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「好き」になるには理由があった。(創作大賞感想)

和菓子屋さんもいいけれど。
洋菓子屋さんのあのガラスケースの中は
幾つになっても、心が躍る。

味覚の中でも「甘い」には弱い。

甘いのなかでもあの「モンブラン」を
えこひいきしながら「モンブラン」愛を
綴った方、もつにこみさんのこのエッセイが
好きだ。

わたしも小さい頃からモンブラン好きですよって
思っていたけれど。

もつにこみさんの「すき」はもっと次元の
違う「すき」にあふれてて、清々しい。

みんな「すき」はもっと語ろうよって思えて
しまうほど。

そうモンブランのモンはフランス語の「mon」で
「わたしの」という意味だった。

モンブラン、つまり「わたしの山」だ。

「わたしの山」にちなんでもつにこみさんは
「山の日」にモンブランを食べる日に
しようと考えるところが素敵だ。

お仕着せじゃない。
じぶんちの楽しいルールを作ってしまうところ。

日常をじぶんのすきなもので、演出するって
日々をすこしでも陽気に楽しく生きる術のような
気がする。

特に和栗を使ったモンは秋の季節限定であることが多いし、個人的にも季節限定であるべきだと考えています。

こうやって「すき」に対しての明確な理由を述べてらっしゃる
ところも、背筋がまっすぐ伸びてるみたいでとてもいい。

好きであることには時に骨格が必要なのだ。

でれっとしなだれるような好きじゃなく。
どこか凛としているところがいい。

でも時にそのルールはかわいく脱線する。

11月の文化の日も個人的に「モンの日」と呼んで、モンを食べています。そして自分の誕生日にも食べています。

そして「すき」は時代を遡る。

それも昭和とかじゃなく縄文時代に。
なぜかというと、あの栗にたどりつくために。

縄文時代の主食は木の実だったと。
そしてその主役は栗だったことを知る。

木の実としての栗こそが人類の命を作り、繋いできた、遺伝子レベルで”人間が好きな食べ物”だと思うのです。

おお!なんという晴れやかなmon栗への肯定。

好きを語るとはこういうことかもしれない。
好きの歴史をひも解き、ちゃんとそのルーツに出会い
自分の中で運命的な出会いを感じ取る。

先ほどもつにこみさんの「好きへの語り方」に
骨格を感じると述べたけれど。

まさにその理由が展開される。

日本のモンブランは日本で独特の進化をしているらしい。
そして、総じて美味しいからだと仰る。

いろんな形があって、それは店ごとのセンスでもあり工夫でもあります。突飛な味が少ないのも、僕が好きな理由です。淡い甘さと、こっくりした食感、それに合わせるホイップと台のバランス。何度も言いますが、僕は小学生の時からケーキといえばモンでした。

ね、すごいです。
これほどまでに背筋を伸ばして「モンへの愛」を語れるなんて
ちょっと天晴です。

日本のお店の数だけいろいろな「モン」があるらしい。
それを許容しているのも日本の良さであると。

モンの形は日本では定型がなくそれぞれであること。
色も味もまたそれぞれであること。
なんか、これだけ浸透しているモンのことだから
とてもむずかしい掟があるのかと思っていた。

でもそうじゃなく。
伝統は伝統として受け継ぎながら現代にあわせて
お店ごとに進化しているところがとても自由で
素敵だと思った。

そして個人的にへーそうなんだと唸ったのが次の
ふたつのことだった。

①外で食べる時には、フォークやスプーンをつけてもらい、箱のまま、隠すように食べています。

②お店で食べる時に、お店の姿勢を感じて「さすが。」と心の中で唸ることがあります。それは、ケーキを食べる時に、ナイフが用意されるかどうか。

隠すように召し上がっていらっしゃるもつにこみさんに
なんだかモンへの愛おしさがあふれていてきゅんとした。

そしてナイフついてくるの?ってびっくりした。
フォーク&ナイフなぜに?

ケーキなんて柔らかいから、フォークで十分なんて考えている方は、ぜひ思い直して欲しいのです。モンについて言えば、タルトやガレットなど、硬い台もあります。ナイフで食べたことがない方は、ぜひ試してみてください。格段に食べやすくなりますし、断面がキレイに見えます。

なるほど。
食べた時の味のことだけじゃなく。
食べている途中も美しく食べたい。
好きなものを食べるとはそのものの姿を
まるごと愛することかもしれない。

わたしはもつにこみさんのこちらのnoteで
モンブランへの愛を通して、「好き」を
語るとはここまでとことん掘り下げるんやぞって
いうその想いがとても美しいと思った。

そこに賭けてきた膨大な時間とお金も含めて
愛を注ぐってこういうことなんだと。

美味しいを語る。それは読んでいる読者までもが
幸せな時間をわけてもらっている気持ちになる。
そして一生でひとつだけわたしだけのそう「モン」が
みつかる人生は豊かだと思った。










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