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サイバーエージェントのデザイナーが語る。ビジネス価値に繋げる私たちのUXデザイン
クライアントのサービスやプロダクトを成功に導くデザイナーが多数在籍しているDXDesign室。
バックボーンも専門領域も異なる多種多様なメンバーが所属し、チームと共創しながらクライアントにビジネス価値を提供しています。
今回は、サイバーエージェントで働くUXデザイナーの佐竹裕行さんと章瑠希さんに、DXDesign室へ転職を決めた背景や仕事のやりがい、挑戦してみたいことなどについてお話を伺いました。
プロフィール
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DXDesign室のUXデザイナーになろうと思った理由
──まず、これまでのキャリアについて教えてください
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佐竹:1社目は、名古屋のウェブ制作会社でシステム開発などをしていました。その後、サイバーエージェントに転職しました。当時、ウェブフロントエンドの採用を強化していた時期で、フロントエンドエンジニアとして10年弱ぐらい新規プロダクト開発を担当してきました。
そこから社内でDXの部門が立ち上がると聞き、社内転職の「キャリチャレ」という制度を使って異動し、今に至ります。そのタイミングで、肩書もフロントエンドエンジニアからUXデザイナーに変えたという感じですね。
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章:私はサイバーエージェントが3社目で、それまでは事業会社のインハウスデザイナーを2社経験してきました。
1社目は地元福岡の会社で、中小企業向けにショッピングカートシステムをはじめとしたASPサービスを開発する10人規模のITベンチャー企業にWebデザイナーとして入社しました。新規事業開発チームに配属され、新規サービスのLP制作から企画立案、フロントエンド開発、さらにはSNS運営など、幅広い業務に携わりました。
2社目はインターネットサービスを中心に事業展開する名古屋の総合IT企業でした。サービス開発に携わる中で、toCのプロダクト開発に携わりたいという思いや、デザインだけでなくビジネスについてももっと学びたい、消費者の経済活動に影響を与えられるデザイナーになりたいと思い、転職しました。5年間在籍したのですが、金融商材比較・紹介サービスや終活情報メディア、ドッグフードブランドや自転車のECサービスといった幅広い事業ドメインの新規立ち上げとグロースにデザイナーとして携わりました。
その後、スカウトをきっかけにサイバーエージェントに転職しました。作って終わりではなく、その後のグロースを見据えてDX支援を行うスタイルが、自分のこれまでのキャリアと経験を活かせると感じ、転職を決めました。
──UXデザイナーというキャリアを選んだ理由を教えてください
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佐竹:サイバーエージェントに入ってからアジャイル開発というものに出会ったんですね。それまでは受託が多かったんですが、アジャイルはイテレーションを繰り返して、プロダクトを継続的に改善していくみたいな方法で「これは結構いいぞ」と思いました。
その後、デザイン思考とかデザインスプリントが出てきて、そっちも知ると「アジャイルとデザイン思考って一緒やん」って気づいて、実際プロダクト開発に使ってみると数値的な成果が出たんです。そこからUXデザインの重要性に気づいて、実務の中で試行錯誤しながら基礎スキルをつけていった感じですね。
社内を見渡してもUXデザイナーがいない一方でこういう活動って結構大事だなと思って、ちゃんと事業や組織に広めなきゃいけないよなと思いました。そんな時にDXの組織が立ち上がったので、そのタイミングでUXデザイナーという職種をつくりました。
章:振り返ると、私が“UXデザイン”というものに目覚めたのは新卒2年目の時でした。1社目で新規事業開発チームの採用サイトのデザインを任されて、結構自信満々にデザイン案を上司に提案したんですけど、ことごとく不採用になったんです。
最初は納得いかなかったんですけど、なんで承認してもらえないんだろう?と考えた結果、その採用サイトを作るそもそもの目的とか、誰に向けて何を届けるべきなのかとか、どんなことに配慮してコンテンツやUIを設計すべきなのかといった要件を考慮せず、ただかっこいいものを作りたいだけの自分よがりなデザインをしていたことに気づいたんです。
