星新一。おもしろー。
という軽い感じは著者には失礼かもしれないが、やはり読書量が少ないこの私でも星新一(の特にショートショート)は面白い。
今読んでいるのは『ようこそ地球さん』。なかでも、「弱点」というショートショートが好み。
あらすじとしては、海で拾われた大きな白い玉を調査するため、やれX線を照射したりハンマーで叩いてみたりするものの、びくともしない白い玉。
なんとか開けようと役人に話を持ちかけ予算をとりつけ、広い土地に機械を据え付けあの手この手で白い玉を割ろうとするものの無しの礫。2ヶ月後、なんと玉に割れ目が入りそれが巨大生物の卵であると知る博士と助手。
そして、孵化したその醜い生物を巡る皮肉の効いたオチが待っているという寸法であります。
このアイロニーが非常に私好みで、著者の人間の営みに対する痛烈なの意趣返しのような思想を感じます。(なんて言ってもそんなにボリューム読んでいるわけじゃないんですけどネ)
この自分にとっての心地よさの正体は、ニュースを見ているかのように進む、"行間"の少ない文章なのかと思っています。
家族(星新一の文がニガテ)とこの「弱点」に関して話してみると、「星氏の書く文章は飛ばし読みができない」というコメントが返ってきました。なるほど。
氏の書く文章は万人受けするものではないかもしれませんが、改めてその文体と構成に満足する私なのでした。