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岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:2060 未来創造の白地図 川口伸明

【2060 未来創造の白地図 】はこんなあなたのための書籍です。

●これからの生活・社会がどうなるか知りたい人
●テクノロジーの進化がもたらす未来を知りたい人
●未来予測を立てたい人
●未来を作る仕事に携わりたい人
●何かにつけて他者を批判して生きてきた人

【2060 未来創造の白地図 の目次】

第1章 ライブ化する世界、心が躍るほど楽しい生活
第2章 食と農のデジタル化が、食糧増産と健康長寿を促進する
第3章 ロボット化する交通、ゲーム化する都市
第4章 知覚と身体性の拡張―身体機能や知覚能力の違い
第5章 医療・ヘルスケアの未来―持続可能な未病マネジメント
第6章 宇宙・地球規模で資源・エネルギー・環境を考える
第7章 知の未来・知の進化―新たなるグレート・ジャーニー
巻末資料 未来を描く手法と道具

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【要約】
今回は、
「2060 未来創造の白地図」
という本を解説します。

空飛ぶ車が上空を行きかい、
人々はウェアラブルコンピューターを
備えた衣服を身に着け、
先進的な建造物と草木が調和する未来都市。

そんな未来の様子が、本書では紹介されている。
エンタメ、食文化、農業、医療、環境など、
取り扱われるジャンルは多岐にわたる。

本書の特徴は、ただの空想物語ではなく、
科学的なエビデンスをもとに書かれています。

また著者の川口伸明さんが描く未来は
いずれも前向きで、「人類の未来は明るい」
と思わせてくれるのもこの本のいいところです。

この本の結論は、

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という内容です。

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2060年は、今からちょうど40年後。
40年前、私たちはどのような生活をしていただろうか。

1980年といえば、日本は高度経済成長の真っただ中。
家族はちゃぶ台を囲み、
ブラウン管テレビの前で食事をする。

仕事場にはパソコンもなく、
やっとコピー機が普及しはじめ、
書類をいちいち書き写さずにすむようになった、
そんな時代です。

それが今では、ネットがあればほとんど
何でも手に入るようになった。
40年でこれほどまでに社会は変わるんです。

40年前の生活を経験していた人で、
今のこの生活を想像できていた人は
誰もいなかったでしょう。

それを考えれば、本書で語られる
ワクワクするような未来予想図は、
決してただの夢物語ではないはずです。

本書の重要なポイントを
3つに絞って解説していきます。

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それでは順に解説していきます。

まず1つ目のポイント

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1 2030年のテクノロジーと生活

本書の冒頭に描かれる
ショートストーリーを紹介します。
物語の主人公は2030年の漁師。

ぜひ想像力をフルに働かせて、
2030年の世界を思い浮かべてください。

自称「スマート漁師」の私は情報通信系
のベンチャー企業で、スマート海洋牧場の
研究開発をしている。

今進めているのは、海中で魚群観察をおこない、
精度の高い水産資源管理をめざすプロジェクト。

そのなかでも私の担当は、「魚型ロボット」の研究。
魚の形や動きを模倣した「バイオミメティック」
なロボットを完成させることで、
海を泳ぐ自然の魚群に近づき、
その生態や行動パターンを解析・把握しようというもの。

今日は久しぶりに、実際に海に出て
海洋実験をおこなう日です。

私の住む地域は、かつては過疎であった。
ですが現在は、複数企業合同の研究施設が
できたことをきっかけに、小規模都市へと返り咲きました。

街に高層ビルはないものの、
アーティスティックな現代建築や、
自然に溶け込んだ環境建築がたくさんあります。

建物の外壁は日差しの強さに応じて反射率を変える
「アルベド調節性」の素材が採用されている。

これにより冷暖房効率が上がり、
環境負荷の軽減につながっている。

人々はキックボード型、立ち乗り型、
自立走行車いすなど、パーソナルモビリティに
乗って移動をしているし、
浮遊しながら移動するドローンバイク、
ドローンタクシーも走っています。

私はドローンタクシーに乗り、港に到着。
海の上にカモメがたくさん飛んでいると思ったら、
「バイオニックバード」の群れであった。

バイオニックバードは鳥型ソフトロボットで、
別の研究グループがそれを使って海上・海中通信の
移動型中継基地や海洋資源の調査をおこなっている。

さて、それでは研究船に乗って海に出るとしよう。

いかがでしょうか。
これが著者の川口さん描く2030年の未来予想図。
あと10年でどこまで実現するかはわかりませんが、
新たな技術が日々誕生し、思い描いた未来へと
近づいていくことは間違いなさそうです。

