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「数」と「数字」の違いを教えてください

子供の頃、歴史が嫌いでした。

教師に平気で「過去に誰が何をしたかなんていちいち覚えても、自分の未来に役立つとは思えない」などと言う子供でした。生意気というか、無知というか。

もちろん今は何事においても「歴史を学ぶこと」がとても大切であると思っている。ワインの歴史。腕時計の歴史。著名な経営者の歴史。。。。

そして、数の歴史。

実はまさにそれがタイトルの本がある。紹介しておくので興味ある方はぜひ楽しんでください。

『数の歴史』(ドゥニ・ゲージ著 藤原正彦監修 創元社)

まさに数の歴史を学べるコンパクトな1冊。かつて数学に夢中になった頃を思い出しました。


・10個の数字ですべての数を表現できる。これは26文字ですべてのものを表現するアルファベットよりも優れていることを意味する

・2進法は人間にとっては計算の妨げになるが、コンピューターの原理になっている。

・60という数はとても約数が多い数ゆえ、とても実用的である(1時間=60分、1週=360度)

・インドで「ゼロ」や「負の数」は生まれた。ヨーロッパでは当初、「負の数」を認めなかった。

・「空」が数のないことを示す考え方から、「空」がゼロという数があるという意味に変わった。「無い→有る」ということだ。

・「おとなっていうのは数字が大好きだ。きみが新しい友だちのことを話しても、おとなは決して大事なことはたずねない。『その子、どんな声しているの?どんな遊びが好き?蝶々は集めてる』なんてことは絶対にいわないで、こう聞くんだ。『その子、いくつ?兄弟は何人?体重は何キロ?お父さんの給料はいくら?』 それでやっとその子のことがわかったような気になる」(サン=テグジュペリ『星の王子さま』)

・数値化はいたるところで進む。しかし真実の探究が数の計算と同一視されるほど、精神的な貧困は進む。数にあらゆる現実を代弁させてしまうと、逆に人間の方が数に操られてしまう。


このあたりのエッセンスに心ときめく方は、ぜひ読んでみてください。


ところで、あなたは「数」と「数字」の違いを説明できますか。もちろんご紹介した本にもその説明が書かれていました。しかしこのようなテーマにおいては正解がありません。専門性、立場、時代、価値観、、、 様々なものによってその言語化は異なるでしょう。

私の専門であるビジネス数学の立場ではどうか。少しだけ言葉にしてみることにします。いつも通り、独り言です。興味のある方だけ読み進めてみてください。

「数」と「数字」の違い。

私はこのように違いを定義しています。

数:概念
数字:言語

「数」はそのような世界や考え方を指します。数えること。測ること。順序をつけること。分量のこと。

一方で「数字」はそれらを表現する道具を指します。リンゴが5個。体重が10kg増えた。社内の営業成績で第3位。醤油を大さじ2杯。これらの表現はまさに「数字」によって存在します。

以前、何かのメディアの取材でこんな質問をされたことを思い出します。

なんで深沢先生は「数字」って言うんですか? 「数」ではダメなのでしょうか? 例えばいろんな人が書かれているビジネス書もほぼすべて「数字」って表現ばかりですよね。よく考えると、なんでなんだろうって疑問が湧きまして…

ああ、なるほどなと思いました。確かに「数」と「数字」をはっきり定義して使い分けている人って、少ないように思います。

話が逸れましたが、上記はあくまで私の整理です。「数」は概念。「数字」は言語。すべてのビジネス人は、概念を使って仕事をするのではなく、言語を使って仕事をします。

「営業利益率12%が目標だ」
「勤務時間を会社全体で5%削減すること」
「当社の損益分岐点売上高は30億円です」
・・・・・・・・・・・

私のことを知る方は、私がビジネスセミナーや企業研修において必ず「数字とは、コトバである」と伝えていることをよくご存知でしょう。その理由も、この記事で十分すぎるほど説明していますね。

さて、あなたはこのテーマについてどう説明しますか。

「数」と「数字」の違いを教えてください

ぜひ考えてみてください。あなたの大切にしているものや価値観がはっきりわかって、面白いと思いますよ。



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深沢真太郎 ビジネス数学・教育家 作家(35冊/小説・ビジネス書・教育書)
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