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ポンガシグサみたいな名前の魚

その日は夕飯にアクアパッツァを作るつもりだった。
白身魚を探して鮮魚コーナーを見ると、大量に並べられたタラと共に目に入った切り身のパック。
パンガシウスという魚らしい。


この魚の名前を思い出す時、つい頭に浮かんでしまうのがポンガシグサだ。
ポンガシグサとはピクミンという任天堂のゲームシリーズに共通して出てくる、架空の食虫植物である。
その大きな花にピクミンを投げ込むと、花の色に応じたピクミンの種がポンと飛び出してくる。
その様子をポン菓子に例えてこの名前が付けられたらしい。
プレイヤーにとってはとても馴染み深いものだ。

そして面白い事に、パンガシウスとはかなり名前が似ている。
最初がパ行で始まり2~4文字目が"ンガシ"、更には最後の文字もサ行という所が共通しているのだ。
これを親友に話すと「実質ポンガシグサなのでは……?????」などと冗談めかして返された。そんなわけがあるか。


私はその見慣れない切り身を買って帰った。
あとで職場の同僚に話すとよくそんなの買ったねと言われたけれど、
だって、皮も骨も処理されてるから面倒じゃなさそうだったし。
知らないものは食べてみたいし。
私は基本的に食べた事のないものは現実のものであれ架空のものであれ、なんでも「どんな味なんだろう」と涎が出てくる人間である。(※虫は無理)
ドラゴンとか本当に食べてみたい。固そうだけど。

家に着き、アクアパッツァを作ってみた。
作り慣れている料理だったしオリーブオイルと塩の組み合わせは大抵のものをおいしくしてくれると信じているので、味見はしなかった。
そして実食。
……なんか物足りない。
魚を食べてみる。味がしない。
なんだこれは。あれ?おいしくないような気がする。
私の作った料理は大体おいしいはずなのに。
この魚、旨味がない!!!


調べてみると、パンガシウスは淡水ナマズの一種らしい。
東南アジアでは一般的に食べられている魚だそうだ。
ナマズを食べてみたかった私としては、これには少し嬉しさを感じた。
味は本当にクセがなく淡白。脂もほぼ皆無。
なので、油多めの調理法が良いらしい。
切り身の入っていたパックにも書いてあった気がする。フライやムニエルにおすすめだと。
少なくともアクアパッツァには向かない。

味の方はいまいちだったけれど、身はとてもふわふわで柔らかかった。
調理法次第でかなりおいしく食べられるのではと思う。



後日。
おいしく作れなかったのが悔しくて再挑戦してみた。
今回はムニエル。
ほんの少しだけ塩を多めにしてみた。

結果は大成功。
身がふわっふわでやわらかな、とてもおいしいムニエルができた。
パンガシウスは調理法次第で本当においしい。
値段も高くないし、また買ってこよう。




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香夜るり
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