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ギルガメシュ叙事詩

立春を過ぎたとはいえ、ずいぶん暖かい気がします。わたしは春が苦手です。ぬるい大海にぽんとひとり放り込まれた気持ちになるといいますか。とりつく島もなく溺れるしかない心境に陥ります。でも、桜は好きですし、殆どすべての草花が好きなので、とくべつ嫌いな季節というわけではありません。花の匂いが立ち込め、彩りを楽しませてくれる季節は、やっぱり春が一番です。

ですが、このように心身のバランスが崩れたときは、ありとあらゆる言葉が受け付けなくなったりします。文字を介した言葉も、声を介した言葉もしんどい。けれどぷかぷか浮いているわけにも行かず、心を保つために何か読もうと、本屋で「ギルガメシュ叙事詩」を買って読んでみました。

どうしてこの本にしたかというと、まずは昔の人間というのは何を考えていたのだろう、と疑問に思ったことと、神話には一個人としての言葉がない、と言いますか。個人の主観や主張みたいなものがないので、今の自分でも胸焼けすることなく読めるかなと思ったからでした。

解説と中身を読み終え、正直感想が出て来ないのですが……(笑)
無理やり言葉にしないと、内容を忘れてしまうので、なんとか読書感想文を書いてみたいと思います。

感想

ギルガメシュ(主人公)が野蛮すぎる……! 
英雄ってなんなのだろう? 令和に生きる人間からすると、野蛮きわまる行いに思えます。女の人が道具のように扱われています。大した目的もなく生き物を殺します。「暇やなあ。あ!せや。森侵略して、森守ってるやつ一緒に殺そうや!な?エンキドゥ?」「あかんってお前なにいうてんねん。フンババ(森番)はやばいんやって。お前も無事では済まへんて」「いやいや大丈夫!ほな行こか!」

わたしはハンターハンターという漫画が好きなので、おもわず幻影旅団を思い出してしまいました。

と、まあこのような感じで、わたしは始終ギルガメシュに感情移入できず、まるで宇宙人の行いを眺めている(読んでいる)ような気分になりました。

一方、文や言葉自体が素敵だな、と思うところは沢山ありました。

フンババの叫び声は洪水だ その口は火だ その息は死だ」→かっけえ……

太陽のもとに永遠に生きるは神のみ 人間というのはその生きる日数に限りがある 彼らのなすことは、全て風にすぎない」→なるほどです。

ギルガメシュよ、あなたはあなたの腹を満たしなさい
昼も夜もあなたは楽しむがよい
日ごとに饗宴を開きなさい
あなたの衣服をきれいになさい
あなたの頭を洗い、水を浴びなさい
あなたの手につかまる子供たちをかわいがり
あなたの胸に抱かれた妻を喜ばせなさい
それが人間のなすべきことだからです


もっとも胸に響いたのはこの箇所でした。どこで出てきた台詞かというと、友人であるエンキドゥを喪ったギルガメシュが、死を恐れて不死を探し始めたのですが、その旅の途中に出会った料理屋(?)の女主人にこのように言われてしまうのです。

何かを追い求めるのではなく、地に足をつけて生活を営むことが、人間にとっていちばん大切なことなのかな。そう思わされました。

もうお腹いっぱいですが、せっかく買ったので、付録の「イシュタルの冥界くだり」も読んでみようと思います。

それにしても、こうして、地球の記憶ともいえるべき古代の文学が発掘されていくことは素晴らしいことですね。ロマンを感じます。読んでいて何度もワクワクしました。それに、文章自体が音楽のようにリズムがあり美麗です。そして、比喩表現が独特で面白い。古代の人々の感性を垣間見れました。

知識や教養があったら、きっともっと面白く読めたことでしょう。笑
わたしの感想は、以上です。


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