お店で行うのイベントについて
(当記事は2021年4月にかかれたものです)
この度のカフェラボイベント「珈琲文明を創った本たち」ではおかげ様で1万3千円もの寄付金が集まり無事コロナ医療従事者への募金をすることが出来ました。
今回は自分のお店の中で行うイベントについて考えてみたいと思います。
以前とある取材で「コーヒーと音楽どっちが好きですか?」と、ド直球の質問をされたことがあります。
なんの迷いもなく、「音楽です」と答えました。
はい、これ誤植じゃないです。音楽です。
「コーヒーと音楽どちらか一つ取ってどちらかは永久に手放さないとあなたは命を取られる」という状況になった場合(幸いにしてそういう状況になりそうもないですが)、これまた、一瞬の迷いもなく「音楽」を取るでしょう。
現時点で私は、「コーヒー」を取られると生活の糧を失うことになり、音楽を失っても生きてはいけます。
しかし、私の場合はそれでも迷わず音楽を取ります。
さて、近年ではカフェその他飲食店では、平常営業の他に各種イベントを取り入れているお店が増えてきています。
「音楽の生演奏」「写真や絵画の展示」「マジックショーや占い」などなど。
これらイベント各種に対する私の個人的な考えを述べます。
趣味が高じてそれらに関する専門知識も多く、それらに関わる知人友人も多い場合、そしてそれらが店主本人も好きでたまらない場合、そういう物事に囲まれて営業が出来るというだけでも幸せなことかもしれません。
この場合私がイメージするのは例えば、ビートルズが好きで好きでたまらない店主が作った、【ビートルズ「の」「による」「のための」店】であればそれはそれで有りで、これがビートルズレベルであればまだいいのですが、いくら大御所とはいえ「グレイトフルデッド専門カフェ」となると営業的に厳しそうなのは想像つくと思いますし、またそれでも良しとするお店の自由を悪く言う権利は誰にもないはずです。
さて、私のお店は珈琲専門店です。
普段の店内BGMはチェロの音楽オンリーです。
店内にアーティスト作品の展示もなければ、ポスターの類は一枚も貼っていません。
どちらかというと「音楽(特にロック)臭」を消しているともいえます。
普段から大好きなロックに包まれて営業する、それも確かに幸せでしょう。
しかし、お店で生演奏を頻繁にやるお店、そしてそれによる営業が店の利益のかなりの比重を占めるような場合、最高のパフォーマーばかりではなく、もっと言えば相当イマイチな人たち(でありながら集客力はかなりあるというパターン)の出演ということもあるでしょう。
もちろんこれに否定もしませんし、そもそも音楽が大好きな人であれば、なんでもない営業よりもとにかく音楽に包まれているぶん幸せだという人もいるでしょう。
でも私の場合は、音楽と平常営業をバッサリ切り離すことで音楽の純度を保っているような気がします。大好きな音楽のことをああだこうだと言ったり言われたり(きっと言うほうが多そうです・・・)することなく、そのポジションを完全自由な場に置きたいという思いがあります。
このへんの葛藤はかなり有名なプロミュージシャンにだってある話です。
それを商売にしている以上ある種の不自由さは当然です。
私は大学を卒業してから10年以上ずっとフリーター(塾講師)で音楽を続けてましたが、音楽でお金をなかなか得られないうえに、会社に勤めていない分、時間の融通に関しては自由だったかもしれませんが、やはりある意味ではずっと「不自由」だった気がします。
私のお店のお客さんで、作家としては芥川賞、作曲家としては日本レコード大賞作曲賞、さらには数え切れない誉れある肩書きを持つ人がいるのですが、その人はさらに普通に仕事も持ち、定年まで勤め上げた人でもあります。
その人が「音楽は一度もお金のためにやったことがない」と言っているのを聴いた時、この人は音楽を完全自由の身でやっている純度100%の珍しい人だと思いました。
並列で述べるにはおこがましいことではありますが、私の音楽への向き合い方は今どちらかというとこのスタンスです。
話が個人的になり過ぎましたが、お店でのイベントの是非については、大好きなことを「やる」ことで生まれる幸福もあれば、「やらない」ことでその純度はさらに高められる幸福もあると思います。
ここでもっと現実的な話、営業的なメリット・デメリットの話に移ります。
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