🎤12/1,文学フリマ東京39に初出店(す-35)！🎤

はじめまして。
わたしたちは文芸団体 文藝「KARAOKE」と申します。

12/1開催の文学フリマ東京39より
文芸誌『FURIKAKE』を刊行いたします。
ブースは す-35 です!
ぜひ、お立ち寄りください。

書影

ブースの場所　会場があまりにも広すぎる

✨（furikake）
🍚（hakumai）

5名の作家が気鋭の小説・批評などを持ち寄り
お互いの作品に添える文章を送る
”ふりかけ”システムを採用し、
作品への味付け・味変を試みます。

本記事ではご挨拶を兼ねて、
KARAOKEのメンバーと
『FURIKAKE』掲載作品について
ご紹介したいと思います。

🎙KARAOKEとは

わたしたちが集まった経緯をご紹介します。

　古美術が文芸サークルの立ち上げを目論んでいたところから始まる。その後、古美術はCulaccino(諸現象)というセッショングループでFgと遭遇し、その構想を話していた。
　2024年5月、Culaccino（諸現象）のライブ後、古美術が連れてきた三澤、Fgが呼んでいた大滝、4名が一堂に介す。
　ライブの感想もそこそこに、文芸団体結成に向けての話が盛り上がり、グループラインが作られる。
　数日後、古美術が黒川を招集し、現在のメンバーとなった。

　「KARAOKE」は、団体名・誌名を相談する流れで、黒川が突如グループラインに顕現させた単語。気がつくとメンバーの心にフィットしており、気づけば屋号となっていた。

　誌名の『FURIKAKE』は、Fgが列挙した団体名用のリストから選ばれたものだが、決定打となったのは三澤の下記の発言。

「『ふりかけ』でいく場合、白米に〈振り、かける〉という〈付加〉の多様性のイメージから、それぞれの作品をもっと楽しめるようになるようなサブテクスト（短評、二次創作、音楽・ブックリストなど）をお互いに書いて付加していく、みたいなのアリだとおもいます🍚」
「ご飯（作品）+ふりかけ（他のメンバーが書く、読み方・楽しみ方を広げるような短文）」

グループラインより引用（一部改変）

　この提案によって『FURIKAKE』という誌名および、本書で採用している「ふりかけシステム」が確立された。

【メンバー紹介】

いかれたメンバーを紹介します。

🟥古美術　　　　　　

東京都在住。しがない会社員。
Twitter　@R0dmbj　　

文学フリマは学生時代から参加しており、今年で七年目。
この団体を立ち上げ、『FURIKAKE』のデザイン、組版DTPも担当している。
鍵盤や琴を弾くこともある。

🟪大滝のぐれ

『ままならない人のための小説』をかかげる作家。ユーモラスでポップなモチーフの中に、切実な主張や陰惨な風景を埋め込みまくる作風が持ち味。
著作に「澄んだ地獄で笑いなよ」「なめくじとすごくきれいな巻き貝」「超躁猫猫死（ハイパーマニックにゃんにゃんデス）」、参加アンソロジーに「Lil (W)AVE 第一集•第二集」「びゃんびゃん」「ケーキを切れるごみくずども」などがある。
文学フリマやカクヨムなどでの活動や作品の寄稿を始め、近年ではKindleでの作品の発表や同人誌の書店委託なども精力的におこなっている。
旧Twitter（X）/Instagram：@Tutibuta_kawa
Bluesky：@tutibutakawa

上記の通り、作家としての活動をライフワークとしている。今回のFURIKAKEでは、組版の一部も担当した。
中学生のときにニコ生で配信をよく見ていたマイナーゲーム実況者に色鉛筆とポスカで描いたファンアートを送り付けたことがあり、それが生配信で写された瞬間をときおり思い出してはもだえ苦しんでいる。（喜んでは、くれた）
DJでもある。

🟦三澤蟻

二〇〇一年生まれ。論考「言葉の海に揺らいで──九段理江と文学的「自閉」、あるいは」（批評同人誌『応答』）。
好きな福本伸行は『最強伝説黒沢』。
Twitter：@3sawa4ri

🟨黒川祐希

一九九九年生まれ。東京都在住。
Twitter：@dante19991215

🟩Fg

butohesというとてもかっこいいバンドのベース・作詞（＋ライナーノーツ制作）を担当。
文芸サークル「ウユニのツチブタ」より『ケーキを切れるごみくずども』『アンソロジー「暴力」』に参加、『(W)AVE Vol.1』と『Lil (W)AVE 第一集』に寄稿。音楽Webマガジン『musit』に短編、ディスクレビュー、コラムを掲載中(なおすべて継続的には生産できなかった)。
文学フリマ39から発売開始の『Lil (W)AVE 第三集：別離 / parting』にも同世界観の作品を寄稿。
X（バンド）：@butohes_japan
Instagram（バンド）：@butohesgram
Instagram（個人）：＠fuzzysoundcraz

🍚『FURIKAKE』創刊号のテーマ

創刊号のテーマは、「白飯」です。

前述の流れに加え、

「自由創作で漠然としたテーマがひとつあったらいいかもしれないです　
第一号なので「白飯」とか」

グループラインより抜粋

と大滝が発言した結果、テーマとして決定した。
　Fgは苦言を呈したが、本格的に白飯について語る作品を書くということではなく、三題噺のように、本編の中でモチーフとして登場させることをルールとし、採用となった。
　なお、このテーマに各々が苦しめられた結果、ほぼ全員が締め切りを超過し、顔面が米のように真っ白になった。顔面蒼白、略して面白。

