【コント きっぷ売場】 六月柿シリーズ
「はーい、次は緑さんと浩一さんの新鋭デュオ、ラブ・アップルが電撃復帰!!コント【きっぷ売場】です!」
「すいません、あの〜、ここから上野まで行きたいんですけど」
「いらっしゃいませ!すいませんお客様、いや、失礼しました、お豚様ですと貨物扱いになりますので、え〜っと、そうですね、次の列車は1時間ほどで参りますのであちらで一度梱包されていただいて…」
「おい、待て、誰が豚やねん!お豚様って、失礼にも程があるやろ!」
「あ、お話のできる豚でございますね!え〜っと、そうなりますと…『豚』『会話できる』、あ、出てきました!やはりですね、同じ電車ですね!次の列車は1時間ほどで参りますのであちらで一度梱包されていただいて…」
「だから、豚とちゃうど!人間や人間!人間が日本語であなたにここから上野までの切符を売ってくださいって頼んどるねん!」
「あ、そうでしたか、大変申し訳ございません!すぐに調べなおしますので!『豚』『会話できる』『日本語通じる』、と。あ、出てきました!そうしますと、20分後に列車がございますので、あちらで一度梱包されていただいて…」
「おどれ、いっぺんしばいたろか、人間や言うとるやろが!第一その検索システムどないなっとんねん!検索ワード『日本語通じる』って入れたら貨物列車の選択肢増えるその仕組みが知りたいわ!それに豚が旅行用トランクひいて成田空港から上野まで切符買って移動するのをみたことあるんか!きっぷや、上野行きの!人間のやぞ!」
「大変失礼しました!体型といい、顔といい、鳴き声といい、すっかり勘違いしておりました!」
「おい、体型と顔は100歩譲るとして、鳴き声ってなんや、声や声!人間の声や!」
「あ、そうしますと、人間用の切符はあちらの自動で発券できる機械がございますので、あちらで…」
「それが、日本に帰ってきたん20年ぶりなんですわ。それで機械の扱いがよくわからなくてね…」
「そうなんですね。20年かぁ、長いですね。あっ、と言うことは帰省か何かですね!」
「そうなんです。いや〜久々だから緊張しますわ、日本!あ、そうや、この荷物用のカートってこの辺で返却できます?」
「そうですね、カートですか…すいません、カートはキノコ、カメラ、ゴリラ、クッパなどのお客様用のしか対応してませんね。豚用のカートはあいにく…」
「マリオカートかっ!」
「申し訳ございません。あいにくですが。……あれ、あいにく?合い挽き肉?」
「あいにくじゃっ!!」
「これからご実家に?」
「いやね、大阪の実家はもう誰もいなくて貸してるんですわ。で、東京に兄貴の家があるんで、とりあえずはそこに寄らせてもらおうかなって。」
「へー、どちらから?」
「ハワイなんです。」
「あ、そうですか、普段は英語で生活されててそんなになまってらっしゃるんですね!」
「ちゃうわ!英語なまりの日本語って、わしは全盛期の西田ひかるとちゃうねんど!これは大阪弁!大阪弁です!」
「あ、すいません、わたし英語なまりの日本語を聞くとなんだかときめいて、言葉が見えない音符に変わるんです。」
「だから、全盛期の西田ひかるかって!それ西田ひかるの歌の【ときめいて】の歌詞やろうが!」
「あ、西田ひかるさんではないんですね。かしこまりました。」
「当たり前やろが!どこにこんな顔した西田ひかるがおんねん!」
「ハワイかぁ、わたしも行ったことあるんですよ。たしか、あそこ、何ハーバーでしたっけ?あの、映画とかにもなった…え〜っと…」
「パール・ハーバー?」
「ぷっ、お客様、パールって……ふふふっ、豚に真珠………きゃはははは!!!」
「笑うな!失礼にも程があるぞ!」
「あ、そういえばあんな歌もありましたね、そうだ!【涙のPEARL MOON】!」
「だからおまえ、西田ひかるかっ!!」