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それをきっかけに、自分の中にあった、見た目が良いものを作るというデザインの考え方を見直し、「誰にどんな体験を届けるべきなのか」「なぜそうであるべきなのか」といったところをしっかり考えるようになりました。再度構成案から考え直した採用サイトのデザインを上司に見てもらったところ、なんとか公開させてもらえることになりました。
また、当時Instagramも運営していたのですが、その考え方に基づいてコンテンツの魅せ方や、概要欄のライティングを工夫したらフォロワーが一気に増えて、この考えは間違ってないんだという自信がついたんです。
デザインがただ見た目を作ることではなく、サービスに触れるユーザーの気持ちに寄り添い、その人たちが求めていることや、置かれている環境を考慮したり、そもそもなぜこれを作るべきなのか?といったWHYの部分から考えて表層に落とし込んでいくものだと気づいてから、デザインという営みがより一層面白いものになりました。
それがUXデザイナーとしてのキャリアの原点になったと思います。
その後、2社目では自分の考え方が再現性のあるものか、ビジネスにも通用するものなのかを検証したく、多様な事業ドメインでサービスのUIUX改善にチャレンジさせていただきました。結果的に分かったことが、全てに共通するポイントとして、サービス本来の目的やゴールをブラさず正しい優先順位で仮説検証を繰り返すことがアウトプットの精度を高め、ユーザーに支持されるサービス作りと事業成果に繋がるということでした。
一方で、周囲を見渡すとこのようなプロセスでサービス改善に取り組めている組織や企業って限られていることに気づきまして、自分の存在価値を発揮するフィールドはここだ!と思ったんです。結果として今のUXデザイナーというキャリアに着地しました。
──章さんを採用した当時のお話を伺いたいです
佐竹:DXDesign室が「サイバーエージェントが自社メディアづくりで培ってきた技術を活かしクライアントDX支援をする」というのを掲げている中で、るっきーは事業会社でのプロダクトグロースの経験がありました。加えて、色んな職種と協業していたり、ちゃんとチームとしてその場に応じた動きが取れる人なんだろうなと思いました。僕もそうですし、主席クリエイターの鬼石さんも重視していた点かと思いますね。
UXデザインという仕事の中で業務内容には幅があるんだけど、その幅を考慮して仕事できるところが評価したポイントって感じですね。あとは、異常にフットワークが軽かった(笑)当時名古屋にいたんだけど、ランチしましょうと言ったら、じゃあ東京行きます!みたいな。そのキャラクターも含めて色々重なって採用したって感じですね。
だから、スキル+チームで働ける+その人の個性みたいなところですね。
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章:私がサイバーエージェントのDXDesign室に入社を決めた理由は2つあります。
1つ目は、サイバーエージェントがグロースを見据えたDX支援をやることにへの実行力にリアリティがあったからです。元々コンサルティングファームやデザイン支援会社への転職を検討していた中で、「クライアントの事業成長に貢献するUIUX支援」を謳う企業はたくさんあったのですが、前職で泥臭いグロースを経験してきた私にとっては、事業に伴走し、実測に基づいて他職種とワンチームで仮説検証を繰り返すことがデザインの事業貢献においては重要だと感じていたので、支援会社の組織力は非常に重視していました。
サイバーエージェントは、ABEMAやAmeba、 Tapple、ウマ娘といったtoCサービスを数多くグロースしてきた実績とノウハウがあります。また、室長の鬼石さんは藤田社長の隣でABEMAのサービスグロースを推進してきた主席クリエイターであることもあり、現場のリアルを知っている人が組織のトップにいることに非常に説得力を感じました。
2つ目は、UXデザイナーというロールが戦略的に存在していることです。
サービスの価値を高めていくには様々な役割やミッションを持った人たちと協業し、合意形成する必要がありますが、これまでの経験から、その中には他ロールと対等な立場でユーザー体験を中心に意見できる存在が必要だと感じていました。
