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2024年映画寸評『ソウルの春』『落下の解剖学』『パストライブス 再会』『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』などなど。

2024年も思ったほど劇場に足を運べず見逃した作品が多数あったが、のちに配信やDVDで鑑賞できたものも多かった。
これから観られる方のきっかけになればと
2024年公開作に絞ってメモ程度に寸評してみた。
※ネタバレしているものもあるので
気になさる方は鑑賞後にレビューをお読みください。


1月公開

『レザボアドッグス リマスター版』

『ゴールデンカムイ』

『コンクリート・ユートピア』

★★★★☆

終末世界、生き残った者たち。正体不明の冴えない男が権力を手にしたときそのコミュニティはどこに向かうのか。人間の醜さ愚かさをあぶり出すポストアポカリプスもの。イ・ビョンホンが迫真。

イ・ビョンホン迫真 人相が変わってる

『VESPERヴェスパー』

★★★☆☆

ディストピアSF。生態系が壊れた地球、人間と植物そして人造人間のみが生きる終末世界。「ナウシカ」リスペクトを感じるところもあったが、ストーリーが今一つ盛り上がりに欠け、惜しい。世界観はよく、シリーズ化されればもっと良くなりそう。映像もダークな美しさがあり、その先をもっと観てみたい。

リトアニア出身の監督らが中心となって制作されたヨーロッパ産インディペンデント映画

『市子』(23年12月公開)

★★★★★

圧倒的な存在感の杉咲花はさることながら、若葉竜也の抑えた演技にリアリティが増した。ドラマ『アンメット』でもそうだが、二人は相性が良くいいケミストリーが起きる。テーマは重いが俳優陣の演技のおかげで没入できた。絶望だけでなく 市子にも幸せな瞬間はいくつもあった ラスト歩き出した市子のその先に 幸あれと願う。

杉咲花、圧巻

2月公開

『ボーはおそれている』

『落下の解剖学』

★★★★☆

巧い脚本が観客を巻き込んでいく グレーな描写で憶測を生み その憶測を真実にするために更に憶測を重ねていく ひとは見たいものしか見ない 信じたいものだけを信じる生き物だ 昨今の様々な事件(事件にすらなってないものもある)にも危うさを感じる 憶測だけで物事を判断してはいないか
自分に問いかけながら行動したい 普通「無罪」「有罪」どちらにしろ判決に納得がいくものだが この作品はそこもまた曖昧だ 真実はどうでもよく印象が大事という 怖い世の中だ ただミステリーとしては素晴らしい
スヌープ(犬)の演技はアカデミー賞ものだ

いい画角 『ファーゴ』を思い出した
スヌープ(犬)の演技はアカデミー賞もの

3月公開

『DOGMANドッグマン』

『DUNE砂の惑星 PART2』

『ビニールハウス』

★★★★☆

救われない物語 どうすれば良かったのか 答えは出ない
夢見ていた未来は夢のまま 残酷な現実
『半地下』と比べるのはどうかと思うが より絶望的だ 韓国の闇をみた

負のスパイラル

4月公開

『オッペンハイマー』

?????

いつもながらのノーラン監督の圧倒的な映像表現で没入はできたが、テーマがテーマなだけに日本人としては手放しに楽しむことは出来なかった。
ノーラン監督には史実ものではなくオリジナル脚本の作品を撮ってほしい。

広島原爆投下について表現されていなかったのは残念だ

『プリシラ』

★★★☆☆

すでに大スターの24歳エルヴィスが14歳のプリシラに一目惚れ、エルヴィスはプリシラを自分色に染めようとする。プリシア目線で描く光と影。
世界中の誰もが羨むスターの妻なのにキラキラが少なかったのはプリシラ本人が制作に携わっている影響だろうか。『エルヴィス(2022)』とは違う人物像が描かれており興味深い。寄り添いではなく依存に傾いていく様が悲しい。
ケイリー・スピ―ニーが素敵でファーストショットで射抜かれた。若く幼い恋心と大人の様々な愛を体現。皮肉なことに ひとりで家を出るプリシアはファーストショットみたく輝いて見えた。

