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不動のレギュラーメニューで仕入れ元が販売終了してしまった場合どうするか

さて、前回皆さんにも問題提起して終わった「レギュラーメニューでその仕入れ元が販売終了してしまった場合」の皆様それぞれの答えは見つかったでしょうか?

予め言っておきますとこれに正解はありません。

しかし決断をくだすまでの思考プロセスというものは重要であると思いますので、今回は特にそのへん(思考プロセス)を述べていきますね。

まずその前にこれも重要なことなのですが、「不動のレギュラーメニュー」というもの自体をレア物商品(原材料等も含め)にしないということが大前提であります。

チョコレートケーキやチーズケーキは多くの業者がたくさん販売しております。

でも仮に「イチジクのタルト」をレギュラーメニューにした場合、その仕入れ元以外の業者で美味しくてリーズナブルな業者を探すのは難しいと思います。

探すというよりそもそも他に存在しない場合だってあります。

似たようなケースとしてやってしまいがちなのが、地元を盛り上げたい、地産地消で、という考えそのものは良いのですが、個人店との取引は相手のお店がいつまでもやり続けているとは限らないという問題もあるので期間限定メニュー等であればまだしも定番メニューにするのはよく考えたほうがよいと思います。

珈琲文明で出している「カレーパン」の「パン」は当初、個人店のものを扱っていました。

多くのパン屋を巡り、調べた果てに見つけたお店で、そこのオーナーはいわゆる職人気質なこともあり、個対個のやりとりで時に衝突もありましたが、私自身それも含めて気に入って取引しておりました。

ところが、そのオーナーはもうかなりの高齢ということもあり、とうとう店を畳むことになったのです。

考えてみれば当然こういうことは想定できたことなのですが、なんだか私自身そのお店が未来永劫ずっと続いていくような錯覚を起こしていたのです。

ただこの場合も「パン」という超ポピュラー商品ですから圧倒的多数の比較検討材料があるため新たな仕入れ先を見つけるのにはさほど時間はかかりませんでした(現在のパンは大手の総合食材卸元から仕入れているため、以前のようにパンだけのために振込に行くということもありませんし、注文の翌日には配送されるなどいろいろとメリットもあります)。

思えばチョコレートケーキやチーズケーキも私の中では創業前にこの「仕入れ元が潰れたりした場合困る」「仕入れ先と衝突したらめんどくさい」「突然激しく値上げされたら困る」等を想定したこともあり自分で作ろうと思いこの2品に関しては創業以来13年間自家製でした。

しかし「コーヒーに最も合うケーキのツートップ」だと思っているチョコ&チーズのケーキが自家製により生産が追い付かず、すぐに売り切れてしまうという事態が頻発し、本来の目的がこれでは本末転倒であると考え、思い切って仕入れに切り替えました。

さてそんな経緯がありつつもとうとうこの度これまでの仕入れ先のチーズケーキが終売になってしまったのです。

これまで仕入れていたチーズケーキはアメリカからの輸入ものでして、この度のコロナにより物流に問題があり直接取引がある日本の総合卸業者とのやり取りで終売が決まったとのことでした。

そして、写真のように3種類のチーズケーキのサンプルを取り寄せました。

右から「ベイクドチーズケーキ」「ニューヨークチーズケーキ」「ダブルチーズケーキ(ベイクドとレアが二層になってるもの)」となっております。

皆さんならどういう選択をするでしょうか。

最初に申し上げたように「結論に至るまでのプロセスが大事」なので、私の結論に至るまでのプロセスを中心に述べていきますね。

まず考えたのが「チーズケーキだけ再び自家製に戻す」です。

ただしこれはメニューの値段構成(チョコレートケーキと同額)やツートップ感のためにはやはりチョコレートケーキのほうも自家製に戻す必要があり、まぁ頑張ればいいだけって話なのですが、これも結局「生産が追い付かない」という結果が目に見えており、根本解決にはなっておらず、やはりここは仕入れにしたいと思いました。

そしてもう1つの考えが浮かびました。

それはこれまでのような不動の、メニューブックに印字固定されているものにせず、他の「季節のケーキ」のように変動する(名刺サイズの紙面で入れ替える)ものとし、例えばチョコレートケーキといってもガトーショコラの他にこれまでもショコラズコットやショコラシフォン等の季節のケーキの中でもチョコレート系があったわけで、「時節のチョコレートケーキ」のようにし、同じようにチーズケーキもそういうバリエーションをもたせれば上記3種類のチーズケーキ全て出せるし、さらに夏にはレアチーズケーキといった涼やかなものもいいかもしれない、いい!これは名案だ!と閃きました。

しかし、踏みとどまりました。

その理由は当店のチョコレートケーキ(ガトーショコラ)が超優秀コスパメニュー(店側にとっての)であり、これをレギュラーで固定しておきたいというのがやはりありました。

チョコレートケーキはホールの状態で仕入れるため10等分にカットするという手間(8等分ならラクだったのですが)はありますが、その手間を補って余りあるほどにやはり仕入れ値も安く、かつこれまでも安定的な人気もあり、これを定番から外すという手はないなと思いました。

考えを整理すると「自家製ではなく引き続き仕入れとする」「チョコレートケーキは従来どおり」となりました。

そうなると重要なのはこれまでもそうでしたが「チョコレートケーキとの兄弟感(?)」であります。

見た目、さらにはサイズ感、そしてチョコレートケーキには生クリームを添えるのでチーズにも生クリーム添えが似合うものというのも大事です。

では私が出した結論を述べます。

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