御年86歳リドスコが描く『ナポレオン』【映画レビュー】
★★★★☆
鑑賞日:12月3日
劇場: MOVIX三好
監督:リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス
ヴァネッサ・カービー
御年86歳、サーの称号を持つリドリー・スコット監督。創作意欲は衰えず、更に近年は毎年のように新作を発表しており 老いてなお盛んである。
巨匠と呼ばれ、晩年になると抽象的な、難解映画を撮りたがる監督もいるが、リドスコ監督は常にクオリティの高い(面白いかはひとそれぞれだが)エンタメものを創り上げてくれる。(93歳C・イーストウッドもすごいな)
イギリス人のリドスコ監督がフランスの歴史上の人物をどう描くのか
〈以下少しネタバレあり〉
そこはリドスコ ただ英雄としては描かず
ジョセフィーヌを愛する「ただの男」ナポレオン・ボナパルトを軸にしたのは面白い。
演じるホアキン・フェニックスとヴァネッサ・カービー 双方素晴らしかった。
どこまでが史実通りか分からないがナポレオンとジョセフィーヌの2人の感情の機微に心震えた。
自分のつたない歴史の知識ではわからない事も多く、登場人物の関係性も理解しきれていないが 十分楽しめた。
よく知る人にとっては消化不足であろうか?
マリー・アントワネットの処刑から始まる物語(改めてギロチンって怖―)
巧みな戦術で伸しあがっていくナポレオン。数えきれない犠牲を払い得たもの、手に入れたことで手放さなければいけなかったもの。
戦闘シーンは流石のリドスコ。
ダイナミック且つ緻密なシーンに興奮する。
中でも氷上の戦いは圧巻であった。
有名なワーテルローの戦いでは、引いた絵面で戦略まで魅せてくれた。
ただ、158分でナポレオンのすべてを語るのは 流石に無理があるんじゃないかと思っていたが
ラストシーン、ナポレオンのバックショット
なるほどこの映画は
生涯を終えた幽閉の地 セントヘレナ島で
ジョセフィーヌに焦がれながら
死を待つナポレオンの回想録だったのだ。
それならば数えきれない戦をダイジェストで走馬灯のように見せていたと、合点がいく。
最後に残した言葉がすべてを物語っている。
(text by 電気羊は夢を見た)