『フラッシュダンス/4Kデジタルリマスター版』【映画レビュー】
★★★★☆
鑑賞日:2022年4月16日
劇場:MOVIX三好
「What a feeling Being's believing」
アイリーン・キャラの「Flashdance... What a Feeling」をバックに、朝もやの中、軽やかに自転車のペダルを踏んで走るアレックス=ジェニファー・ビールスのシルエット。一気に映画の世界に入っていけた。
4Kデジタルリマスターで蘇った名作を、大スクリーンで堪能した。
1983年公開、リアルタイムで観た。
のちに来る80年代MTV、MV・ブームの幕開けである。
同時期マイケル・ジャクソンは「スリラー」を発表している。
サントラを擦り切れるほど聴いた。「Flashdance... What a Feeling」(「スチュワーデス物語」を思い出すのはご愛敬)をはじめ名曲揃いだ。個人的にはマイケル・センベロ「Maniac」をヘビロテしていた。
ミュージック・ビデオ風の作りで音楽と映像の融合に成功した『フラッシュダンス』のヒットは、『フットルース』、『ダーティ・ダンシング』、『ラ・バンバ』等々のダンス映画へと続いていき、ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーのPコンビを有名にし(のちに『ビバリーヒルズ・コップ』、『トップガン』、『バッドボーイズ』と次々ヒット作を手掛けた。)、ブレイクダンスを広く認知させた。
ストーリーはシンプルで、昼は溶接工として、夜はバーでダンサーとして働きながら、プロのダンサーになる夢を追いかけるアレックスの青春物語。
記憶になかったが今回観て、きわどいシーンが多かったことに驚き、のちに『ナインハーフ』『危険な情事』を作ったエイドリアン・ライン監督らしさがこの頃から既に出ていたのかと納得した。
あと、引き抜きを企むナイトクラブオーナー役は『ストリート・オブ・ファイヤー』のボンバーズNo.2を演っていたリー・ヴィングだったと今回分かった。いいチンピラ感だ。
初見から39年。変わらず楽しめた。95分の上映時間も丁度いい。ヒット曲の数々、有名な水被りダンス、ブサカワな愛犬グラント、そしてキュートなジェニファー・ビールス。鑑賞後の清々しさ。ラストシーンは秀逸。
粗さがしをすればキリがないのだが、音楽・ダンスへの情熱とビールスの魅力の前では些末なことだ。間違いなく80年代を代表する名作のひとつであろう。
音楽と映像が見事に融合した純度の高い映画。2度目は無いのだ。続編の出演に「ノー」と言ったビールスの英断に感謝である。
余談だが、日本でのブレイクダンス第一人者(と言われている)風見しんごは、劇中、ストリートでブレイクダンスを踊る少年にインスパイアされ、単身渡米しレッスンを受け「涙のTake a Chance」でダンスを披露、ブームを作った。
その風見しんごのモノマネでTVにも出ていた “シュンちゃん”という先輩がいて、高校の校舎の踊り場でブレイクダンスをよく踊っていたのを思い出した。顔も似ていたと思う。お元気だろうか、懐かしい。
当時のパンフレットを引っ張り出してきた。
次は「フットルース」を大スクリーンで観てみたい。
(text by 電気羊は夢を見た)