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【解説】本当にWordPressはSEOに不利なのか?

こんにちは、マーケティング部のSです。
普段はマーケティング部内のコラムチームにて、デジタルマーケティング関連のコラムを投稿しており、今回技術ブログに転載させていただくことになりました。

誰でも簡単にWebサイトを作れる便利なCMSツール、WordPress。
私自身、前職のメディア運営や自身のブログ運営で利用していたのですが、実は昨今のSEO対策には向いていないという情報を仕入れました。

今回の情報をもとに、WordPressなどのCMSを利用せず、自社開発で一からサイト制作をしているメディアやコンサル企業が増えている要因が理解できました。

これまでの自分の経験、及びSEOにおける認識が覆る内容だったので、誰にでもわかりやすいように噛み砕いて解説させていただきます。




1.SEOの歴史

SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略で、GoogleやYahooなどの検索エンジンの検索結果のページ上部にサイトが表示されるために様々な施策を行うことです。
この言葉自体は耳タコの人もいれば、名前だけ聞いたことがあるという人もいたり様々でしょう。

簡単に言えば、世の中のWebサイトは検索キーワードで最も目に留まりやすい1ページ目に表示されるために色々と試行錯誤し、それをGoogleが総合的にいいね!と判断したサイト順に並べています。

ではGoogleから高評価を得るためには何が必要なのか紹介します。

  1. 検索エンジン(ロボット)から見ても理解しやすいサイト作り

  2. ユーザーが求めている有益な情報を発信している

 シンプルにまとめるとたったのこれだけです。
この2つを満たす施策として、テクニカルSEOとコンテンツSEOが必要となってきます。

テクニカルSEOは、サイトの構造部分(HTMLやCSS、PHPなど)や表示速度などUX(ユーザーエクスペリエンス)に関わる部分で、検索エンジンからいいね!と評価してもらう取り組み全般を指します。

またコンテンツSEOは、サイトの中身、つまり検索ユーザーが欲しい情報が記述されていたり、分かりやすい図解を用いていたり解説されていたり、監修者に専門家を載せたり、コンテンツの内容を充実させる取り組み全般のことを指します。

検索エンジンのアルゴリズムが今ほど賢くなかった黎明期には、文字数をできるだけ多くしたり、無駄に「最高」や「最強」を多く取り入れることで優良サイトと判断されて検索順位上位を狙える時代もありました。
そのため「最高」や「最強」の文字を、あえてCSSで白文字にして背景全体に溶け込ませることで検索順位上位を占領していた時代もあったそうです。

しかし時代とともに検索エンジンも賢くなってきたので、そんな小細工は効かなくなりました。
Googelのガイドラインでは、明確なSEO対策の正解を示してはいませんが、検索エンジンが見つけやすく、ユーザーにとって有益なサイト作りを推奨しています。

そのためロボット、検索ユーザーどちらにも優しいサイト作りを心掛けることが、昨今のSEO対策では重要となります。


2.WordPressによるSEO対策が難しい理由

続いて今回の本題、なぜWordPressでSEO対策を行うことが難しいのかについて解説します。

まずWordPressについて説明すると、オープンソースのCMSです。
ざっくり言えば、世界中の人が無料で利用でき、HTMLやCSSなどサイト制作に必要な知識がなくても、Wordを使うように簡単な操作でブログやWebサイトが制作できるソフトウェアと考えていただければと思います。

昨今の副業解禁以前から、ブログ制作といえばWordPressが良い、という風潮がありました。
多くの企業でも簡単に記事コンテンツを作成、更新できるので需要が高いのは事実です。

その一方で、テクニカルSEOに不利という弱点があります。
テクニカルSEOで重視されている要素として、先ほど説明した表示速度が挙げられます。
表示速度が1秒から3秒になると32%、6秒では106%サイト離脱率が増加するというユーザー行動のデータがあります。
また表示速度が遅いということは、パソコンが読み込むサイトの要素が多いことも表しており、ロボットからすればスマートなサイトではないと判断します。

