自己肯定感、低くていい
私は自己肯定感が底辺だ。どうしても自分のことを好きになれないし、「私には誇れるものが何もない」という理由で休日に寝込むことがたまにある。あまりにも繊細なガラス細工だ。もし仕事で何か些細なミスをしたとして、頭の中で「気持ちを切り替えよう、気持ちを切り替えよう」と自己暗示していたはずだが、気付くと「私生きてていいんだろうか」にすり替わっている。自己肯定感が低い人の中でもそこそこ重傷者だと思う。本当は私だって自分のことを愛したい。そして自分の欠点なんかより好きな食べ物とか好きな音楽のことを考えながら楽しく気楽に生きていたいんだけど、どうも何かしら重力のようなものが重く鈍く私に働きかけるらしい。
こんなことではあまりにも人生がハードモードになってしまうので、今までに何回も何回も自己肯定感を上げようと試みている。初めて「自分を好きになれば元気になる」みたいなタイトルの自己啓発本を読んだのは確か中学時代だったし(自己肯定感なんて言葉はまだ無かった)、「自己肯定感インストラクター」みたいな人のツイッターアカウントをフォローして毎日アドバイスを実践したこともあったし、今までに数え切れないくらいの回数「自己肯定感」でGoogle検索している。
しかし、筋金入りの「自己肯定感が底辺」なのでなかなかうまくいかない。例えば、メソッドに「自分のことを無条件で許せるようになりましょう」と書いてあったとする。内容が全く入ってこないのだ。難しい文章を読む時のあの「目が文字を上辺だけ追うけど、肝心の内容が入ってこない」というあれが起こる。「自分のことを許す」というのが具体的にどういう意味なのか全く分からない。それを無理やり私の中に落とし込むものの、今度は猛烈な拒絶反応が起こる。「自分を許すなんて、絶対無理!!」それもそのはずだ。悪意があるにしろないにしろ、自分の人生をめちゃくちゃにする原因人物がいるとしたらそんな人物はどう転んでも許せない。私の場合その犯人が自分自身だからだ。
昨日も自分自身のことがめちゃくちゃ嫌いになる出来事があった。私は自己肯定感を上げる努力をすることに対してついに匙を投げた。そしてある種の悟りを開いた。
「自己否定ってそんなにダメなことか?自分を否定するとそこから理想の自分に向かっての成長が始まるんじゃないのか?もう私は、自己肯定感を上げるのは無理!」
するとどうだろう。今まであんなに苦しかったのが信じられないほど一気に楽になってしまったのだ。今まではなんとか自分のことを認められるように、好きになれるように必死でもがいてきた。自分のことをどう頑張っても好きになれない自分と対峙するのが苦しかった。それがまさか、「自己肯定感を上げることに対して匙を投げる」ことが逆説的に自己肯定になるとは!なんで今までこれに気付かなかったんだろう。
今日「自己肯定感が低い自分のままでいる」自分を受け入れたことでなんとなく自分の中で吹っ切れた。ある種清々しい諦めなのかもしれない。でも多分今まで「自己肯定感の低い自分が嫌い」だったのだ、で自己肯定感を上げようとするたびにに今度はますます「どう頑張っても自己肯定感を上げられない自分が嫌い」になり、自分嫌いが悪化していた。自己肯定感を上げるメソッドがまさかの逆効果だったのだ。
これ、「押してダメなら引いてみな」ってやつだなと思った。自己肯定感が私並みに低い人ってなかなかいないのかもしれないけど、もしいたらこの発想を是非試して欲しい。スッキリするよ。