ファーストショット なんと可憐なプリシラ14歳

『パスト ライブス 再会』

★★★★☆(4.5/5)

良質な脚本 韓国の慣わし「イニョン」
8000層もの縁を重ね今ここに居る 前世では「ある朝枝に止まる鳥とその枝だったかも」今世で出会えた二人だが その行く末は?ふたりの男とひとりの女 それぞれの表情が素晴らしい 心地いい余韻を残してくれた

赤い糸は細くて見えないんよ

『陰陽師0』

★★★☆☆

野村萬斎のイメージが強く残っていたが、
山﨑賢人演じる若き安倍晴明 いいじゃないか。
CGもストーリーも及第点。シリーズ化するのだろうか。

若き安倍晴明

『ブルックリンでオペラを』

★★★☆☆

原題「She Came to Me」こちらがぴったり
愛犬の散歩から始まる物語
間違いを犯してしまうのが人間 重くなりがちなテーマを
軽快に喜劇仕立てに出来るのは 監督の手腕
都合のいいラストも まぁ有りかw
キャスト最高 アン・ハサウェイ ピーター・ディンクレイジ 
マリサ・トメイ みんないい
いつまでたってもアン・ハサウェイはお美しい

アン・ハサウェイ安定の美しさ

5月公開

『ジョン・レノン失われた週末』

『ボブ・マーリーONE LOVE』

『関心領域』

『マッドマックス フュリオサ』

6月公開

『朽ちないサクラ』

★★★★☆

『孤狼の血』シリーズの原作者 柚月裕子による警察ミステリ小説の映画化。『市子』とは違う杉咲花が観れる。もちろん素晴らしかった。だが今作においては安田顕がハマり役。豊原功補を含めた三人が、安直になりがちなストーリーを 重厚なものにしていた。終盤の二人の対峙は鳥肌もの。
杉咲花にハズレなし。

「朽ちないサクラ」の意味するところは…

『ドライブアウェイ・ドールズ』

★★★☆☆

コーエン兄弟(今回はイーサンのみだ)の コーエン節全開
下ネタも全開 時折挟まるサイケな映像 『ビッグリボウスキ』だな
面白いのか面白くないのか 頭を空っぽにして観るのが正解かなー 
終盤に出てくるあの人だけでも観る価値あり?

このアングル
『レザボア・ドッグス』を思い出した

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

★★★★☆(4.5/5)

心に空洞を持つ人たち 人生は生き辛く抜け出し方も分からない。
「置いてけぼりのホリディ」の数日間で 人は、人生は変われる。
学ぶことはあけすけな言葉からだったりする。
人種も性別も年齢も 関係なく友情は生まれる。手の握り方もそれぞれだ。 
いい監督、いい脚本そしていい演者によって作られた良作。

近年稀にみる名シーンではないか

7月公開

『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』

『デッドプール&ウルヴァリン』

『ルックバック』

『フェラーリ』

★★★☆☆

「フェラーリ」の創始者エンツォ・フェラーリの激動の物語…という体だが、エンツォに心底愛想をつかすペネロペ演じる妻ラウラ・フェラーリが印象深く、冷めた瞳がヤバかった。当時のロードレースがいかに命懸けで危険に満ちていたかよくわかったが、『フォードVSフェラーリ』みたく笑えるところもなく終始暗め。マイケル・マン監督っぽいのだが。エンツォの苦悩をもう少し深掘りしてほしかった。車はどれも美しかった。 

イタリア全土1000マイルを走る過酷なロードレース“ミッレミリア”に
すべてを賭けて挑む

『先生の白い嘘』

★★★★☆

鳥飼茜の問題作の実写化。鑑賞前、主人公は奈緒でいいのかと若干の不安があったが、杞憂であった。難しい役を見事に体現した。風間俊介のクズっぷりがいい。猪狩もよかった。原作漫画を読み返したくなった。

風間俊介のクズっぷりがいい。

『キングダム大将軍の帰還』

★★★☆☆

ついに人気キャラ王騎将軍と龐煖の因縁の闘いが描かれる
刮目せよ!
龐煖『貴様は一体何者だ』
王騎『決まっているでしょう、天下の大将軍ですよ』
かっちょいいね キングダム史に残る名シーン
続編5作目は夏頃に公開だろうか 吉沢亮のことは心配だが
撮影は順調に進んでいるようだ 楽しみに待ちたい
楊端和の出番を増やしてほしいw