表示速度を改善するためには、ざっくりと以下の取り組みが重要となります。

●      HTMLやCSS、JavaScriptなどのフロントエンドの最適化
●      画像・動画ファイルの軽量化や読み込み遅延
 

これらは優秀なフロントエンドエンジニアを抱えている企業であれば、高速化に特化したAstroなどのフレームワークを用いれば改善できるでしょう。

その一方で、WordPress自体がPHPで構成されていること、またプラグインによるカスタマイズによって専門的な知識がなくてもSEO対策ができるという利点が、テクニカルSEOにおいて致命的な弱点となっています。

以前から、WordPressはオープンソースということもあり脆弱性が危惧されていました。
世界中の人たちによって使いやすく、かつデザインにも凝れるCMSを作り上げているため、中身を解読すればセキュリティにおける穴が見つけやすいわけです。

WordPressのアップデートと称して、その都度PHPのアップデートを推奨しているのですが、アップデートを行うとセキュリティ面や処理能力は向上しても、表示速度を根本的に改善しているわけではありません。
またカスタマイズに便利なプラグインのアップデートが開発されず、そこからウイルスが侵入するというセキュリティ面における問題が挙げられております。

最大の欠点として、WordPressは制作したコンテンツを表示するフロントエンドの機能と、コンテンツデータを管理するバックエンドの機能が完全に分かれておらず、WordPress自体がPHPで作られている点が挙げられます。

つまりフロントエンドとバックエンドが同一のCMSで管理されている以上、どちらかを改修した場合、もう一方に影響が出ない範囲でしか改修ができず、制約によってはそもそも既存システムの変更すらできず、根本的なテクニカルSEOが叶いません。


3.「ヘッドレスCMS」と「AIライティング ✖️ 一次情報」が最強

ここまでWordPressの弱点について解説してきました。では今後サイト制作の知識がないブロガーや企業はSEOで絶対に勝てないのかというと、そうとも限りません。
WordPressに限らず、一般的なCMSはフロントエンドとバックエンドが完全に切り離されているわけではないことが最大の欠点であると解説しました。

そこで注目されているのがヘッドレスCMSです。
ヘッドレスCMSはヘッドの部分、つまりフロントエンドの機能(コンテンツを表示するビュワーの部分)を持たないCMSです。
従来のCMSではコンテンツデータ(テキスト、画像、動画など)を表示させるビュワーと、これらのコンテンツデータを管理するシステムが統合して成り立っています。

ヘッドレスCMSはその統合が完全に切り離されているため、フロントエンドとバックエンドそれぞれに適したテクニカルSEO施策を行うことができます。
加えてビューを生成するフロントエンドの工程が省かれるので表示速度が上がることもテクニカルSEOに一役買っています。

一方で、別途フロントエンドの開発や外部のフロントエンドにコンテンツデータを出力する際のAPIに関する知識が必要となります。
 逆に言えば、このヘッドレスCMSの開発に特化したエンジニアが常駐、または外注すれば、社内においては追加したいコンテンツを更新するだけでテクニカルSEOもコンテンツSEOも対策ができます。

コンテンツSEOに関しては、昨今のChatGPTなどの生成AIによって簡単に記事を量産することができます。
ただ生成AIの精度もまだまだ完璧ではないので、人間の役目として検索キーワードから見えるユーザーインサイトをしっかりと理解し、その情報を生成AIにプロンプトで食わせることが必要です。
さらに実体験や経験則などの一次情報を、自身の言葉としてコンテンツに盛り込むことがGoogleが推奨するコンテンツSEOにおけるE-E-A-Tに繋がります。

これからのSEO対策は、迅速なWeb強化とネットでは得られない一次情報の提供が重要となるでしょう。


4.まとめ

今回は、WordPressを用いたサイト運営が最近のSEO競争に不利な理由について解説しましたが、いかがでしたか?

WordPressに限らず、従来のCMSは専門知識が少なくてもサイト運営ができる便利さが魅力ではあるのですが、本気でSEOで集客を目指すのであればベストプラクティスとは言えないかもしれません。
他にもWebマーケティングを行う上で必要なGoogleAnalyticsや各種MAツールなどの便利なマーケティングツールの利用もテクニカルSEOでは不利になります。

この辺りはまた次の記事で紹介できればと思いますので、次号を楽しみにお待ちください。


【参考】

  • 検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド

 

【用語】

  • E-E-A-T
    Google検索品質評価ガイドラインで定義されているWebサイトの評価指標
    「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略




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