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誰だって人生を休みたいときがある/ドラマ『0.5の男』

夏ドラマがほとんど終わってひと息ついているとき、アマプラで『0.5の男』が配信されているのを発見した。

主人公は立花雅治。40歳、独身、無職。両親と実家暮らし。あるときひきこもりになり、毎日暗い部屋でオンラインゲームをする日々だ。そんな息子を両親は叱ることなく、長い間見守り続けている。立花家ではそれが日常で、特別なものではない。そこへ、古くなった家を雅治の妹・沙織一家との二世帯住宅に建て替えるという話が浮上。両親以外と接することのなかった雅治は、困惑する。

私はこのドラマで初めて知ったのだが、親と子の二世帯に単身の兄弟姉妹が一緒に暮らす世帯を「2.5世帯」と言うらしい。今は実家暮らしの単身者が多いため、こうした新しいスタイルを検討する機会が増えているのだという。つまり、主人公は「0.5」の存在というわけ。数字そのものの意味を考えると「はみ出したもの」「半人前」という、ちょっとネガティブな印象を受ける。そこを雅治とうまく結びつける絶妙なタイトルだ。

主人公を演じるのは松田龍平さん。雅治を「キモい」と拒絶する沙織の娘・恵麻には、『極主夫道』の向日葵が大きくなった!白鳥玉季ちゃん。雅治の両親役には、木場勝己さんと風吹ジュンさん。2児の母で、両親との同居を機に仕事復帰を目指す沙織を臼田あさ美さんが演じている。

ドラマの序盤は、なぜ雅治がひきこもりになったのか、立花家の3人がどんな風に葛藤して現在の暮らしに落ち着いたのかが特別描かれずにふわっと進んでいくため、余白の多い物語になっている。映画みたいなつくりだなあと感じていたら、沖田修一監督がメガホンを取ったのをクレジットで知って納得した。

沙織や恵麻ら妹家族との暮らしによって、しばらくは調子の狂う雅治。それでも母は普段通りに接し、いつものようにポストイッドにメモを残す。普段通りと言ったが、心情的にはそうではない。母はこの建て替えを機に、息子の世界が今より広がればと密かに願っている。

何がいいかというと、両親のやさしさに雅治は感謝しており、家族を乱暴に扱うことがないこと。その証拠が、部屋にきれいに残されたポストイッド。何を考えているか分からないように見えて、実のところ彼が心根のやさしい人間であることがうかがえる。おそらくそのやさしさが、ひきこもりの遠因になったのではないかなと、なんとなく想像できる。全然話が違うけど、ポストイッドを連呼すると「ポストイッドの彼」こと加瀬亮さんを思い出すのは、たぶん私が吉野千明ファンだからだ(笑)  。まあそれはさておき、そんな雅治だからか、恵麻の弟・蓮にはやたらと懐かれている。

階段下の小さな自室にこもりゲームと昼寝三昧でも、ひとつ屋根の下に暮らす家族のために、少しずつ人と関わることになる雅治。彼がゆるやかに穏やかに変わっていく様子が、全5話に渡ってとてもよく表現されている。あんなに伯父を拒絶していた恵麻もまた、彼と暮らすようになって変化していく。

誰だって一度や二度、自分を休みたくなるときはある。とは言え、雅治のように見守り続けてくれる家族がいる例は少ないかもしれない。風吹ジュンさんの醸し出すやさしい雰囲気は、このドラマに欠かせない。兄を邪険に扱うちゃっかり者・沙織役の臼田あさ美ちゃんは『新宿野戦病院』でも思ったが、いつもイライラしている役が本当にリアル。2.5世帯で暮らすことで、兄や子どもたちからの影響を受け始める沙織。もしかすると、視聴者に一番近い感覚なのは彼女かもしれない。

静かに進む雅治の日々。人間を休んだっていい。やりたいことが見つかったら、また動けばいいのだ。最終話で見た彼の姿に、勇気づけられる人はたくさんいるはずだ。初回から最終回まで、終始やさしい気持ちで観ていられるので、メンタルの弱っている人におすすめ。

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人間を休むわけではないけれど、私も本業をしばらく休んで別のことをすることにしたので、よいタイミングで視聴してよかった。仕事を断る際に「しばらく活動をお休みして会社勤めをすることにしました」と伝えたら、担当者から「相談してくれたら仕事をまわせたのに」と、なんだか都落ちと憐れまれてしまった(苦笑)。そういうつもりじゃないんだけど……まあいいか。フリーランスだって、しばらく休んで勤めたっていいんじゃないかなあ。

今は覚えることがいっぱいで、頭も体も疲労感がすごい。それでも、モノをつくるのはやはり楽しい。

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今までのように、好きな時間にnoteを書く機会は減るかもしれませんが、できるだけ更新するつもりなので今後もおつきあいください。そう言いながら、ガンガン書いていたらストレスが溜まっていると思ってやさしく見守ってください(笑)。逆に全然書いていなかったら、爆睡していると思ってください。最近は夜10時半に眠くなります……。

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