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そのうえで川口さんが重要だと考えているのが、
「どこにテクノロジーを使い、どこに人の手を残すか」
という視点。

テクノロジーと付き合う際は、このバランス感覚が重要です。

たとえば自動運転技術が普及し、
運転の楽しみがなくなってしまえば、
クルマ文化は衰退しかねない。

人間は自分の体を動かして、
多少の汗をかいたほうが充実感を得られる生き物です。
技術でなんでもかんでも代替すればいいのではなく、
テクノロジーはあくまで生活を補助する役割だと心がけよう。

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2 さまざまな分野でハイテク化が進む

2020年代前半にポイントとなるテクノロジーは、
「センシング」だと川口さんは見ている。

現在でもスマートウォッチやスマートスピーカーなど、
センサーをベースにしたテクノロジーが台頭していますが、
今後さらに高感度・高解像度化していくと予想されます。

家具や家電はもちろんのこと、
空間自体がIoT化し、センサーネットワークが
ありとあらゆるものを検知する。

そして蓄積されたデータに基づき、
最適化が絶えずおこなわれていく。

たとえば未来のベッドルームはこうです。
ベッドに装着されたセンサーにより、
寝ている間の体温や心拍、
体動などをモニタリングします。

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日々の就寝状態をベッドサイドのプロジェクター
で投影すると、ベッドルームがそのまま
プライベート遠隔医療システムに早変わり。

そのデータをもとに、主治医と話が
できるようになるといった具合です。

さらには部屋の一部がモビリティ機能を持ち、
部屋にいながらにして外出することも
できるようになるかもしれない。

そうなれば寝ながら移動することもできるし、
モビリティ空間どうしが集まって、
ホームパーティーや花見を楽しむなんてこともありえます。

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ファッション業界では、すでに登場しつつある
「センサーを備えた衣服」がさらに高度化していきます。

体の動きに合わせて色やデザインが変わるもの、
映像をディスプレイできるものなど、
さまざまな可能性が考えられる。

「ペロブスカイト太陽電池」という技術を用いれば、
発電可能な衣服も開発できる。
ペロブスカイト太陽電池とは、素材の上に
塗布・プリントができる発電技術です。

これにより服に冷暖房機能を備えたり、
洋服自体を発光させて防犯対策を講じたり、
GPSと連動させて位置情報を取得したり
することだってできます。

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エンタメ業界は、VRやホログラム、AI、
ドローンなどの技術を使って、
さらに臨場感を味わえるものとなります。

たとえば舞台を見るとき、
AIが各観客の趣味趣向にあわせて、
ストーリーを変化させる仕組みもありうる。

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スポーツ競技者側にも、ハイテク化の波は押し寄せます。
センシングウェア、センシングシューズ、
3軸加速度センサーを搭載したボールなどを用いて
ビッグデータを収集します。

そのデータを分析して戦術や選手育成に生かすことで、
さらなるパフォーマンスの向上を目指すことができます。

実際に米国アディダス社は、ビッグデータを活用する
「スマートスポーツ構想」を公表していて、
同社が提供するアスリートのパラメータ
をモニタリングするサービス「miCoach」は、
すでにグローバル展開が進められている。

このようにテクノロジーとアイデアが組み合わさることで、
さまざまな分野で絶えずイノベーションが起きています。

やがてはその分野のあり方そのものにも
変化が訪れるようになるでしょう。

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3 食分野のデジタル革命


食の分野においても、テクノロジーを用いた
新たな取り組みやサービスが登場すると予想されます。

農業ではAIネットワーク型植物工場が台頭していきます。

ネットワーク型植物工場では、
施設内の温度や湿度、光や風などの育成環境を、
AIが24時間モニタリングし、
最適な状態を保つシステムがすでに存在する。

2017年に開設された「幕張ファーム・vechica」では、
地下10mにある空間で食物を育て、
ベルトコンベヤーで作物を自動搬送できる
仕組みが構築されています。

今後、生産精度が上がれば、統一規格の
「完全人工環境の植物工場」も登場するでしょう。

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そうなればスキルや土地の状況に関係なく、
世界中どこでも同じような品質の作物を
作れるようになるはずです。

