土
場所によって実りの数が違うように
田によって出穂の輝きが異なるように
努力という緑は
決して一律には色づかない
努力すればと笑う人間の顔を見よ
やろうと思えばできるものだと
軽く見ているその表情を盗み見よ
そこには無数のダニが
裸眼で映るほど肥えている
塩に溺れた土壌を清めることはできない
入れかえることなどかなうはずもない
嵐が一切を流していくことならあり得よう
土とは宿命であり運命なのだから
にも関わらず
そのぴかぴかうるさい靴たちは
やせた草木を草花を
小ぶりで色が悪いという
ただそれだけの理由で
蹴っては蹴って踏みにじる
遺産である不毛の土を指差し
見下し嫌悪し嗤うのは
自らが所有する豊穣な地を
げらげらげらりと誇ること
宿命を
運命を見よ
一切は
偶然という指先の愛撫だ
そしてその指頭が土に描く文字は
身体という実在である
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