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「今、会いにいきたいお店」 - 実店舗に行くことはアイデンティティを買い、誰かのセンスから気づきをもらうこと。な気がしてる。


インターネットの発達は、色々なものを「当たり前」にした。

その大きな1つが「モノを手にいれる距離感を変えた」こと。
欲しいものがあれば、スマホでさらっと注文をして、翌日には品物が届いたりする。

日本になければ、海外のどこかから送られてくる。
新品が業者になければ、どこかの会ったこともこれから一生涯会うことのない人から手にいれることもできる。
(実際、増田は3年間探していたレコードを某サービスを使うことで秒で入試ました。素直に、嬉しい限りであります)

「あそこの場所にあるかもしれない・・・」などと電車を乗り継ぎ、いくつかの店舗を回り、やっとの事で大汗をかきながら、お目当のアーティストの新譜を手に入れるなんて、もう、石器時代の話だったかのような!?気もする(多分)。

それでも、行きたい場所がある。わざわざお店に足を運んでしまうことがある。それでもふと、思う。

「何してんだろうね。自分。だったらその時間を映画だとか、読書にでも使えばいいのにね。」と。

その理由をなんでだろうね。と聞かれるので自分なりの実店舗活用の意味を考えてみた。


以下、それなりに活用機会の多い業態から書いてみる。

▼レコード

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僕の収入のほぼ全ては、音楽に充てられる。理由は「好きだから」でしかないのだけど、レコードが欲しい。アナログ盤のフィジカルで欲しい。

理由も簡単で、「DJをするから」でしかない。

「レコード買っているんですか!おしゃれ!」とか言われる機会もあるけれど(錯覚)、超簡単な理由でしかなくって、

・DJをする時にCDJの扱いに慣れていないのでアナログレコードの触った感じでのプレイが自分的に楽。
・デジタルリスニングライフ、ipodの登場以降、本気で曲のタイトルが覚えられないので、アートワーク、ジャケットの視覚情報に頼って記憶している

が大きな理由です。恐らく、DJをしていなかったら、サブスクリプションサービスで、無限に近いアーカイブの中にまみれて、音楽ライフを行なって、
レコード代から浮いた部分を、海外にでも行くのかなーなんて思ったりしている。

僕は普段、下北沢のお店、原宿のとある著名なレコードショップで新譜を買うことが多い。その大きな理由は、「店員」さんの力だ。

つまり、「人」。

サブスクリプションサービスの恐ろしく優れているところは、アルゴリズム。自分の再生履歴を超優秀な機械様が判定し、「君、これ、気がついていないよね」と差し出してくる。
恐らくまともにCDショップを巡っていたら、まず、出会わないし、ディスクガイドからも間違いなく掲載されないようなアーティストが流れてきて、
「誰よこれ!」と気がついて、「フォローボタン」をタップ。はい。認知完了。だ。

ただ、これだけならお店にわざわざ通う理由にはならない。

先に書いた「人」。である。

この人というポイント、実は捕らえられ方が間違えられがち。だったりする。その店員さんと話すことが目的の全てではない!のです。

それは・・・・・・・・・・・

「自分の好みをめっちゃ知っている人で、レコードセレクトのセンスを信用しているバイヤーさんに、自分がまず触れないだろうけど、世界観が広がる1枚をバイヤーさんを信頼してオススメして欲しい」

なのです。

1.長年そのお店に通っている
2.バイヤーさんのセレクトセンスをめちゃくちゃ信頼している
3.1と2の組み合わせで、「自分の世界観を広げてみるために知らないものに触れてみたい。だから、オススメしてもらい、信用買いをする」

ということになります。

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(毎週のように通う、原宿のBig Love。最高ですね。夢の空間ですね)

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(大阪のAlffo Records、レコードを買いながら軽く仕事帰りのご飯まで!

イベントも定期的に行われているのでインスタを見て!)

これは、さすがにアルゴリズムでも出てこなくて、例え近いものが出てきたとしても、「文脈」は大した情報もない英語サイトから、検索して探すことになる。でも、お店では秒で、「増田がこのレコードを聴いたら面白そうな理由」を話してくれる。

「その視点は気がつかなんだ!」という頷きばかり毎回与えられる。

そして、例えば好みでなかったとしても、「自分がめちゃくちゃ好きな音楽の嗜好の理由(ここでは「わけ」と発音してね)」を再確認できる。
そうなのです。アイデンティティが確立されるのです!
1億総自分探し時代に、こうやってアイデンティティを見つけられるなんてありがたい限りなのであります。

もちろん、僕だって通信販売を使う。その理由は、ほんの些細なこと・・・。買い逃したレコードをお店で買う時が少し恥ずかしい時・・・・ですwwww

▼服
よく行くお店は大体決まっていますが、「セレクトショップ」という業態が大好きです。それは、いくつか有名な会社があるけれど、それぞれの企業の伝えたいカルチャーを選んでいる気がするからです。
大手でも、それぞれストリート感、ラグジュアリー感、フォーマル感の軸から、さらにブランドの選び方に特色がある。