また、ここ数年話題になりつつある「培養肉」も、
食の分野では欠かせないキーワードである。

培養肉は細胞培養で食肉などを育てる技術で、
将来起こるだろうタンパク源不足の解決策
として期待されています。

すでに技術的には可能なところまできていますが、
問題は生産コストだ。
2013年オランダで200gの培養肉パテが作られましたが、
かかった費用はなんと約3,000万円。

今のままだと、実用化にはほど遠い。
とはいえ将来的には1,000円程度で
作れるようになると言われています。

こうした人工植物工場や培養肉などの技術は、
宇宙農業にも応用が利く。
空間と資源が限られる宇宙船や宇宙ステーション
での食糧確保にも有用だ。

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冒頭で紹介したショートストーリーのように、
「海のデータ化」も進んでいくだろう。

未来の漁業は、生け簀で魚を育てるだけにとどまらない。
「バイオミメティック」や「バイオロギング」
といった最先端テクノロジーを使い、
自然の魚群を直接管理し、
狙った魚群を直接水揚げすることだって
可能になるかもしれません。

群れ全体を誘導することも不可能ではない。

データが蓄積していけば、これまで不明
であった生態系も解明できるし、
その結果として漁獲高の向上や水産資源の保護
にもつながるという流れだ。

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日本においては、食文化の変化や乱獲による
漁獲高の減少を受けて、「魚離れ」が進んでいる。

だが世界に目を向けるとトレンドは逆だ。
国連食糧農業機関(FAO)によれば、
世界における魚介類の1人あたりの年間消費量は、
ここ半世紀で2倍にも増加している。

今後見込まれている世界人口の増加を加味すると、
水産資源の枯渇が懸念される。
そうならないためにもテクノロジーを活用し、
持続可能な水産資源を開発していく必要があります。

いかがでしたでしょうか?

近未来については、地球温暖化、食糧不足、
監視社会など、否定的な文脈で語られることが
多いですが、本書は決してそれだけではない
と思わせてくれます。

批判的にものごとをとらえることも大切ですが、
こんなご時世だからこそ、前を向いて
未来に備えていきましょう。

それではおさらいしていきます。

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1 2030年のテクノロジーと生活

これからの時代、新たな技術が日々誕生し、
思い描いた未来へと近づいていきます。

そこで重要になってくるのが、
どこにテクノロジーを使い、どこに人の手を残すか
という視点です。

テクノロジーはあくまで生活を補助する役割だと心がけよう。

2 さまざまな分野でハイテク化が進む

2020年代前半にポイントとなるのは、
センサーをベースにしたテクノロジー。
テクノロジーとアイデアが組み合わさることで、
さまざまな分野で絶えずイノベーションが起きています。

3 食分野のデジタル革命

食の分野でも、テクノロジーを用いた
新たな取り組みやサービスが登場します。

ネットワーク型植物工場、
培養肉など、技術によって食物を
生産する時代が来るのもそう遠くありません。

著者について
●川口伸明
アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部部長。薬学博士(分子生物学・発生細胞化学)。
1959年4月、大阪生まれ。東京大学大学院薬学系研究科 後期博士課程 修了。
博士号取得直後に起業、国際会議プロデューサーなどを経て、2001年より、株式会社アイ・ピー・ビー(Intellectual Property Bank)に参画。取締役技術情報本部長、Chief Science Officerなどを歴任、世界初の知財の多変量解析システム構築、知財力と経営指標の総合評価による株式投信開発、シードベンチャーへのプリンシパル&ファンド投資、事業プロデュースなどに携わる。
2011年末、アスタミューゼ入社。広範な産業分野の技術・事業コンサルティング、約180の有望成長領域の策定、世界の研究・技術・グローバル市場(ベンチャー、上場)の定量評価手法の開発、医学会などでの招待講演、各種執筆などに奮闘中。 おもな編著書は『生体データ活用の最前線』(共著、サイエンス&テクノロジー社/2017年)、『IoTビジネス・機器開発における潜在ニーズと取り組み事例集』(共著、技術情報協会/2016年)、『実践 知的財産戦略経営』(共著、日経BPコンサルティング/2006年)、『特許四季報1・2・3』(共著、IPB/2003・2004・2005年)、『新たな文明の創造をめざして』(編著、秋桜社/1994年)、『細胞社会とその形成』(共著、東京大学出版会/1989年)ほか。


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