混ぜ込み味噌

味噌にあれこれ混ぜ込んだ「混ぜ込み味噌」の作り方と、その使い方を説明する。
なお「混ぜ込み味噌」とは一般的な名称ではなく、私の造語である。

時々お友達におすそ分けすることはあっても、広く世間様にレシピを公開しようなんて毛頭思っていなかった。
たまたま清荒神さんの参道にある「たじまや商店」さんという乾物屋さんで買い物したついでにあれこれ話していた折に、私がお礼としてこの混ぜ込み味噌をお渡ししたら、その美味しさに「お店を開ける」と感動されていたので、レシピを公開することに決めた。なお、この乾物屋さんに行くのも、ここの店員さん達に会うのも初めてである。

混ぜ込み味噌は常温保存が可能な上、使い方も簡単なため、災害時の非常食としても使うことができる。ぜひ一家に一つ混ぜ込み味噌を常備して毎日の食卓にご利用いただきたい。
火を使わないため、小さなお子さんと一緒に作ることも可能である。

用意するもの

(1) 味噌…半パック
(2) お好きな野菜など…適量
(3) 塩ひと握り…分量の詳細は後ほど

(1)の味噌は、チーズの味噌漬けをした後に残る味噌で構わない。ただし、非加熱・無添加の、原材料が「大豆・麹・塩」といったシンプルなものに限る。
参考までに私のオススメは、マルカワ味噌であるが、これは通販で取り寄せるか自然食品のお店に行くかしないと手に入らない(マルカワさんの味噌は、種類によらず全てオススメできる)。スーパーで手軽に入手できる味噌なら、マルマンの「無添加生みそ」をオススメする。
間違ってもダシなど余計な材料の入った「味噌もどき」を買わないようにされたい。

(3)の塩は、混ぜ込む葉物野菜の量によって必要な分量が変わってくる。
目安としては、葉物野菜の重量の1割の重量にあたる塩を用意する。厳密に計量しなくても、多少は少なくても構わないが、あまりに少ないと出来上がった後の日持ちが悪くなる危険がある。
なお、葉物野菜を一切使わないのであれば塩は不要である。

混ぜ込み味噌の仕込みにオススメの野菜など

混ぜ込み味噌を作るのに、絶対に欠かせない野菜というものはない。その時々の季節だったり体調だったりで、何を混ぜ込むか決めて構わない。混ぜ込む分量も季節や体調や好みに合わせて決めたら良い。
それでもオススメの材料は、以下の通り。

・ショウガ
・ニンニク
・ニンジン
・ゴボウ
・レンコン
・トマトピューレ
・ロースト玉ねぎ
・黒ゴマ
・スキムミルク
・無塩クルミ
・青しそ
・梅肉
・乾燥ゆず皮

繰り返しになるが、ここに挙げたものを全て混ぜ込んでも構わないが、いくつか減らしても良い。さらに、ここに書かれていないものを混ぜても構わない(何を混ぜたか気になる…コメントください)。
実際、ショウガは生でもパウダーでも構わない。ゆず皮が手に入らないなら、陳皮(ミカンの皮を乾かしたもの)でも構わない。クルミの代わりに松の実にグレードアップしても構わない。
私はバセドウ病なので念のため昆布は避けているが、塩昆布を混ぜ込むのもオススメである。

なお、トマトピューレは、なるべく濃縮されたものがオススメである。

作り方

基本の作り方は「味噌に混ぜられるだけ混ぜ込む」である。
ただし、梅肉のように柔らかいものは可能な限りペースト状にして混ぜ込み、サイズの大きいものは熱湯で火が通るサイズに刻んでから混ぜ込む。

大葉や小松菜といった葉物野菜を使う際は、食べやすい大きさに切った後、重量の1割程度の塩をまぶして10分ほど置いてから水気をよく絞ってから味噌に混ぜ込む。この一手間をかけることで混ぜ込み味噌が水っぽくなるのを防ぐと同時に、葉物野菜の色を綺麗なままに保つことができる。
葉物野菜を切る際は、キッチン用のハサミを使うと楽である。更に、切った葉物野菜はスーパーで買い物をした後に袋詰めするための台の所にあるようなビニール袋に入れて塩をまぶすと手を汚さずに済む。これも小さなお子さんに「モミモミしてね」なんて頼むと一緒に料理を楽しむことができる。