僕の場合は、サイズ感を試着したいというのもあるけれど、レコードと同じように、店員さんの信用度を買っていたりします。
普段お願いしている推し店員さんは、ちょっとすごくて「そろそろこういうカラー、雰囲気も試しましょうよ!」とこちらの各シーズンのやりたいことを伝えてくると、次にお店に行った時に変化球を投げてくる。それって、案外すごいことで、いわば自分のオーダーメイド専任スタイリストが存在しているようなものなのです。

当然、好きな音楽や、映画の話題にもなるので、店員さんの好きなジャンルに引っかかれば、その嗜好も小出しに組み込んでくる。
「この商売上手!」と思わされる。そして買わされる。買ってしまう。でも、妙な満足感がある。

ここは、いつも通う美容師を選ぶポイントとも近いかもしれない。

結論は「人」だったりするのだけど、書店の使い方と、過去にお仕事で自動車メーカー案件をしていた時に、担当から聞いた「ディーラーのあり方」が参考になっている気がする。それは、

▼本

どうしても欲しいものがある時、手に入らないものがある時は、通信販売でダイレクトに注文しておく場合もあります・・・がほとんど9割は書店で買っている気がする。

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理由は超明確で

「インプットしたい情報を俯瞰して、同じテーマを違うジャンルから集めたい」から。

書店の新作コーナーで最新の表現を。平積みや特集の中からは流行から該当するテーマを。専門書からは探しているテーマの深掘りを。する。だから、1つの目的で情報を探している時に、横断した異ジャンルから情報収拾をしていく。それが、専門性以外での、考えるべきテーマの深掘りに繋がっていたりする。

個人の意見なのだけど、1つのテーマを専門的に超深掘りしたとしても、視野が狭くなってしまい、「答え合わせ」通りの情報の処理になってしまうことが多かったな。と感じている。
つまりは机上の理論。

だけど、企画のお仕事をしている自分にとっては、多ジャンルを本題に応用できることが案外大事だと考えてもいる。「ここからこんなネタを引っ張ってきたのか!」というパターンの方が面白かったりする。

だから、1つの視野に限らず、俯瞰した中で同じテーマ性を持った情報収拾がポイントだったりな!とも思っていたりする。

▼ラーメン
これは通販できないのだけど・・・僕はあるお店が大好きで、そのお店はラーメンではなく、「店主の生き様」を売っているからなのです・・・。
嬉しそうに選んだ出汁の理由を話してくる。それを聞きながら食べていると、なんか、彼の人生をいただいているようで、味の意味合いが重くなる。
と、いうか、深くなる。
だから、通っちゃうんだよな・・・。

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人生最後に食べていい一杯があるとしたら、この神保町の覆麺。

店主が毎朝3時くらいから仕込みを始めた至高の1杯を朝から味わえる。

店主の腕が全てなので本当に最後までやりきって欲しい!!!

と、まぁ並べてみたのだけど、結局は「人」に左右されている場合が多い。

以前、自動車メーカーのお仕事をしていた際に、ディーラーの代表が話していたのだけど、「車ではなく、人を売っている」と。
買うまでは簡単で、その先に買った車との生活をデザインして作り上げていくのがディーラーの大事なお仕事らしい。

それはそう。買うことが目的じゃない。手に入れたレコードを聴く生活、服を着て何かをする。本から情報を得て二次活用していく。
全て、「その次の生活」のためにあるきっかけを作りにお金を使っているに過ぎない。

そのためのキュレーターが最初に接触する店員さんだったりする。

店頭で頑張る皆さん、素敵ですね!

もちろん、販売する商品のクオリティがあってのことだけど、顧客と接するスタッフ教育やインナーのブランディングはそれと同じレベルで大切だと思うなー。と改めて感じる今日この頃であります。

だってさ、何人スタッフがいようと、「接した人がその相手組織のイメージ」になりますからねぇ。

結局のところ、実店舗だオンラインだと言われておりますが、実際には、実店舗はやっぱり、「人」が左右してくるなと思います。

誰がセレクトしただとか、関わる人がコンテンツ化してくるのが今後のお店のあり方の1つのキーだと僕は思っているであります。

でも・・・もっともっと大切なのは、

【きちんとした商品、サービス、コンテンツ、アイデアには然るべき対価を支払って楽しんでほしい!!!!!!!!】

に尽きるであります。

さて、明日の予定のついでにどこの行きつけのお店に寄ろうかな。なんて楽しみに膨らませながら寝るとします。

ついでなんですけど、プレイリスト作って聴いているので書き記しておきますね。

眠れぬ夜に。

なんとなくロック。

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増田ダイスケ
新しいzine作るか、旅行行きます。

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