疲れ果てた週末の夜に爆笑している/ドラマ『無能の鷹』
毎朝5時に起きて、1時間ちょっと車を運転して通勤している。帰りは1時間半かかる日もある。通勤時間以外なら30分なのに、平日は倍以上。政令都市でワースト1と話題の交通渋滞。こんなにもひどいのかと身をもって感じている。職場に着いたときにはすでに疲労困ぱい。仕事と通勤の疲れで夜10時を過ぎると眠くて仕方ない。そのため、週末にこのドラマを観てゲラゲラ笑い、ストレスを解消している。
菜々緒さんが演じる主人公の鷹野ツメ子は、見た目は有能社員そのもの。ところが、実際はパソコンもコピーもまったくできないポンコツ人間。現実問題、こんな社員がいたら逆にストレスが溜まるかもしれないが、所詮他人事ということで(笑)。しかしその見た目から、取引先が勝手に勘違いして(←ここが重要!)商談がうまくいくという奇跡は痛快で、なんだかんだで周囲をトリコにする鷹野の性質は、素晴らしい才能だと思う。「燃費」を「もえぴ」と読むけどさ。
鷹野と同期の鶸田は、塩野瑛久さん。あちらでついに崩御した美しい帝(ひと筋の涙、どうやったらあんなにきれいに流れるのか!病の姿といい、その演技に驚きました)が、こちらでは頼りなく見えるけど優秀、見た目でいつも損する営業マンを演じている。自分に自信のない鶸田だが、鷹野の絶対的“できるオーラ”を拝借(?)することで契約を取ってくるという、前代未聞の営業スタイルを確立しつつある。ちなみに、初回では「能力のない人間が社内にいる方が、業績が上がる」という話が登場。私もその説は記事で読んだことがあるが、経験上それは人柄次第だと思われる。
無能であることを自覚しており、なぜか自己肯定感が高めの鷹野。社内ニートに陥っているにも関わらず、まったく気にすることなく日々過ごしている強靭な精神力を持つ(いい意味で鈍感なのかもしれない)。それが私には爽快で、「自分は自分」という気持ちにさせてくれる。だからつい「鷹野もがんばれ」と思ってしまう。
鷹野の教育係である鳩山を演じるのは、道隆。筒井くんじゃないよ、あちらで藤原道隆を演じた井浦新さんだ。義親子関係だった帝と道隆が、今は営業部の上司と部下に。鳩山は決して部下を叱らない。面倒な事も引き受けてしまう、いわゆる「いい人」である。鷹野の無能さにめげずに教育し続けるが、何度も「バカか!」と言いたいのを我慢、我慢。特に、第2話の鷹野と鳩山のやり取りには爆笑してしまった。
ほかにも、「社内CIA」と呼ばれるほど情報通の鵜飼をさとうほなみさん、要領のいい中堅社員・雉谷を最近は農業で注目される工藤阿須加さんが演じている。また、老害と呼ばれる営業部長の朱雀は高橋克実さん、開発部長の鴫石は安藤玉恵さん、虎つばのよねとは180度イメージが異なる役、エンジニア・鵙尾は土居志央梨さんと、なかなか個性豊かな面々が揃う。
頭をゆるくしてゲラゲラ笑えるので、金曜日の夜に疲れ果てている身としてはとても助かる。TBSの『ライオンの隠れ家』で涙したり(第2話、洸人とみっくんのバスのシーンは切なく、複雑な気持ちになってしまった)驚いたりした後、鷹野で笑って頭はすっきり。よかった、このドラマが金曜の夜で。
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(おまけ)
ところで、朝ドラ『おむすび』同様に観ている再放送の『ちゅらさん』が、いよいよ終盤に差し掛かってきた。最近の驚きは、えりぃの後輩看護師として出演しているのが菊地凜子さんだったこと。初々しいので、初登場のときはただの似ている人かと思ったが、調べたら本人だった。歴史を感じる。『ちゅらさん』が終わるのは寂しいと思っていたら、この後始まるのは『カムカムエヴリバディ』だという。稔さん、稔さん、稔さん! 錠さん、錠さん、錠さん!! これは楽しみだ。
さらに、大河ドラマ『おんな城主 直虎』がBS松竹東急で放送開始されるというニュースまで飛び込んできた。この場合、見逃し配信はあるのかな? おとわ、亀、鶴の幼なじみ3人の関係性や、家康を13歳から演じたサダヲちゃん、市原さんが演じた傑山や柳楽くんが演じた龍雲丸のことなど、いろいろ思い出している。本放送は2017年1月~だから、もう8年近く前なんだなあ。時の流れのはやさを実感中。
そ、そ、そして、昨夜の日曜劇場の感想は、とりあえず、端島の再現凄い! 何もかも凄い!! 宮本信子さんの泣きの演技に心持っていかれた。で、いづみはリナなのか、百合子なのか、はたまた……。