📖各作品の紹介

全員の作品のあらすじをご紹介いたします。
「白飯」というテーマに対して、それぞれの作風が炸裂した作品が並びました。

💴賭博と生活、生活と賭博──福本伸行における〈賭け〉の位相/三澤蟻

『賭博黙示録カイジ』、『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』、『銀と金』、『天 天和通りの快男児』などおもにギャンブル漫画で有名な作家、福本伸行。彼の描いてきたキャラクターたちを哲学者ニーチェの「超人」という定義に当て嵌めつつ、その作風の変遷について批評する。
そして白飯を目の前にした三澤が想起したのは、カイジのモノマネをしながら料理を作る飯テロ系YouTuberかいんじゅ、「現実チャンネル」の天竜川ナコン……！？

✨ふりかけ作品：黒川祐希『システムと人間性との戦い』
作家としての自省、自身のドッチボールのエピソードと絡めながら、三澤の論じた「賭け」「ゲーム」について考える。

🗡ケムトレイル/大滝のぐれ

ローテンションで描かれる、殺し屋たちの日常。人を殺す、食事をする、人を殺す、食事をする、その繰り返し。殺し屋三人と、一般人一人のルームシェア。システムの下にいるのか、システムそのものなのか。
労働というシステムが持つ有害性、生きていく上での加担、わたしたちを見つめきらきら光るお空の星がいつからそこにあるのか、などをテーマとした作品。

ふりかけ作品：『アンズの日記』古美術
本編に登場するキャラクターのアンズを主人公に、彼女の日常（あるいは非日常）を描く短編。ナンパされたアンズは、

🖥春風ちゆりコンタミネーション/古美術

「かわいい二次元の女の子と恋人のように過ごそう」。株式会社デタッチメントが手がける通話サービス、バーチャルカノジョ。そこで「春風ちゆり」として過ごす主人公。体から剥がれた砂まみれの部屋で、彼女は抗い続ける。

ふりかけ担当：『完全匿名チャットルームのやりとりより抜粋』Fg
誰が誰なのか、何をいっているのかわからない。本質めいたことを言っている人もいる。茶化している人もいる。皮膚と液晶ディスプレイについての、極めてチャット的な論考（の断片）。

⛩三重生活者/黒川祐希

SNS上のわたし(benzombie)。
歌舞伎町で男を目の前にしたわたし。
親友ユミと過ごしているわたし。
さまざまなわたしの円の重なる部分にしかいられない私がいる。

ふりかけ担当：大滝　蜘蛛の下（小説）

生まれてこの方ずっと無職である「わたし」は、数日前になぜだか応募していた六本木のヴィーガンレストランのアルバイト面接へ向かうが、その帰りに気分の悪さから道端へ嘔吐してしまう。
家に帰ろうと、最悪な気分で駅へ向かう「わたし」。その視界に、大きな蜘蛛が飛び込んできて……

『三重生活者』に登場する、ルイーズ・ブルジョワ『ママン』。六本木ヒルズ前にそびえたつその彫刻の名を、知らない女性が主人公の話（大滝）。

🎸アミラーゼ/Fg

高校２年生、生徒会所属、軽音部。朝食に出てくる米が嫌い。
主人公・ウツギの特徴は、ほかにはない。平穏な日々を望み、それをなるべく叶えてきたが、それを脅かす存在はどこにでもいる。
それは例えば、首藤という友人。もしくは、いつもと全く違う行動をとるバンドメンバー。あるいは、家族。
「『Lil (W)AVE 第三集：別離 / parting』が同じイベントから発売開始されますが、そこにも全く同じ世界観で、ウツギの友人的な存在である首藤を主人公にした”自由落下”という短編を掲載してもらっています。もともと、大滝とともに作ったアンソロジーに掲載していた”スコトーマ”（カクヨムにオチ以外を公開中）に首藤が登場しており、彼を主人公に物語を書きたいというのが動機で”自由落下”を書きました。それは首藤とウツギの関係性にフォーカスした作品です。『FURIKAKE』用の原稿が、”自由落下”の締切から一ヶ月もなかったため、他の何かを考えるアイデアもなく、かつ読んでもらった友人からウツギについて気になると言われていたため生まれたのが”アミラーゼ”です」

ふりかけ作品：『真っ白な世界にはカラフルなふりかけを（あるいは、普通さについて）』三澤蟻
平常な毎日を望むウツギ、そして軽音部を中心に存在する人間関係から、『ぼっち・ざ・ろっく！』を例に取ってキャラクター（ひいては私たちの）「普通／異常」に注目した解説文。

さいごに

上記の通り、バラエティーに富んだメンバーが、一つのテーマに向かって書き上げた作品は、細部や着眼点はバラバラでありながら、期せずして同じような構図を持っています。
１本目に掲載された三澤が示した「超人の勝利」「奴隷の勝利」を照らし合わせると、より深みがでると思い、冒頭に掲載しました。
互いの作品がふりかけあい、さまざまな味が楽しめる一冊となったと思います。
まずは、12/1、東京ビッグサイトでお会いできれば幸いです。