし悩み過ぎて直感や客観性に欠いてしまうのもよくありません。

 他店の素敵だなぁと思えるメニューのネーミングを参考にするのも良いのですが、もしかしたらそれはもはや少し古いものになっているのかもしれません。 

例えばモダンな洋食屋さんやカフェやダイナーで出しているメニューの中に「ふわとろオムレツ」など【ふわとろ】という擬態語形容詞をつけているお店も当初は斬新かつ普通にただオムレツと書いてあるよりも確かに美味しそうなのでウケていたと思います。 

しかし、それがどこのお店もそのようなネーミングが乱立してくると今度は安っぽくなってしまいます。

 また「○○県○○産地の○○さんが作った」などという肩書のようなものを書きたい場合もあるかもしれませんが、これに関しては商品名本体というわけではなくメニューブックで商品名があってその下に書いておくとよいと思います(スペシャルティコーヒーなんて特にこの産地名が特定できているということが肝だったりするので記載はしたほうがよいと思います)。 

商品名そのものはシンプルかつ流行に左右されないようなネーミングが良いと思います。 

そんなこと今簡単に言ってますが、これが非常に難しいということも私自身痛感しております。 

珈琲文明のメニュー名をザ~っと挙げその名の理由も述べます。 

文明ブレンド・・・珈琲文明という店名からとったお店で不動の4番キャプテンのメニューであるということを主張しており、メニューの筆頭に書いてある。 

白楽ブレンド・・・お店がある地域、最寄り駅名を記し、地域密着感を出している。 

カレーパン・・・「つぼ型のパンの中にアツアツトロトロのカレーが入っています」などという能書きはメニューブックには書いてあるが商品名はあくまでも「カレーパン」。 パン生地が「カンパーニュ」なので「カレーカンパーニュ」などとしないことのほうが個人的にはポイントであると考えています。 「カレーパン」というあまりにも有名な名称で一般的に人が喚起されるイメージでいったん脳内のハードルを下げさせておいて予想を大きく上回るものにしてあることが狙い。 

みかんジュース&りんごジュース・・・これは単に私自身の感覚的な話になりますが、「オレンジジュース」や「アップルジュース」はあまりにもスタンダード過ぎて、これは先の「カレーパン」の話と矛盾するようでもあるのですが、ここは「みかん」「りんご」と日本語を入れることで和モダンな(?)風情を醸し出してみたつもりです。 また「アイス紅茶」というメニューもありますがこれを「アイスティー」としなかったことも同じ理由です。 

カフェオレ・・・カフェラテやカプチーノは無く、カフェオレがあるという当店はネーミングそのものは何のひねりもありませんが、「コーヒーとミルクを左右から注ぐ実演提供です」という能書きはもちろん書くことによりかなり人気のメニューになっている。 

チョコレートケーキ&チーズケーキ・・・「チョコレートケーキ」に関してはサブタイトルのように「クラシックガトーショコラ」と書き、「チーズケーキ」は「ベイクドチーズケーキ」と説明の一部に記載しておくことによる世に数多あるチョコ&チーズケーキの種類を特定はさせつつ、名称はあくまでもヒネり無しのスタンダード。 

以上がだいたいの定番メニューでして、定番ゆえあまり奇をてらったような名称にすることは意識的に避けています。 

実はネーミングの妙としてはこれら以外「時節のブレンド」や「時節のケーキ」で炸裂しています。

 珈琲文明の現在の「時節のブレンド」の各名称を紹介します。 

★1月2月→「アンダンテ(中煎り)」「グラーヴェ(深煎り)」 

★3月4月→「茜すみれ(中煎り)」「夜宵桜(深煎り)」 

★5月6月→「エバーグリーン(中煎り)」「ディープフォレスト(深煎り)」

 ★7月8月→「ウッドノート(中煎り)」「ヴェルデ(深煎り)」 

★9月10月11月→「ハーベスト(中煎り)」「ノーチェ(深煎り)」

 ★12月→「グラン・ノエル(深煎り)」 

以上が現時点でのネーミングでありますが、これらはもしかしたらいつか変えるかもしれませんが、ポイントとしては「季節性を感じさせる」ことと「中煎り→爽やかなイメージ」「深煎り→重厚なイメージ」を伝えられるかどうかに重きを置いています。

 またスイーツに関しては当店は仕入れているため、仕入れ先でのネーミングと実際に当店で出している際のネーミングを変えることも多々あります。 

例えば仕入れ先では「リンゴと桃のケーキ」となっているところを当店では「桃とリンゴのケーキ」というように語順を変えています。 また仕入れ先が「リンゴのタルト」となっているところを「林檎のタルト」と漢字表記に変えたりしています。 この辺はかなり微調整という感じなのですが、個人的にはとても重要なことであると思っています。 

ちなみに上記の「時節のブレンド」で3月4月の春のブレンドとしましては一昨年までは中煎りの「茜すみれ」しかなかったのです。 年末のクリスマスブレンドである「グランノエル」は深煎り一択(生クリーム系のケーキそろい踏みなのでそれらに合わせる意味でも深煎りをおすすめしたいため)でいきたいのですが、春のブレンドに関しては深煎りもあっていいなぁと思っていましたが、とにかくいい感じのネーミングが思い浮かばなかったのです。 つまりネーミング有りきというわけです(笑)。 

でもそれくらいにネーミングは大事だなと思いますし、また大事につけてよかったなと思える現象が実際に起こりました。 春の深煎りブレンド「夜宵桜」というのが現在、茜すみれどころか定番の「文明・白楽」の両ブレンドを凌ぐ大人気となっているのです。 明らかにネーミングで注文している感じであります。 詳しくは珈琲文明のブログを参照してみてください→ほんのりビジュアル系?夜宵桜(やよいざくら) 

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