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【美少女ガンアクションの名作】NOIRを紹介

今回は美少女ガンアクションの名作「NOIR」を紹介したい。

「NOIR(ノワール)」

どんなアニメ?

ビィートレイン制作、真下耕一監督のTVアニメ。2001年4月から〜9月までテレビ東京で放送されていた。
後に「MADLAX」「エル・カザド」と合わせて美少女ガンアクション3部作と呼ばれるシリーズの第1作である。

あらすじ

ある日、パリで暗殺代行業を営む「ミレイユ・ブーケ」の元へ1通のメールが届く。差出人は「夕叢霧香」という日本の女子高生で、メールには「あなたと私の過去への巡礼」という一文と共に、霧香の顔写真が添えられていた。馬鹿馬鹿しいと思ったミレイユが席を立とうとしたその時、メールに添付されたオルゴールのメロディが鳴り響く。そのメロディは過去、ミレイユの家族が殺害された現場で流れていたものと同一だった。
家族が殺害された真相に霧香が関係していると考えたミレイユは日本へ渡った。

「ミレイユ・ブーケ」

日本へ渡ったミレイユは霧香を見つけた。そして、何者か問いただすと霧香は懐中時計を取り出し、再びあのオルゴールのメロディを響かせた。直後、何も答えない霧香は近くの建設現場へ身を隠すのだった。

何も答えない「霧香」
再びあのメロディが…

後を追ったミレイユは佇む霧香を見つける。もう一度何者か問うと、霧香は「ノワール、待っていたわあなたを」と答えた。見つめ合う二人、その時突如後ろから銃声が聞こえた。謎の男たちの襲撃を受けたミレイユは応戦している最中、霧香の姿を見失うのだった。

意味深に佇む「霧香」

霧香を探して建設現場を彷徨うミレイユは、男たちのリーダーと思しき人物を見つけた。銃を突きつけ降参を促すが仲間の加勢もあり、逆に捕まってしまう。

逆に捕えられてしまう「ミレイユ」

首元へ銃を向けられ絶体絶命のミレイユ、しかし男たちが次々と銃弾に倒れる。銃声の方向には霧香が立っていた。その後、リーダーと思われる人物を殺し、圧倒的な戦闘能力で残りの敵を制圧するのだった。

「夕叢霧香」

霧香の戦闘能力に驚きを隠せないミレイユだった。負傷していたミレイユは霧香の自宅へ向かう。ミレイユは慣れた手つきで手当を行う霧香にまたも訝しむ。霧香は自分には過去の記憶がないと告げた。

「霧香」の自宅

ミレイユの調べによると、夕叢一家は半年前この自宅へ越してきた。そしてすぐに両親はアメリカ出張へ出かけ、残った霧香だけがこの家から学校へ通っている。さらに霧香の両親やその勤め先、戸籍など全てが偽りだと言う。何者かが家族を演じていたに過ぎなかったのである。霧香が憶えているのは殺しのスキルだけ。

偽の家族写真

自らの正体を知りたい霧香と、家族が殺害された真相を知りたいミレイユの利害が一致した。二人は殺し屋ユニット「ノワール」を結成したのである。そして、ミレイユは全ての真相が分かった時に霧香を殺すと宣言したのだ。

霧香の過去

「ソルダ」という組織がある。元々は戦災に苦しむ人々を手段を選ばずに救う組織だったが、次第に勢力を拡大し世界を裏から牛耳るまでとなった。
現在では当初の理念は忘れ去られており、富と権力に塗れた悪の秘密結社となっている。過去、ソルダには「真のノワール」という伝説が存在した。固い絆で結ばれ、闇の世界で生きることを誓った二人の乙女をそう呼ぶのだ。
かつては、荘園で少女たちを争わせ生き残った2人を真のノワールとして崇めていた。

「真のノワール」を象った像

ソルダは現在、原点回帰を望む原理主義派と富と権力の維持を望む現実主義派が内部で争っていた。原理主義派のトップは「アルテナ」と呼ばれる最高幹部の一人である女性だ。
アルテナはソルダを原点のあるべき姿へ戻そうと画策していた。当初の理念を忘れたソルダに悲観し絶望した彼女は、真のノワール伝説を通して組織をかつての姿へ回帰させようと望んでいた。

「アルテナ」

ミレイユはマフィアの有力者の家に生まれた。そしてある時、幼いミレイユは真のノワール候補として選ばれた。しかし、両親は我が子をソルダへ委ねることを拒んだため、アルテナの遣わせた幼少時の霧香によって殺害されたのだった。これがミレイユの家族が殺害された真相である。

幼き霧香

ソルダが遣わせた暗殺者から真相を知ったミレイユは霧香と対峙する。記憶が戻り全ての真相が分かった今、自分を殺せという霧香に対して銃を向ける。

対峙する二人

自身がこれまで、パートナーとして数々の死線を共にしたミレイユの親の仇であることに絶望した霧香は自分を殺して欲しいと懇願する。
しかし、ミレイユは銃を下ろしたのだ。驚く霧香に「約束は必ず果たす、次に会った時に」と告げてその場を去るのだった。

