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【弾が当たらないのには訳がある】MADLAXを紹介

今回は電波系ガンアクションの名作「MADLAX」を紹介したい。

「MADLAX」

どんなアニメ?

ビィートレイン制作、真下耕一監督のTVアニメ。2004年4月〜9月までテレビ東京などで放送されていた。
「NOIR」「エル・カザド」と合わせて美少女ガンアクション3部作と呼ばれる作品の第2作。3部作の中でもとりわけ難解な内容である。

あらすじ

アジアに存在する「ガザッソニカ王国」は政府軍と反政府組織が12年に渡り内戦を続けていた。戦乱の中、一人のエージェントが名を轟かせていた。名前を「マドラックス」というその女は、驚異的な戦闘能力から政府とゲリラ双方から恐れられていた。
マドラックスは各地で暗躍しており、遭遇したものは皆死んでいる。

「マドラックス」

一方、先進国の「ナフレス」で暮らす少女「マーガレット・バートン」は12年前、飛行機事故に遭遇し生還した過去を持っていた。事故で母を失い一人生き残り、以前の記憶は喪失しているが、マドラックスという単語のみは憶えていた。

「マーガレット・バートン」

二人の真実

実はマドラックスとマーガレットは12年前の飛行機事故の際「真実の扉」の力によって1人の人間が2つの存在へ分かれた姿だったのだ。
真実の扉は古代ガザッソニカ語で書かれた3冊の本を、資質ある者が揃えた際に開く異空間のようなものである。本にはそれぞれ不思議な力が宿っており、人間を操ることも可能。
「真実の扉」を悪用し、世界を望む姿に変えようとした「フライデー・マンデー」という男と、軍人であったマーガレットの父が戦場で対峙していたところ、偶然近くで生還したマーガレットが駆けつけてしまった。

マーガレットの父
「フライデー・マンデー」

マーガレットの父はフライデーへ銃を放ち、思いがけない娘との再会に喜んだ。しかしその時、致命傷を避けていたフライデーは本の力を利用し、マーガレットの父が娘を殺すように操り、仕向けるのだった。

様子のおかしい父を案ずる幼き「マーガレット」
操られ娘に銃を向ける父

愛する父から突然、銃を向けられ困惑する幼きマーガレット。父を撃たなければ自身が死んでしまう、でも父を撃つことはできない。相反する感情が「真実の扉」の力により「マーガレット」と「マドラックス」2つの存在を生み出してしまった。
そして、分かれたもう一人であるマドラックスにより、操られた父は殺された。こうしてマーガレットはその記憶を封印し現在まで生きていたのである。

「マーガレット」
「マドラックス」

主人公補正に明確な解答を示した本作

ガンアクションというと主人公に対して、不自然に弾が当たらなかったりするのが常だ。しかし、本作はそういった作劇上の”都合”、つまり主人公補正にしっかりと理由付けした極めて稀な作品である。
作中、マドラックスは敵から発砲を受けても、全く意に介さず無双するような描写が存在する。傷がつかないというより、弾が当たっていないかのような描かれ方だ。

至近距離から正面で何発もマドラックスへ放つ
だが、全く効いてない

加えて、本作の登場人物はあくまで普通の人間しか登場しない。だが、マドラックスだけは例外で人間離れした身体能力も披露する。さらに、戦闘中に服装がドレスに変わったりなど不自然な点も存在する。

いつもの軍服が
突然ドレスになったりもする

このような描写は、何もマドラックスが主人公だからではない。先ほど解説した通り、マドラックスは「真実の扉」という力によって生み出された、超常の存在なのである。だからこそ、弾が当たらなかったり人間離れした身体能力で無敵となっていた。
しかし、作中終盤にてマドラックスも自らが超常の存在ということを認識してしまう。そしてその後、マドラックスは敵から銃弾を浴びてしまう。その際に初めて被弾するのだ。

最終話にて初めて手傷を負う

無敵の主人公が超常の力によって誕生した出自を知り、普通の人間になるという描写である。
このように「MADLAX」における主人公が無敵の理由は、作中でハッキリ明示される。ある意味主人公補正すらも伏線となっているのだ。

余談

後年「劇場版とある魔術の禁書目録-エンデュミオの奇蹟」が公開された。この映画の具体的なシナリオは割愛するが、マドラックスとかなり多くの共通点が存在する。それは作中、飛行機事故に遭遇したヒロインが強く願ったことで2つの存在に分かれるという描写だ。
個人的見解になるが、この映画のオチはマドラックスのパクリと言って差し支えないと思う。もちろん脚本家はそれぞれ別だ。

「劇場版とある魔術の禁書目録-エンデュミオの奇蹟」

1つの存在が2つに分かれる程度では共通点としないが、飛行機事故という原因まで同じであり、さらにそれが物語のオチになっているのはパクリではないだろうか。
もちろん「MADLAX」と「とある」を比較して優劣を語るつもりはない。ただ、著しい共通点を感じたので特筆させていただく。

総評

多少難解ではあるが、ラストは綺麗に物語が締め括られ見ごたえのある名作である。各話ごとにマーガレットとマドラックスで視点が切り替わるので、ながら見などをしていると展開に置き去りにされてしまうかもしれない。
ドラマシーンではハッタリの効いたキャラクターも多く、意外にも戦闘シーンより退屈しないのである。
3部作として語られる「NOIR」と比較するとガンアクションシーンは多くない。だが、マドラックスの強烈な無双シーンによって少ないながらも強く記憶に残る印象だ。
腰を据えてアニメを視聴したい方におすすめできる作品となっている。




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