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#219 夜カフェが最高のリラクゼーションに
カフェやレストランには
だいたい明るい時間に訪れる。
お酒があまり飲めないので飲みに行くこともないし、
夜出歩くことはほぼなくなった。
だから暗くなって飲食店でいることなんて
ないのだが、
この日は仕事でモヤモヤと疲れた気分で
帰り道、本格的においしいコーヒーをゆっくり飲んでリフレッシュしたいと、
前から行きたかったカフェへ行ってみた。
ところが満席で入れず、
近くのカフェが開いていたのでそちらへ移動。
そのお店、1歩踏み込んだ時から
店内の雰囲気の良さにワクワクした。
壁がレンガ作りで、天井からぶら下がったライトが
心地いい灯りを落とし、
落ち着いた絵画のような空間。
夕方4時半頃という中途半端な時間だからか
広くてきれいな店内には人がおらず、
おしゃれな小柄なおばあさんがコーヒーを飲んでいた。
4人がけテーブルに優雅にひとりで座り、
なにやら書類のようなものを広げて
仕事をしている風だった。
最初はお店の人が仕事しているのかと思った。
その風情が素敵だなと通りすぎ、
外の緑が見える窓際のはしっこの席を選んで座る。
にぎやかで活気のあるお店もいいものだが、
人がいなくて静かなのもとてもいい。
さびれているのではなく、
手入れが行き届いたお店は美しくてゆったりと音楽が流れている。
これだけで最高だなと座り心地のよい椅子に腰をおろしてまわりを眺める。
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夕陽が入る景色が私にはめずらしい。
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チョコレートのロールケーキと
ホットコーヒーを注文。
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ロールケーキのくるりにチョコレートクリームが塗られ
いちごが飾ってある。
中心にはシンプルなチョコレート味の
生クリーム。
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まさに求めていた、香りたつコーヒー。
これです、これです。
コーヒークリームをつけてもらったけど、
まずはブラックで飲んでみる。
はあ~、おいしい。。
いつものようにふぅと一息ついて
ケーキに手をのばす。
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生き生きとした観葉植物や外の緑を眺めながら一息つく時間。
思いつきで寄ったので本は持ち合わせてなく
携帯でKindleの本を読んだ。
これが私にとってのカフェの醍醐味であり
魅力だ。
隣の4人がけの席に、
柄のワンピースを着て帽子をかぶった
いい所の奥さま風のおばあさんが1人で座り、
スパゲティを注文していた。
さっきのおばあさんとは違うふくよかな感じの人。
お年を召してもおしゃれをして一人でレストランに夕食を食べに来るなんて素敵だな。
にんにくのいい匂いが漂ってくる。
時折、カチンカチンとフォークがお皿に当たる音。
また別の席には若い女性が1人、
パソコンを出してきてキーボードを叩いている。
そこにもなにか料理が運ばれていた。
そろそろ早めの夕食の時間なんだな。
私の後ろの方からはにぎやかな女の子たちの声が聞こえ、
夜のカフェの時間が始まったようだ。
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外が暗くなると、
店内の間接照明のあたたかい明るさが際立ち始める。
昼間とは全然違う表情。
夜もまた素敵だ。
夕方から夜にかけて日が暮れる時間。
会計を済ませて外に出たとき、
空はまだうす青く、紫色やピンクのグラデーションがきれいで見とれた。
寒い外からお店を見ると一面ガラス張りの
オレンジ色の店内があたたかみがあってとても素敵だった。
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仕事のモヤモヤ感はすっかり忘れていた。
とても新鮮な感覚。
知らない土地へ来たような。
違う世界に来たような。
ケーキセットの値段以上の価値を得られた
夜のカフェだった。
すっかりリラックス。
ストレス発散というよりも
ストレスが溶けちゃったような。
この時間と場所に出会えて、
最初行きたいお店に入れなかったことに
感謝かもしれない。
🌱お読みいただきありがとうございます