二人の運命

その後、相棒を失った霧香はかつて真のノワール選定が行われていた荘園に向かった。荘園ではアルテナ率いる原理主義派のソルダ構成員が集まり、変わり果てた組織を原点回帰させるべく、真のノワール選定の儀式の準備に取り掛かっていた。
霧香はそこで「クロエ」というアルテナの腹心と行動を共にしていた。霧香とクロエを真のノワールにしようとアルテナは目論んでいたのだ。

「クロエ」

儀式を控えその前に”禊”を済ませる二人。しかしその時、禊を終えて衣装を纏った霧香の前にミレイユが現れた。真のノワール候補として覚醒した霧香は、冷たい眼差しでミレイユに銃を向ける。二人の一騎打ちが始まった。

禊を行う「霧香」と「クロエ」

覚醒した霧香の力は圧倒的で押されるミレイユだったが、どうにか銃を向け合う互角のところまで持ち込むことに成功する。

二人の運命は…?

その時、ミレイユが所持していた懐中時計が二人の前で落下した。オルゴールからはまたあのメロディが鳴り響く。霧香はミレイユの両親を殺した日のことを回想し動揺した。半ばアルテナからの洗脳状態だった霧香は銃を落とし、正気を取り戻した。
一部始終を見ていたクロエは剣でミレイユに斬りかかる。だが、霧香にフォークで刺されその場に倒れ込むのだった。クロエを弔った二人はアルテナを討つと決心した。

返り討ちにあう「クロエ」

二人はアルテナがいる古いソルダの施設へ向かった。行く手を阻むソルダの構成員を次々と倒し、ついにアルテナと対面する。
実はアルテナは戦災孤児だった。かつて、戦火に飲まれる街で一人佇んでいたところ、兵士の男に暴行される凄惨な体験をしていた。その経験からアルテナは「愛で人を殺せるなら、憎しみで人を救えもするだろう」そう信じていた。

二人と対面する「アルテナ」

アルテナ曰く、ここは忘れ去られた古い祭壇らしい。そして次に自らが手にかけたミレイユの両親を愚かだと一蹴した。激怒したミレイユは掴みかかるが、あまりの下衆さに殺す価値もないと言い捨てる。
しかし、アルテナは袖から隠した銃を放ち、ミレイユの肩を掠めた。さらにその銃で脅しながら、霧香へ向けて自分を撃つように言うのだった。

アルテナを撃とうとする「霧香」

これまで多くの人が死んだこと、そしてミレイユの両親を殺した罪悪感から霧香は引き金を引けなかった。だが、その隙にアルテナがミレイユへ向けて発砲した。ミレイユを庇った霧香は腹部を撃たれ、負傷した。

ミレイユを庇う「霧香」

アルテナは霧香とミレイユ、固い絆で結ばれた二人の暗殺者の乙女を前にして「ノワール」と歓喜の声色で呟くのだった。そして、負傷に耐えながら歩みを進める霧香は「あなたの思う私たちではない」と言いながら、アルテナを突き飛ばし祭壇にある大穴へ共に落ちていった。

絶体絶命の霧香

大穴の底は炎の海となっており、アルテナがわずかに壁を掴み持ちこたえていたのだ。霧香はミレイユへ別れの言葉を告げた。その時、アルテナが限界を迎え二人は落ちたかに見えた。だが、霧香の手だけはミレイユが掴んでいたのだ。

炎の海へ消える「アルテナ」

二人は古いソルダの施設を後にした。外へ出るとソルダの幹部が待ち構えていた。出てきた二人の姿を見た幹部たちは「ノワール」と呟いた。
それを聞いた霧香とミレイユは共に「違うわ、道を空けなさい」と言い放つ。道を空け満身創痍の二人を見届ける幹部たちであった。

ソルダの幹部たち
二人で生きていく

ラストは二人が支え合いながら歩く後ろ姿を映して本編は終了する。そして、意味深な懐中時計を映すカットで2発の銃声が流れ物語は幕を下ろす。

2発の銃声が流れる

総評

シリアスかつダークな作風の名作アニメである。
二人の暗殺者の少女が強大な悪に立ち向かう物語はある種の王道を感じる。組織に運命を弄ばれた二人は戦いの中で固い絆を結び、闇の世界で生きるその姿はまさしく「真のノワール」であるという皮肉的なオチもとても良い。

ラスト2発の銃声は様々な解釈があるが、個人的には霧香とミレイユへ向けたソルダからの祝砲という説を支持したい。ネット上ではソルダ幹部が二人を撃った説も散見されるが、アルテナが討たれ盤石となった現実主義派の
幹部たちに二人を始末する理由はないと思う。
満身創痍になりながらも支え合い歩みを進める彼女たちに、形骸化した「真のノワール」伝説を感じ、ある種の驚きや感動をしていた風に感じられた。したがって、ラストの銃声は祝砲と考えるのが妥当だろう。

今どきのアニメにはないシリアスさが特徴的な作品となっている。2クールと少し長いが、1話完結のエピソードも多く殺し屋2人組のオムニバスとしても楽しめるのでぜひ視聴をおすすめしたい。









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