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48.ナンパ師ザビエル
週末は基本的に、美術館に行ってその後ロンドンの街をぶらつく。
そんな優雅な週末を過ごしていた。が、アンジーさんは外食が苦手なので、カフェやレストランには行かず、一日中休まず歩いている。
夜にはへとへとになっているまで歩く。だから全然優雅じゃない。
それと方向音痴のため、「今歩いている道は、もう二度と戻ってこれない」という気持ちで歩いているため、一本一本の道が一期一会。精神をすり減らして、真剣に歩いているのだ。側からみたら、ただゆっくり歩いているだけ。だが本人は真剣に命を削って歩いている。(半分冗談です)
この日も、朝からずっと歩いていた。
夕方から、英会話の無料レッスンが開催されることを知っていたので、それに参加しようかと迷い、道にも迷いさまよっていた。
すると、マリウスから連絡が。
「セントラル?会おうよ!」
正直、英会話レッスンよりもマリウスと話している方が自分の英語アウトプットタイムが長いので、英会話練習になる。
超合理的だけどそれでいいのだ。
「セントラルだよ!会える」
「30分後、トラファルガーに集合ね」
「OK」
ということで、トラファルガー広場で、マリウスを待っていた。ほんとに大勢の人で大賑わいしている。
すみっこのブロックに座っていたら、イタリア人と名乗るお兄さんが、声をかけてきた。
「一緒にお茶しない?素敵なコーヒー屋さん知ってるんだ。おごってあげるから、一杯分の時間を僕にくれない?」
とキザ台詞で、バリバリナンパしてくるのだった。
ごめんなさいなんですが、全くタイプじゃなかった。よってこのナンパは迷惑行為となる。あぁ、なんと理不尽な世の中なのだろうか。
けむくじゃらの腕、胸毛が飛び出てて、ザビエルみたいな頭。好きでザビエルしてるのか、天然ザビエルでナイーブな問題なのかはわからん。
とりあえず、ザビエルに「友達と約束してるので。無理です。」
といった。すると、
「友達は女の子?男の子?」
「男の子です。」
「彼氏?」
「彼氏じゃないです。」
「彼氏じゃないのに男の子と遊ぶの?そいつ悪いやつだよ。そんなやつと付き合っちゃだめ。」
「彼はいい人ですよ。」
「でも彼氏じゃないんでしょ?」
・・・・・おい、ちょっとまてや!!!!!
これじゃまるで、アンジーが片思いで弄ばれてる、かよわき女子みたいやないかい!!!!バカタレ!
脳内ツッコミしてたら笑えてきたけど、表情はなるべくまじめにして「とりあえず、彼がもうすぐ来るのでさよなら〜」
といってその場から逃げても、つきまとってくるザビエル。
すると後ろから誰かにガバっと肩を組む感じで、抱き寄せられた。
ハウル様!!!、、、、ではなく、マリウスだった。
「僕の彼女が困ってるから、付き纏うのやめてください。
さぁ、行こう」
ザビエルはマリウスを目の前にすると、チビクソ野郎に見えた。クソは余計か。ごめん、ザビエル。ただのハゲたチビだったね。
無言でささーっと消えたザビエル。
「ごめんね。変な人に絡まれちゃったね、怖くなかった?もう安心していいよ」
といって、ギューとハグしてくれるのだった。
さっき、彼女って言ってたし、なんかすげぇ優しくハグしてくれるし、イケメンだし、高身長だし、一体私たちどんな関係なのぉ〜!!ぷんぷん
と、このまま勘違いしそうになるのが普通の女の子なのでしょうが。
アンジーさんは全くその点で悩むことはなかった。
あっさりと「大丈夫だったよ、でも助けてくれてありがとう^^」と返すだけ。まじて根の底から「イギリス人しか恋人にする気がない」という剛鉄バリアを張ってたんだと思う。
改めて私はイヤな奴だ。
それから、マリウスと散歩(また歩く!)し、夜ご飯を食べにメキシコ料理屋さんへ行った。
つづく