混ぜ込み味噌で作るお味噌汁

そうして混ぜ込めるだけ混ぜ込んだら、混ぜ込み味噌の完成である。すぐにそのまま使っても良いのだが、最低一晩置いたほうが味が馴染む。
一晩置いた翌日、お湯を沸かしている間に、お椀にティースプーン1杯、ピンポン玉くらいの大きさの混ぜ込み味噌を取っておく。余裕があれば、一口サイズの高野豆腐や乾燥ワカメなどもお椀に入れる。そしてお湯が沸いたら、このお椀にお湯を注ぎ、よくかき混ぜる。
これだけで混ぜ込み味噌の味噌汁は完成である。

超多忙なビジネスマンでも、朝の忙しい時間に美味しくて具沢山の味噌汁を飲むことができる。ついでに同じ要領でスープジャーに混ぜ込み味噌とお湯とその他の具を入れて持っていけば、ランチに温かいお味噌汁を飲むことができる。
混ぜ込み味噌からすくう時に、どんな食材がどんな割合で取り出されるかは意外とバラツキがある。そのため、毎日三食この混ぜ込み味噌の味噌汁を飲んでも全く飽きない。それどころか外食のお味噌汁よりも混ぜ込み味噌の味噌汁が恋しくなる(これを「手前味噌」と言うため、私は世間様に大々的にレシピを公開するつもりはなかったのだが)。
それでも飽きる方は、高野豆腐や乾燥ワカメなどの具を色々と変えてみたら良い。参考までに私のオススメの具は他にも…
・焼き麸
・切り干し大根
・ずいき
・春雨
・乾燥ゆば
などがある。

食欲のない日は、とりあえずこの混ぜ込み味噌の味噌汁一杯でいいから飲む。

混ぜ込み味噌の使用上の注意

もちろん、味噌汁なんかにしなくても、きゅうりに付けてもろきゅうみたいな感じに食べても良い。ホカホカご飯に乗せて食べても良い。おにぎりでもいける。
味噌汁一杯分ごとにラップで包むと味噌玉が出来上がる。

ただし、この混ぜ込み味噌は生きており、混ぜ込んだ野菜をエサに麹菌が活動してくれるため、味噌玉を作った場合は特に、たまり醤油のような液体が出てくることが多い。そのような液体が出てきた場合は、全体を混ぜることで液体を混ぜ込んでしまうことをオススメする。
どうしても液体が出てくるのは何とかしたい方は、液体が出てきたら都度、乾燥おからやスライスされた干し椎茸を刻んだものなど、水分を吸ってくれるものを混ぜ込む。あとは麹菌の活動を緩やかにするために冷蔵庫で保存するという方法もある。
とは言え、いかんせん、混ぜ込み味噌は生きている。自然の生き物との闘いは、なさらない方がよろしいかと…。個人的には、液体も含めて混ぜ込み味噌だと思っている。微生物に感謝しつつ微生物と共存するのがよろしいかと…。

肝心の賞味期限だが、そんな訳で麹菌が元気な間は大丈夫である。何しろ私は500gの味噌を使って1kgの味噌容器一杯に仕込んでも、およそ3週間程度で混ぜ込み味噌を食べ切ってしまう。あまりに美味しいので、ダメになる前に食べ切ってしまうから、とりあえず3週間くらいは常温で余裕としか言えない。

最後に

私は親に「あなたは勉強だけしていれば良い」という感じに育てられたため、料理は社会人になるまで家庭科の授業くらいしかやらなかった。そんな私でも美味しく作れる混ぜ込み味噌は、とても重宝している。ぜひ試してみて頂きたい。
東京生まれ東京育ちの私の作った混ぜ込み味噌でも、関西の人から絶賛されたのは嬉しい。何より自信になる。

私事だが、いよいよ明日、「EV BOSCO」の実物とご対面する。混ぜ込み味噌の味噌汁で気持ちを落ち着かせてから臨みたい。

何もサポートは金銭に限りません。「スキ」をすることやシェアすること、素直なコメントを残してくださることも、立派なサポートです。 それでも金銭的なサポートをされたい方は、どうぞご自由に。