見出し画像

ネイティブライクへの道〈14〉~従属接続詞のbecause の日本での扱い~

Welcome again to "A Journey to a Native-Like Speaker of English"!

このシリーズは、ELSA Speak という発音トレーニングアプリの効果を調べるとともに、私の英語教員としてのつぶやきを載せています。

このアプリは、Hikaruさんの記事で初めて知りました。

前回の投稿から今までの進捗状況

12月3日(木)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音79%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)

12月5日(土)82%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音80%, 流暢性88%, イントネーション81%, 強勢99%)

12月6日(日)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音80%, 流暢性88%, イントネーション81%, 強勢99%)

12月7日(月)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音82%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)

12月8日(火)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音82%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)

12月9日(水)83%ネイティブ「上級者」 (リスニング100%, 発音81%, 流暢性88%, イントネーション80%, 強勢99%)

相変わらず、一歩進んで二歩下がる感じですが、やめると下がるだけなので、気楽に続けています(笑)。

従属接続詞のbecause

今、期末テストの採点真っ最中です。私でない、他の先生が作った問題なのですが…。英語の質問に、英語で答える問題の解答例について、今日その先生と、ALT も交えて、ちょっとお話ししました。ま、教科書の教師用マニュアルと同じ問題と解答例なのですが…。

(問題)Why ..........?   (解答例)(It is) because .........

私が勝手に「ビコーズ問題」と呼んでいる、日本の学校英語でずっと問題になっている(少なくとも一部の英語教員は問題だと考えている)because の扱い。

中学校の英語の先生に、「Why で聞かれたら、Because で答えをはじめるんですよ!」って習った方、手を挙げて!は~い!(私も手を挙げています!)

でも、それ、間違いです!

because は、if や when と同じ、従属接続詞なので、because 節だけで文は成り立たないのです。主節とセットでないと、文として成立しないのです。

ちなみに、主節とセットでも、because 節の方を主節よりも先に置くのは、不自然になることが多いのです。応用言語学のアメリカ人教授も同じことを言っていました。

要するに、Because I was sick. (気分が悪かったから。)は文ではないのです。I was late for school because I was sick. (気分が悪かったから、今日は遅刻した。)なら文ですが。Because I was sick, I was late for school. も文法的には正しい文だけれど、because 節が主節より先にあるのは不自然。

私のパートナ―、ジェフに一度、オンラインチャットで以下のような質問をしたことがあります。(ちなみに、ジェフは英語がネイティブなだけでなく、English を大学院で専攻し、MAを取っています。アメリカの短大等で論文の書き方などを指導していました。)

Which of the following answers to the question sounds the most natural and which sounds strange to you? (以下の質問に対する答えで、どれが一番自然に聞こえて、どれが一番変な感じがする?)
Q: Why do you want to study abroad? (どうして留学したいのですか)
A1: I want to learn English. (英語を学びたいんです。)
A2: Because I want to learn English. (英語を学びたいから。)
A3: It is because I want to learn English.(それは、英語を学びたいからです。)

ジェフの解答:A1 sounds natural. A3 is the least natural. A2 is common but usually considered ungrammatical as a fragment, but people speak in fragments all the time.(A1が自然に聞こえる。A3は一番不自然。A2はよくあるけれど、完全な文ではないから、たいてい文法的に間違っているとみなされる。ただ、みんな不完全な文でいつも話しているけれどね。)

このジェフの解答を読んだとき、「やっぱりね!!!」ってガッツポーズでした!私の感覚は間違っていなかった!

Why で聞かれたからと言って、because で答えなくてよいんです!むしろ、because 節だけで答えたら、特に書き言葉の時は、文法的に間違いとみなされるんです!

私の勤務校に今フルタイムで勤務中のALT(アメリカ人、20代女性)にも、今日、聞いてみました。そうしたら、彼女は、「私が高校時代は、英語の先生に『because で文を始めてはいけない!』って習ったの。なのに、ここで、生徒の英文をチェックしていると、Because で文を始めている子がいっぱいいるのよね~。」って言っていました。

では、なぜ、日本の英語の先生たちは、「Why で聞かれたら、Because で答えを始めるんですよ!」なんて教えたんでしょう?