大沢VS吉川

『SALAAR/サラール』

★★★☆☆
約3時間、途中であやしく思ったが、2部作の前編(第1章)だったー
『K.G.F.』同様 人が吹っ飛びまくるアクション、登場人物が多くひげ面ばかりで判別し辛く、難解ストーリー…だけどインド映画に慣れてきていて 楽しめた。ダンスはなし。後編(第2章/2025年後半公開予定?)も観なきゃな

吹っ飛んでますねw 『バーフバリ』のプラバース主演

8月公開

『ブルーピリオド』

★★★☆☆
「自分は天才じゃない」「上には上がいる」ことを思い知らされた時がスタートなんだな その時の行動が未来を決める 表現することの苦しみ喜び
静かな炎を燃やし 描いて描いて描きまくれ
絵画表現に唸るものが少なかったが 飽きることなく楽しく観れた 
ゴードンはまり役 高橋文哉が美しかった

“ブルーピリオド”とは、ピカソの20代前半の画風(「青の時代」1901-1904年)を指し、
そこから転じて、孤独で不安な青年期を表す言葉。

『フォールガイ』

★★★★☆

前半少し退屈に感じたが、ライアン・ゴズリングとエミリー・ブラントが予想以上に相性良くて、二人が絡みだして俄然面白くテンポアップしていきラストまで一気に持っていかれた。アクションシーンは流石のリーチ監督だ。スタントマン映画といえば真っ先に『グレート・スタントマン(1978)』が浮かんだ。当時好きすぎて(特にスタントシーン)VHSが擦り切れるほど繰り返し観てたな。今の時代はCGやAIの発達でスタントの扱いも随分変わったようだ。だけど大変な仕事に変わりはなく、やはりリアルなスタントとCGのそれとは映画の出来が全然違うから、敬意を表したい。サムズアップだ!
続編も作れそうだが。J・モモアおいしい役w
リーチ監督『アトミック・ブロンド』の続編を撮ってくれないかなぁ

これは本人がやってるのかな?
『グレート・スタントマン(1978)』
当時のセックス・シンボル=バート・レイノルズとハル・ニーダム監督の
黄金コンビによるスタントマン映画。ラストの大迫力スタントシーンは必見。
若きジャン=マイケル・ヴィンセントもカッコ良し。

『ソウルの春』

★★★★★

「光州事件」の1年前に起きた全斗煥による軍事クーデター「12・12軍事反乱」を描く。面白かった。権力の亡者は興奮と恍惚の味を知る。
正義が勝つのではなく勝った方が正義。歴史が物語る、勝てば官軍負ければ賊軍。今韓国で起こっている事件にも注視したい。

ハナ会 決起

『モンキーマン』

★★★★☆(3.5/5)

舞台はインド 出演者もインド系 でも制作はアメリカ よってダンスシーンはなし 『ジョン・ウィック』の制作陣が絡んで なかなかのアクションを魅せてくれる 監督兼主人公のデヴ・パテルはブルース・リーにあこがれているという キレがいい インドの神話とか知らなくても楽しめた
「インドの社会と文化とかっこいいアクションの融合」を目指した作品

モンキーマスクはすぐ脱いじゃうw

9月公開

『エイリアン:ロムルス』

10月公開

『トラップ』

11月公開

『ドリーム・シナリオ』

★★★★☆(3.5/5)

ずるい容貌のニコケイ そんなニコケイが誰も彼もの夢の中に現れるというから さあ大変 冴えない中年男が世界中の 注目の的に
『マルコヴィッチの穴』っぽいのかと思ったが こちらはちょっと意外なラストだった ニコケイ怪演!

超能力ではありません 夢の中です あしからず

『BACK TO BLACKエイミーのすべて』

12月公開

『ザ・バイクライダーズ』


2025年もいい映画に出会えるといいな。
 
(text by電気羊は夢を見た)
 

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