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日本のデジタルプロダクトに対して率直に思うこととして、ビジネスの主張が強く反映されていてプロダクトとして成り立っていないアプリが存在していたり、見た目は整っているが、ターゲットユーザーへの提供価値をUIにうまく落とし込みきれていないと感じたりすることが多々あります。その理由を考えると、ビジネス目的とユーザーメリットを繋げ、チームとしてうまくアウトプットに導ける人が少ないからではないかと仮説していて、そこがUXデザイナーという役割の価値発揮どころではないかと考えていました。
UXデザインがバズワードとして使われている今の世の中で、UXデザイナーという役割に期待されていることも曖昧になりがちですが、入社前のカジュアル面談で佐竹さんに対し、「なぜUXデザイナーというロールをあえて切り出しているんですか?」と質問した際に、このように回答いただきました。
「ユーザーに使われるプロダクトを作らないとDXは失敗する。DXはクライアントとの協業が重要で、クライアント、エンドユーザー両方の成果を支援するために、UXデザイナーはクライアントと事業、ユーザーをつなぐハブとして重要な役割を担っている。」
UXデザイナーという役割に明確な軸があったこと、そして、自分の考えるUXデザイナーの役割定義と合致していて、自分の存在価値を存分に発揮できそうな環境だと思いました。
以上2つの理由から、DXDesign室へのジョインを決めました。
DXDesign室におけるUXデザイナーの役割
──DXDesign室におけるUXデザイナーの役割について教えてください
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佐竹:シンプルにユーザーのことを理解して、ちゃんとプロダクトを作るってとこなんですよね。ビジネスの要求とユーザーの要求があった時に、会社としてはこういうことを実現したい、ユーザーとしてはこういう価値を受け取りたいという、この2つをうまく合致させるみたいなところがUXデザイナーの抽象的な役割だと思っています。
そのビジネス要求っていうのはクライアントと一緒に組み立てていくところで、それに合わせてユーザーにとってどういうものを作ればいいんだっけ?を定義付けていくのが役割ですね。そのためにユーザーリサーチ、プロトタイプ、テストが行われていく流れです。
──もう少し具体的なプロジェクト内の活動について教えてください
章:すでに公開されてるファンケルさんとの取り組み事例があります。
サイバーエージェントのものづくりは、ユーザーを主語に市場環境の変化や事業戦略に合わせてアジャイルにUIUXを構築していることが特徴的で、それはクライアントワークにおいても共通して展開されている考え方になっています。
アプリのリニューアルプロジェクトに関わらせていただくケースが多いのですが、大枠のプロセスとして「要求定義→要件定義→設計→製造→テスト・リリース」という工程でプロジェクト進行していきます。UXデザイナーは特に、要求定義・要件定義フェーズでリーダーシップを発揮することが多いです。
要求定義フェーズではプロジェクトの目的とゴールを整理し、ゴール達成に向けた活動計画をチームメンバー(DXコンサルタント・UIデザイナー・開発ディレクター・UXリサーチャー・データコンサルタントなど)と一緒に組み立て、クライアントも交えて目線合わせを行います。
要件定義フェーズでは作るべき画面や機能要件をユーザー要求とビジネス要求に基づいてクライアントと合意形成していくのですが、仮説ベースでアイデアを形にして、ユーザーテストを繰り返しながら作るべきものを洗練させていくようなイメージで進行していきます。ユーザーテストにはクライアントの方も同席していただくこともあります。
要件定義が終わったらUIの詳細設計をUIデザイナーにリードしてもらいながら一緒に作り上げていきます。UXデザイナーは要件定義フェーズで明らかになったユーザー要求をベースにUIデザイナーが設計するUIをレビューしたり、ユーザビリティテストを通じて画面仕様をさらに洗練させていく取り組みを行います。
そうしてできたものをエンジニアにパスして実装してもらう、といった流れになります。
基本的にはプロジェクト内で活用できるリソースやアセット、制約の下でユーザーが求めていることとビジネス上の狙いをどう結びつけていくのがベストなのか?という思考で活動していて、様々なリサーチ・検証手法を用いてクライアントと作るべきものを合意形成していくことがUXデザイナーのメインの活動になりますね。