これは、私の昔からの推測ですが、国語教育の影響だと思います。国語の問題で、「なぜ~か?」という問いには、必ず、「~だから。」と答えますよね?それを、昔の真面目な英語の先生たちが、そっくりそのまま(直訳方式で)英語に適用してしまったんだと思います。

そして、今でもそう教える先生たちが、中学校にも高校にもいる…(泣)

最近は、because節 が従属節だということに気づく先生たちが増えてきて(気づかないと困るんだけれど…笑)、because 節だけで答えの文とするのはマズイと分かってきました。だから、上に書いたように、教科書会社の作ったマニュアルにも、(It is) because .... と書かれるようになったんです。

でも、because そのものをなくすまでには、まだまだ時間がかかりそうです。国語の「~だから」の呪縛が強すぎるみたい(笑)。

昔は、堂々と、Because ..... とだけ書いてあり、「文法得意のはずの日本人がこれじゃあなぁ。」と、若かりし頃の私は嘆いていました(笑)。

私は高校時代に、アメリカ人の先生(おそらく、本国で英語の教員免許を取っていた先生)に、アメリカの高校生用テキストで文法を習いました。それで、教員になってから、25年以上、because 節だけで文を作ることにすごく違和感を感じています。

でも、まだまだこのビコーズ問題を認識していない英語の先生たちも、かなりの数いらっしゃいます。若い方たちの方が、むしろ鈍感(すみません、言葉が悪くて)のような気がします。あくまで、公立高校の教員の間では、の話です。

すみません、今回はちょっとマニアックな内容だったかもしれません。ご質問等、ご遠慮なく、コメント欄に書いてください。

That's all for now! See you next time! Until then, keep practicing!

「ネイティブライク」という言葉について… native-like という形容詞で、「ネイティブ・スピーカーではないけれど、それに非常に近い」という意味です。
「ネイティブ・スピーカー」という概念について… 応用言語学者の中には、ネイティブ・スピーカー至上主義(native speakerism)を批判する人も少なくありません。私も、ネイティブ・スピーカー至上主義は支持しません。私がこの記事で「ネイティブライクになりたい」と言うのは、発音練習が私の趣味だからです。英語はいろんな文化的背景を持った人たちがコミュニケーションのツールとして、第2言語として使うものですから、その人たちの第1言語(母語)に影響された英語(訛りのある英語)が使われるのは当然のことです。訛りのある英語も、アメリカやイギリスのニュースキャスターが使う英語も、言語として優劣は無いと考えています。世界には、native speaker の英語教師よりも non-native speaker の英語教師の方が、はるかに数多く存在します。私もその non-native speaking teacher of English であることを誇りに思っています。
私(1970年生まれ、インターネットが登場する前に大人になった)の英語学習歴… 子供英会話教室(当時はまれ)に通ったのがきっかけで、中学生頃から自分で英語漬けの生活を始める(中学校での壮絶ないじめからの逃避願望もあった)。NHKラジオ講座、文化放送「百万人の英語」、FEN(在日米軍ラジオ放送)、アメリカ映画、アメリカの十代向け雑誌など。フツーの公立中に通いながら、中2で英検2級。高校は海外帰国生が全生徒の3分の2という私立高校(ICU高校)で、アメリカ英語の洗礼を受ける。帰国生に負けまいと英会話スクールに通う。高2で英検準1級。高3で英語の先生に帰国生と間違われて内心ガッツポーズ(笑)。大学(ICU)で英語専攻。英会話スクールにも同時に通う。大学2年で英検1級。アメリカ人の教授について卒論も英語で書く。アメリカの大学院に1年在籍、アメリカ史を専攻して挫折して帰国。高校の英語教員になり、25年。その間、TOEIC 980点、通訳ガイド(通訳案内士)、TESOL(英語教授法)修士号(Temple University Japan)を取得。NHKラジオ講座は中学生以来、時々ブランクはあるけれど、聞いている。今は、アメリカのリアリティ番組にドはまり中。Podcast も好き。

いいなと思ったら応援しよう!