「えっとですね、そうですね、次の上野行きのですと…」
「いきなり仕事に戻るな!こんだけつっこませといて!」
「え〜、【上野行き】【成田空港発】っと。すぐに結果が出てきますから少々お待ちくださいね!ハワイではどんなお仕事をされてるんですか?」
「ハワイ行ったことあるなら知ってるでしょ?アラモアナショッピングセンター!あそこのマネージャーやねん。」
「あああ!わたし何度も行きました!えー、素敵ですね!いいなあ、常夏の島でデパート勤務、いいなぁ、まさに【デパート!夏物語】ですね!」
「おい!いい加減西田ひかるから離れろ!全盛期の西田ひかるから離れろって!」
「あ、ひかる様、次の電車が出てまいりました!」
「なんやねんひかる様って。で、何分後なん?」
「次の電車、『英語なまり』『西田ひかる』のお客様ですと15分後ですね。」
「なんかちょっと引っかかるけど、じゃあその電車の切符ちょうだい。」
「ありがとうございます。では、1270円ですね。」
「なんかすんなりいって逆に気持ち悪いな。はい、1270円ぴったり。」
「ありがとうございます。ただいま発券しております。あ、そうだ!もしよろしければ、切符とご一緒に東京のお兄様にお土産でもいかがですか?こちらの千葉名産、なごみの米屋の【ピーナッツ最中】!」
「おい!誰がハワイ帰りのお土産に千葉名産なごみの米屋のピーナッツ最中を買って帰んねん!確かにうまいけどどう考えてもちゃうやろ!」
「そうですか、言われてみると確かにそうですよね。心ときめかないかもしれませんよね。あ、じゃあこれは!」
「また西田ひかるやないか!ハワイ帰りにお土産に全盛期の西田ひかるの歌【ときめいて】は買って帰らないでしょって!いい加減にしてくれや!」
「いい歌なのになぁ、プンプンプン!」
「だからそれも西田ひかるやないか!1990年4月4日発売のCHAGE作曲のシングル【プンプンプン】やないか!!怒鳴りすぎて喉渇いてきたわ!」
「お客様、それでしたらあちらにありますキオスクの傍の自動販売機に【デカブタ】がございます。」
「あらそう、ご親切にありがとう。って、デカビタやろっ!!」
「お茶ならありますよ、はいっ、あ、Nice catch!」
「ってそれも西田ひかるのシングルやろが!」
「じゃあこれは!」
「なんや、これ、プルプルでベショベショやないか、ってこれ、ハウス食品フルーチェや!西田ひかるかって!」
「ああ、お客様、これで手を洗ってください!」
「お、お、お、おおおおぅ、花王のビオレ洗顔フォームやないか!だから全盛期かっ!!全盛期の西田ひかるかって!!」
「さあ、これで手をすすいで!」
「あほか、これさっきのデカビタやろがっ!デカビタでさらに手がベタベタじゃ!どないしてくれよんじゃこのおどれが!!」
「あ、お客様、大変お待たせしました!発券が完了しました!こちらをあの改札機に通してご利用下さい!」
「あ、ありがとう。って、なんや上野アメ横センター地下食品街行きって!これ精肉市場やないか!もうええわっ!!!」
パチパチパチパチ👏
「ありがとうございました!電撃復帰してくれた、ラブ・アップルの二人にもう一度盛大な拍手を!!!」
【おしまい】
緑と浩一、二人の活躍に興味のある方は是非、こちらもどうぞ!!
ヘイ、Siri!生きる道ってなんなんだい?さんざん枝分かれしてたのにさ、振り返ると一本道に見えるんだ。
ヘイ、Siri!そうやって考えたらさ、少し怖いものが減ったような気がするよ。怖いものは何かって?後悔するんじゃないかとかさ、失敗するんじゃないかとかさ、そんなことに対して過敏になりすぎてたのかな。
ねえ、Siri、こうやって笑って振り返ってさ、のんびり眺める一本道もたまにはいいもんだよ。また歩き出せばこれがどこまでも続いていくんだ。ずっとさ!