プロポーカープレイヤーだった私がメンタルコーチになった理由 part4 ~メンタル・パフォーマンス・コーチとして~
こんにちは。
マナベツバサと申します。
海外で「プロポーカープレイヤー」として活動後、今現在は日本で「メンタル・パフォーマンス・コーチ」としてコーチングを職業としています。
前回までの記事はこちらです。
ポーカーとの出会い、プロポーカープレイヤーとしての活動、「ティルト」と呼ばれるメンタルの大きな壁にぶつかったこと、その結果の4000万円もの損失、メンタルの問題に対して解決方法を模索した日々、
そして「MET®」と名付けられた最先端の心理療法と出会い、再びスカイステークスに挑み始めたところまでをまとめています。
「トップを目指して」
長く苦しんだメンタルの課題を解決した私は、改めて本格的にプロポーカープレイヤーとして世界のトップに挑戦し始めました。
当時、私がプレイしていた100ドル/200ドルPLO、200ドル/400ドルPLOは、その時代の最高レートになります。そこは最も大きな稼ぎが得られる場所であり、つまり最も実力のあるポーカープレイヤー達が集まるということを意味します。
そのような場所でプレイするのは厳しく、ストレスも大きかったことは確かですが、それ以上に憧れていたプレイヤー達と戦えるようになったことにとても大きな充実感を味わえました。
メンタルの問題が改善されたことで、思い描いていたように解析を進め、常に納得する形でプレイできるようになり、それが成果につながるといったサイクルが出来上がりました。
ちなみにポーカーの解析というとイメージしづらいかもしれませんが、プロセスとしては研究論文を書き上げるのと似ているかもしれません。まず研究テーマを探し、それを根拠づけるデータを探し、そして計算、分析、モデル構築などを1~2か月かけて行っていました。
追及したテーマが結果的に役に立たなかった、という場合も多いのですが、それでもたまに優位性に繋がる結果が得られた時は胸が躍り、プレイに実装するのを待ちきれなかったのを覚えています。
ティルトの問題を抱えていた頃は、常に時限爆弾を抱えているような絶望的な気持ちでプレイしていました。
それが改善したことで大きな解放感を感じましたし、ポーカーに集中して取り組めるようになったことでポーカーを始めた頃のようなワクワクする気持ちを取り戻すことができました。
そして結果的にですが、バンクロール(自己資金)は健全なものとなり、ティルトがもたらした損失も十分に取り返すことができました。
「ポーカー引退」
メンタルの問題を改善し、3年間レートを落とすことなくプレイし続けられた後、私は2016年に引退することを決めました。
その理由を一言で説明するのは難しいのですが、自分のポテンシャルを十二分に発揮できるようになったからこそ、世界一との差もはっきりと感じられるようになったのです。
例えば私の解析で有意義な結果が得られ、「これで彼らとの差を縮められる」と思う戦略を開発したとします。しかし世界一のプレイヤーは、私が1ヶ月かけて見つけた戦略でも一瞬で直観的に対応してしまうのです。
あまりこういう表現は好きではありませんが、これをあえて簡潔に言うとすれば「どうしても越えられない才能の壁」だったと思います。
今だからこそ分かりますが、最後の一年間はこのことを頭の片隅では分かりながら、諦めきれずもがきながらプレイしていたと思います。
しかしこの差の存在を素直に認められた時、ポーカーを「やり切ったな」と感じ、すっきりした気持ちで引退を決めました。
結局、良くも悪くも私にとってポーカーをプレイすることよりも世界一になることの方が重要でした。それが無理だということを受け入れた瞬間、ある意味とても清々しい気持ちになったのを覚えています。
「ポーカーを再開する気はないの?」とよく聞かれますが、プロとしてあの環境に再び身を置きたいとは思いません(笑)
ただ今振り返ってみて、ポーカーのように努力を努力と思わず打ち込めるものに出会えたこと、そして結果的にですが、真剣に自分に向き合う必要がある環境に身を置けたことは非常にラッキーだったと思います。
「メンタル・パフォーマンス・コーチとして」
引退後は、まず世界中を旅しました。ロスやニューヨーク、トロント、ストックホルム、プラハ、バリ、シンガポール、ドバイほか各地を友人達と一緒に周り、最初は1年くらいのつもりでしたが結局3年近く旅を続けました。
それと同時期に、「メンタル・パフォーマンス・コーチ」としての活動も本格化しました。元々同業のポーカープロ達に対しメンタルのコーチングを行っていたのですが、それが口コミで伝わったことで、プロのテニス・ゴルフ選手やコネチカットのヘッジファンドのトレーダーなど次第に他業種のクライアントが増えていきました。
これらは一見ポーカーとは異なる分野に見えますが、「高いパフォーマンスを発揮するために自分のポテンシャルを出しきりたい(けど出し切れない)」という問題はどの世界にいる方でも共感できるものではないでしょうか。
ここまでに書いてきた通り、私自身も同様の問題に苦しみ、藁にも縋る思いで様々な手法を試しては効果を得られず絶望する、というのを繰り返し経験しました。
だからこそ、私のコーチングではただのアドバイスに終始するのではなく、「結果を出す」ということに強いこだわりを持っています。
ティルトという、言ってしまえば恥ずかしい自分の経験をシェアしたのも、そのことを皆さんに理解していただきたいと思ったからです。
ここ10数年の研究によって、既存の心理療法では対応しきれなかった問題も解決できるようになりました。
以前の私と似たような問題で苦しんでいる方々に、その問題への解決方法があり、それが日本語でも提供されているということをぜひ知ってもらいたいと思っています。
「最後に」
2019年に日本に移住してきて、日本は欧米に比べてメンタル面に対する意識や対策といったものがまだ一般に広く認知されておらず、ネガティブに捉えられている部分もかなり多いように感じました。
メンタルの重要性は高いパフォーマンスが求められるポーカーやスポーツなどの世界だけでなく、一般社会においても同様です。
より多くの人が、各々が抱えるメンタルの問題を改善し、自分らしく活き活きと生きられるようになれば、社会もより良くなるのでは、と私は考えています。
そういう意味でも、私が「メンタル・パフォーマンス・コーチ」という仕事で貢献出来ることは沢山あると感じています。
またここでお話ししている手法というのは、どんな人でも体系的に学べるものです。今後はこの手法を用いるセラピストを育てていきたいとも考えています。
とても長い話になってしまいましたが、元プロポーカープレイヤー、現「メンタル・パフォーマンス・コーチ」という私のややこしい人生のバックグランドをnoteにまとめてみました。
また、いろいろな事柄を記事にまとめてみようと思っています。宜しければ、また足を運んでみて下さい。
最後まで読んで頂いた方、本当にありがとうございました。
Manabe Mental Performance Coaching | MMPC www.mmpc.jp
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