──DXDesign室のUXデザイナーとして働く上でのやりがいを教えてください
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佐竹:自社サービスの新規開発って、 作ってからユーザーの規模がスケールしていくまで結構時間がかかるんですよね。なのでグロースもちょっとずつさせていかなきゃいけなくなる。今支援しているクライアントだと、1回リリースすると数ヶ月で一気に規模が膨らむようなドラスティックなインパクトがやりがいですね。当然色々問題も起こるんですけど、むしろそれが面白いところ。
あとは、ドメインが多種多様で、今まで触れたことがないユーザー、特殊な業種、特殊なユーザーみたいなところを紐解いていくっていうプロセスが 結構楽しいですね。全然知らない事業の裏側を覗いて、じゃあそれをどう作っていくかっていうのが面白いと思ってますね。
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章:佐竹さんと重なりますが、意図通り結果が出た時がすごく嬉しいですね。クライアントもすごく喜んでくれるし、ユーザーの意見を聞きながら開発をしているので「ユーザーに求められてることをやった結果、ビジネスの指標が改善された」というところへの納得度が高いのが、やりがいを感じるポイントかなって思います。
また、クライアントの方もサービスをより良くしたいけどどうしたらいいものにできるのか、予算確保のためにどのように上申すれば良いのかが分からないので相談してくださるケースが結構多いんです。そこで私たちがお手伝いした結果、サービスグロースに向けてやらなきゃいけないことにしっかり会社から投資判断をしていただけて、プロジェクトが成功し、ビジネス成果にも繋がってクライアントの担当者の方が会社から評価されました、といったお声が聞けると支援できてよかったなと思うし、社会にもいい影響を与えられていることが実感できます。
本当に良いものを作ろうと思うと、クライアントワークの場合、クライアント企業内の既存のものづくりのプロセスを大きく変える必要があったりして、クライアントへの説明やクライアント側の上申に向けた準備など、味方になってもらうために結構パワーが必要なんですが、DXDesign室にはそれを一緒に乗り越えてくれる仲間がいるのが本当にありがたいです。この組織文化はなかなか他社では再現できないんじゃないかと思いますね。
今後のUXデザイナーのバリュー
──今後、UXデザイン組織としてどのようなバリューを世の中に発揮していきたいですか?
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佐竹:市場にインパクトを出すものがちゃんと提供できると、「やっぱりこういうプロダクトを作らなきゃいけないんだ」ってなるんです。ちゃんとクライアントとユーザー両方にとっていいサービスが作れるっていう方がサイバーエージェントのパーパスになっている「デジタルの力で日本の閉塞感を打破する」みたいなとこに繋がるんじゃないかなって考えています。これをやるにはやっぱり1人じゃ無理だから、UXデザイナーだけじゃなくて、エンジニア、コンサルタントと一緒に組織としてスケールメリットを活かして、市場にインパクトが出るものを作っていきたいですね。ちゃんとそれが評価されて、世の中も豊かに良くしていけるよう組織で頑張って行きたいですね。
章:まず前提として、よい体験は経済をポジティブに回すことができると思っています。今の日本って世界で相対的に見ると不景気で、元気がないじゃないですか。鬼石さんの記事に書いてあった、「デザインの力で日本を元気に」という目標に共感して入社したんですけど、私たちの支援でクライアントの事業が成功すればその企業に所属する社員の給与水準は上がるはずで、そうなれば個人の消費も進み、日本経済が潤い、人々の生活も豊かになっていくはず。単純な理屈だけど、そんな世界観を実現したいです。
よい体験の実現にはUIデザイナー・エンジニア・コンサルタントと、いろんな人の協力が必要不可欠です。そのためにも、仲間を増やし、強いUXデザイン組織を作り上げていきたいですね。
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採用担当者より
DXDesign室では、UXデザイナーを募集しています。私たちと一緒にクライアントのUXデザイン支援をしませんか。皆さまからのご応募、心よりお待ちしております。