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【書評・感想】観察力を高める/佐渡島 庸平
『観察力を高める』(佐渡島庸平 著)は、ビジネス書・自己啓発書ジャンルで注目を集める一冊です。著者の佐渡島氏は、『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』など数々のヒット作を手掛けてきた敏腕編集者であり、クリエイターの育成経験から「観察力」の重要性に着目しています。本書はその 観察力 をテーマに、「一流のクリエイターは世界をどう見ているのか」という副題の通り、創造性やビジネスで成果を出すために必要な観察眼の鍛え方が語られています。
日々仕事に追われるビジネスパーソンの中には、「発想がマンネリ化している」「情報に振り回されて本質が見えない」「部下や顧客の真意を汲み取れない」といった悩みを抱える方も多いでしょう。本記事では、本書の要点を解説し、まとめました。読むことで得られるメリットや具体的な学びを紹介しますので、「もっと視野を広げたい」「クリエイティブな発想力を身につけたい」と願うビジネスパーソンにとって有益な情報となるはずです。
書籍の要約
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本書の主張するポイントをまとめると、次のようになります。
観察力はすべての能力の土台
著者は「良いクリエイターの条件は観察力だ」と断言します
「良い観察」と「悪い観察」
良い観察とは、常に仮説を持って客観的に物事を見て、現実とのズレに気づき仮説を更新し続けること
観察を阻む3つの要因(メガネ)
人間の観察を邪魔する代表的な要因として
「①認知バイアス(思い込みや先入観)」
「②身体・感情(コンディションや感情のフィルター)」
「③コンテクスト(文脈や前後関係)」
の3つが挙げられます
仮説という「意識的なメガネ」
先入観という無意識のメガネに振り回される代わりに、意識的に仮説というメガネをかけ直すことが重要だといいます
観察力を鍛える具体的な方法
本書では観察力向上のための具体的な思考法も紹介されています。ポイントは主観⇔客観、抽象⇔具体を行き来するトレーニングです
「見えないもの」を観察する
著者は目に見える現象だけでなく、人の感情や人間関係といった「見えないもの」の観察にも言及しています。感情については「情動(本能に由来する単純な感情)と混合感情(複数の基本感情が同時に混ざったもの)に分類できる」と説き、複雑な感情も要素に分解すれば本質を捉えられるとしています
「わからなさ」を味方にする
我々は本能的に未知や曖昧さを嫌い、すぐに「分かった」つもりになりたがります。しかし著者は、安易に答えを求めずあいまいな状態を保留することの重要性を説いています
以上のように、本書では観察力とは何かに始まり、観察力を阻害する要因の理解、仮説駆動型の観察サイクル、具体的な鍛錬方法、感情・関係性といった高度な観察対象、そして最終的には曖昧さを受け入れる態度まで、非常に多角的に「観察」が論じられています。著者は思索を重ねた末に「観察とは愛である」という結論に至ったとも述べています
つまり、深く観察するためには対象への強い興味や愛着が不可欠であり、相手を知りたいという情熱(=愛)が観察力の原動力になるというメッセージです。
これは単なるテクニック論を超えて、観察対象と真摯に向き合う姿勢の大切さを教えてくれる本書の根幹メッセージと言えるでしょう。
書評・感想
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本書の優れている点を挙げると、まず 切り口の独自性 が光ります。ビジネス書では論理思考やデータ分析といったテーマが語られることが多い中、本書はあえて「観察」という原点に立ち返っています。
著者自身、「データや論理だけではクリエイティビティは上がらない。ではセンスや直感はどう磨くのか?そこで注目すべきが観察力だ」と述べています。
観察力を鍛えることで感性が磨かれ、創造力向上につながるという提起は、クリエイターのみならずビジネスパーソンにとって新鮮かつ説得力があります。「問い→仮説→観察」のループを回す発想や、良い観察/悪い観察の定義づけもユニークで、「なるほど、自分はまだ仮説を更新できていないのかも」とハッとさせられます。
次に 実用性 の高さも評価できます。本書は観察力を単なる概念で終わらせず、具体的なトレーニング方法を提示しています。例えば「見たものをすべて言語化する」「他者の視点を仮説として借りてみる」「統計データで自分の認識を検証する」といったアドバイスは、日常にすぐ取り入れられる実践的なものです。
また著者の主張は自身の編集者経験やマンガ・文学の具体例に裏打ちされており、論理性と具体性がバランスよく担保されています。感情を「情動」と「混合感情」に分類して捉える手法などは心理学的な裏付けも感じられ、非常に興味深いポイントでした
さらに、本書には著者が関わったクリエイターたち(例えば漫画『君たちはどう生きるか』の羽賀翔一氏等)の実体験エピソードが漫画形式で収録されており、読み物としての エンタメ性 も備わっています。単調な解説書ではなく、具体例やビジュアルを交えて理解を深められる工夫がされている点も良いです。
まとめ
『観察力を高める』は、観察力という一見地味ながら本質的なスキルにスポットライトを当て、その鍛え方を体系的に探究した良書です。著者の佐渡島庸平氏は自身の経験と多角的な考察から、「観察力こそがこれからの時代に必要な唯一無二の能力である」と強調します。
実際、観察力を磨くことはクリエイティブな発想のみならず、ビジネスでの問題発見・解決、人間関係の構築、自己成長などあらゆる面に波及効果があります。本記事ではそのエッセンスを紹介しましたが、紹介した内容は本書の一部に過ぎません。実際の書籍では、ここで触れきれなかった具体例や物語、人間味あふれるエピソードが満載です。
ビジネスパーソンの方も、そうでない方も、本書を手に取って 自身の「見る力」を鍛えてみませんか? 読む前と後で、きっと世界の見え方が変わるはずです。
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※本記事に掲載されているまとめおよび意見は、あくまで筆者個人の見解・感想に基づくものです。出版社や著者の意図と必ずしも一致しない場合がありますので、ご参考程度にお読みください。