かつてのバイク少年たちにノスタルジックを『ザ・バイクライダーズ』【映画レビュー】
★★★★★(4.5/5)
鑑賞日:12月7日
劇場:TOHOシネマズ赤池
監督: ジェフ・ニコルズ
出演: オースティン・バトラー
トム・ハーディ
キャシーの回想録、これが巧く物語に没入させてくれた。
キャシーのキャラクターがいい塩梅だ 美人ではあるがキラキラしたお嬢様でもなければギラギラしたお色気女子でもない
荒くれもの達にも負けていないキャシーの視点で
ジェンダー・フリーが希薄な時代、60年代~70年代のシカゴ発のバイク集団「ヴァンダルズ」を語っていく
ベニーとタンデムしたことで縁の無かったバイク乗りたちの日常にハマっていく 出会いのシーン 全然ロマンチックじゃなくて 良かった
キャシーの家の前で バイクに腰掛け煙草を吸いながら 何もせずキャシーがフリーになるの待ってるw
物語はベニーとジョニーを軸に回る ベニーは兄か父親かのようにジョニーを慕う ジョニーもベニーに一目置いている
バーに入り浸り飲んだくれ群れて走りもするが馴れ合わない
無口でキレたらヤバイ どこか幼さを感じるイカレてイカした
バイク命のベニー
銀幕のマーロン・ブランドに憧れてチームを作ったジョニー
結成当初はファミリーであった 次第に規模が拡大
望んではいなかったが巨大な力を手に入れ 一刻恍惚を味わうが
ほどなく制御不能となる
ベトナム戦争の暗い影を背景に チームは分断
若き勢力の台頭 「ビール派」と「ドラッグ派」 「拳」か「ナイフ」か 世代交代である
まさに栄枯盛衰
かつてのファミリアなバイク集団は やがて犯罪集団と化す
大切なひとが危機の時 ベニーは居ない キャシーの時もジョニーの時も
父親の死にも涙を見せない男は 悲しみと後悔の涙を流す
「女は男を変えられると思っている」とキャシーは言う
ベニーの頭の中を 鉄馬の重いトルク音が埋める
至福の笑みを浮かべたベニーは 幸せだ
いずれまた「俺は出ていく」 ベニーからバイクは消せない
生粋のバイクライダ―なのだから
いまはすっかり駆らなくなった かつてのバイク少年たちには
ノスタルジックを感じる 久しぶりにいいバイク映画を観た
(text by 電気羊は夢を見た)
おまけ:お薦めバイク映画(「複数台で走る」に絞る)
『イージー・ライダー』(1969年)アメリカ
監督:デニス・ホッパー
出演:ピーター・フォンダ
デニス・ホッパー
ジャック・ニコルソン
言わずと知れたアメリカン・ニューシネマの代表作
ステッペンウルフ「ワイルドでいこう!(BORN TO BE WILD)」をバックにチョッパーを駆る
時計を捨てて旅に出るキャプテン・アメリカとビリー
かっちょいいね みんなこぞってチョッパー乗ってたね?
しかしながら内容は「自由の国」アメリカの影の部分を描いており
お気楽ロードムービーではない
自由ってなんだろう?
ジャック・ニコルソンは無名のころからクセが強いね
『さらば青春の光』(1979年)イギリス
監督:フランク・ロッダム
出演:フィル・ダニエルズ
60年代ユース・カルチャーの2大勢力、「モッズ」と「ロッカーズ」の対立(1964年に実際に起きた「ブライトンの暴動」が基)を中心に ザ・フーの曲と共に青春の光と影を描く
モッズ側が主役なのでランブレッタや改造ベスパ(通称鉄スク)などのスクーター軍団だ
因みにロッカーズはノートン、トライアンフ(カフェ・レーサー仕様)が多かったか?パープルハーツの存在も初めて知った
若いころに観て結構衝撃を受けた作品 いま観直すとずいぶん青臭いけどね
スティングがモッズのカリスマ、エースを演じている
『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年)アメリカ
監督:ウォルター・ヒル
出演:マイケル・パレ
ダイアン・レイン
ウィレム・デフォー
「ロックンロール寓話」バイク映画ではないが
ウィレム・デフォー演じる「ボンバーズ」のリーダー、レイヴェンが
かっちょいい
ミニラッパ(?)で仲間を集めるシーンは最高
デフォーは『ラブレス』(1983年)(キャスリン・ビグロー監督)でも革ジャンに身を包みハーレーFLHハイドラグライドに跨っている
『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』(1991年)アメリカ
ミッキー・ロークとドン・ジョンソン
内容はともかく ミッキー・ロークがかっちょいい
ミッキー・ロークのPV的映画w
「Better to be dead and cool than alive and uncool.ダサく生きるよりクールに死のうぜ(byマルボロマン)」は名台詞
『マッドマックス』(1979年)オーストラリア
マックスのインターセプターに対抗するトゥーカッター率いる暴走二輪集団カワサキZ1000が登場 グースがかっちょいい
マッドマックス2作目以降は「バイク映画」から外しておこう
『乱暴者(あばれもの)』(1953年)アメリカ
暴走族を取り扱った初めての作品とされる
当時としてはかなり過激な内容だが マーロン・ブランド演じるジョニーのファッションは若者世代のアイコンとなった
『ザ・バイクライダーズ』ではジョニーが「ヴァンダルズ」を結成するきっかけとなる
(text by 電気羊は夢を見た)