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ジーンとした話

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嬉しかったり切なかったりしんみりしたり、ちょっぴり心震えたお話をまとめています。
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記事一覧

上高地週間(徳沢編)

一週間の間に、2回上高地へ行っていました。 1回目は徳沢まで1泊2日。 2回目は涸沢まで2泊3日…

nakazumi
3週間前
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おかあさんといっしょ

幼いころよく遊んでくれた親戚のお姉さんが、懐かしい写真を数枚送ってくれました。 色褪せた…

nakazumi
3か月前
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老舗イタリアン

以前、東京へ出かけた時のことです。 ふと、20代の頃勤めていた会社から徒歩圏内にあったイタ…

nakazumi
3か月前
80

水色とラベンダー色の姉妹

人に色がついて見える、というお客様がいらっしゃいます。 彼女は占い師でもカウンセラーでも…

nakazumi
5か月前
90

2つの貯金

あるカップルのお話です。 彼の名は、太郎さん。 彼女の名は、花子さん。 2人が結婚する前の…

nakazumi
6か月前
87

「悔やまない」と「悔いのないように」

店を始めてまだ間もなかった十数年ほど前、知人が劇団四季の『コーラスライン』を観に連れて行…

nakazumi
9か月前
79

お姉ちゃんの選択

5歳の頃から、2歳年上の姉とピアノを習っていました。 ピアノ教室は家から5キロほど離れた街の中心部にあり、毎週土曜の午後、姉と2人でバスに乗って通っていました。 のどかな田舎の路線バスとはいえ、片道約30分。 幼い姉妹2人だけで通うのはそこそこの冒険だったと思うのですが、妹のわたしはバスの時間も把握せず、バス代も持たず、乗り降りするバス停も覚えず、姉に頼りっきりで乗っていました。 ただひたすら光る魅惑的な降車ボタンを押すことだけを楽しみに、だけど降りるバス停はわからないので

思い出のクリスマス

その年の12月は、山に暮らして2年が経った頃で、はじめて一人で迎える山の冬でした。 今は隣に…

nakazumi
11か月前
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旅先珈琲

普段暮らしている場所が山間部の雪が多い寒い地域なので、旅はたいてい海のある、暖かい地方に…

nakazumi
11か月前
137

嬉しい再会

数年前の出来事です。 爽やかによく晴れた日のオープン直後、その日の風のように爽やかな美人…

nakazumi
1年前
51

手紙

棚の整理をしていた時に、30年ほど前の手紙の束が出てきました。 20代の頃に受け取った何通か…

nakazumi
1年前
92

新しい何かを始める人に

店を始める少し前に、「高原で喫茶店をやろうと思う!」と思い切って知人に打ち明けた時、「や…

nakazumi
1年前
59

疑心暗鬼のほぐし方

現在暮らす高原に移り住んで16年目。 今ではご近所には親しい友人たちがいて、オープン以来の…

nakazumi
1年前
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憧れのお店

そのお店は、A市の駅前裏通りにあります。 気軽に楽しめるフレンチの小さなお店で、ご主人が作るお料理は絶品、奥様の接客とお人柄はそれはもう素晴らしく、なのにお値段は控えめ。 SNSどころかウェブサイトもなく、通り過ぎてしまうほどの目立たない店構えですが宣伝など必要ない老舗の人気店で、わたしが大好きな作家も通うお店なので、店名は『B』とします(その作家は昔コロッケのおいしいお気に入りの定食屋さんを、今年の干支を使った仮名で紹介していました。そう、あの人です)。 A市で会社員生活