20000108 πの彼方
πの100万桁目の数は「1」である。この場合の「桁」とは3.14・・・のうち1桁目は「3」、2桁目は「1」、3桁目は「4」で、頭から数えたものである。コンピュータがあるから時間と財力さえあれば桁数はいくらでも計算して増やすことが出来る。1997年にはKanada氏とTakahashi氏が日立のSR2201というコンピュータを使って515億桁を計算した。
同じ人によって最近はもっと計算されている$${^{*1}}$$ようだ。
πは割り切れる数ではないので正確に計算しようとすれば小数点以下の数はいつまでも続く。つまり1÷4=0.25の様に終わらない。しかも1÷3=0.333・・・の様に割り切れないけど同じ数字が永遠に続くというものでもない。もしπがこの様な数だとすると100万桁目の数字は計算しなくても判る。従ってスーパーコンピュータを使って1÷3を515億桁計算する酔狂な人は現れない。
1÷3=の値の515億桁目の数字は「3」である。そのかわり1÷3=1/3=0.333・・・や1÷7= 0.14285714285714・・・という様に分母分子が整数の分数として表すことができる値は同じ数字や同じ数字の組み合わせが循環するので何桁目がどんな数かはその数そのものを計算せずに知ることができる。これを有理数と呼んでいる。
一方、分数で表せない数は無理数と呼ばれている。√2を小数で表そうとすると1/3の様に分数では表せないので小数点以下の数は循環しない。√2=1.41421356・・・の515億桁目の数は√2そのものを計算しないと判らない。では、なぜπの515億桁目を計算する人がいるのに√2のそれを計算する人がいないか。√2はX*X=2の解(答え)の一つだから何となく判ったような数なのだろう。ところがπは有理数を係数とする代数方程式の解としても表すことができない数なのである。この様な無理数を特に超越数と呼んでいる。πの他によく知られた超越数は自然対数の底であるeがある。
それでもπである理由は小学校の算数で出てくる数であり最も身近な超越数だからであろう。
実際、円周率πで必要なのは3.14159迄ぐらいで515億桁迄は必要ない。必要とする人類は今までもいないだろうし今後も出現しないだろう。
例えば1兆桁目を計算したときは計算結果が出た瞬間にその数が最も円周率πに近い値である。しかし円周率πの真の値は誰も知り得ないので計算結果が真の値と言えるであろう。その真の値を人類最初に垣間見る事ができるなら計算する意義があるかもしれない。高精度計算の高速化研究での数値計算の一例としての円周率計算の意義とは別に。
*1 πの世界記録?2061億5843万桁計算の概要
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